芥川賞に伊藤たかみ。妻は角田光代(直木賞作家)
第135回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が13日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は伊藤たかみさん(35)の「八月の路上に捨てる」(文学界6月号)、直木賞は三浦しをんさん(29)の「まほろ駅前多田便利軒」(文芸春秋)と、森絵都さん(38)の「風に舞いあがるビニールシート」(同)に決まった。
伊藤さんの妻は昨年直木賞を受けた作家の角田光代さん(39)。主催者によると、夫妻で両賞を獲得するのは初めて。直木賞では、作家の藤田宜永さん、小池真理子さんが夫妻で受賞している。
伊藤さんの受賞作は、明日離婚届を出すことを決めている男性の1日を繊細につづる短編。伊藤さんは「遠い賞だったので非常に重い。本当にうれしい」と受賞の弁。すぐに角田さんに電話で報告すると「やったね。おめでとう」と喜んだという。
直木賞の三浦さんは小説やエッセーで人気の若手作家。受賞作は東京郊外の町にある便利屋の活躍を描いた連作短編集。森さんは児童文学作家として活躍、近年は大人向けの小説を発表している。受賞作は自分なりの価値観で地に足をつけて生きる人々を描く短編集。
芥川賞選考委員の高樹のぶ子さんは伊藤さんの作品を「若者の生活疲れ、シャビー(みすぼらしい)な切なさがよく分かる。伏流水のように流れる意識を的確な言葉で表現した」と評価した。
直木賞選考委員の井上ひさしさんは、三浦作品が「エンターテインメントとして面白い上、日本の家庭がぶつかっている大きな問題を扱った」と指摘。森さんの受賞作は「理想主義など、捨てられてきた価値がよみがえる作品」と評価した。
贈呈式は8月22日、東京・丸の内の東京会館で。賞金は各100万円。
[ 2006年07月13日 19:22 速報記事 ]