文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

安倍的「チンピラ外交」が国を滅ぼす・・・。

by-soba

(右のバナーは、sobaさんから拝借。http://soba.txt-nifty.com/zatudan/)



わが国がミサイル攻撃を受ける可能性がある場合は、敵基地を攻撃してもいいのではないか、というような議論が沸き起こっているが、それに対して韓国や中国が反発するのは当然だが、早速お頼みのアメリカたりからまでクレームがついている模様だ。この「敵基地攻撃論」なるものの論理は、いかにも安倍や麻生や額賀というような田舎の青年団レベルのチンピラ政治家らしい勇ましい論理だが、しかし前後左右の国際情勢を無視した荒唐無稽な暴走発言であることに変わりはない。一部のネット右翼や保守オヤジあたりには、これが大うけらしいが、おそらくこれも国連の制裁決議案同様に、威勢よく出しては見たが、引っ込みがつかなくなくなり、大恥をかくことは必至だろう。


この「敵基地攻撃論」がアメリカのネオコンの「先制攻撃論」のパクリであり模倣であることは言うまでもないだろうが、しかしアメリカの「先制攻撃論」だって、ニューヨーク・テロ事件以後に議論されるようになったかなり怪しい軍事戦略であり、しかもそれは、敵というものが国家レベルで存在するのではなく、目に見えないテロ組織として、いわゆる「非対称性」というレベルで存在するが故に台頭してきた軍事戦略論である。まだ本土にミサイルが着弾したわけでも、何らかのテロ攻撃を受けたわけでもなく、ましてや今回の場合は、明確に「北朝鮮」という国家レベルの敵が実在しているのである。今の日本で、あわてて議論すべき戦略論ではなかろう。むしろ憲法改正防衛庁の「省」への昇格をこそ冷静に議論し、この絶好の機会に国民にそれを訴えるべきだろう。


しかし、ネット右翼以下の政治的センスの持主である安倍、麻生、額賀らは、政治家としての功名心にかられているのかどうか、あるいは周りの軍事オタクの取り巻きに煽られているのかどうか知らないが、「奴は敵だ。ケシカラン、やっつけろ…」というようなレベルで、あまりにも軽はずみな強気発言を繰り返しているようだ。それが政治的に、また軍事戦略的にどういう意味を持つかを、彼らが深く考えているとは思えない。街角で喧嘩を売られたチンピラ・ヤクザが、興奮して前後の見境もなくいきり立っているのと同じだろう。ヤクザはヤクザでも、ホンモノのヤクザなら、ここは、「待て、待て。あわてるな・・・」と血気にはやる手下達の軽挙妄動を抑えつつ、敵と味方の冷静な戦力分析でもやり、適当な頃合を見計らって手打ちという穏便な解決策を模索するところだろう。


「敵基地攻撃論」が憲法上可能であるという議論は、戦後、かなり早い段階からあるらしいが、たとえ憲法上可能な戦略だったとしても、それが最高の戦略かどうかは疑わしい。むしろ、僕は、「敵基地攻撃論」は悪魔の選択だろうと思う。それは、真珠湾攻撃の二の舞だろう。アメリカのイラク攻撃が示しているように、それは、うまくいったとしても、一発の奇襲攻撃で終わるわけはなく、むしろそれを契機に一進一退の攻防を繰り返す「泥沼の10年戦争、100年戦争」に発展するだろう。それは、向こう側の、つまりキム・ジョンイルの思う壺だろう。アメリカさえ手を出しかねている「魔のトライアングル」に、殴り込みをかけるなんて、安物のヤクザ映画か西部劇の見すぎだろう。


僕は核武装もミサイル開発も反対ではない。むしろ、大賛成である。しかし、安倍や麻生や額賀のように、目先に現れた特定の国を「敵国」として動くのではなく、ただ漠然と、それこそ普通の国家として、粛々と核武装やミサイル開発を進めていくべきである。いたずらに、北朝鮮キム・ジョンイル王朝を「敵視」して、それと心中するような敵地攻撃論のような愚作は御免だ。むしろ、軍事衝突を回避しつつ、キム・ジョンイル王朝崩壊・解体への非軍事的軍事戦略(?)を練るべきだろう。

安倍長官、敵基地攻撃「検討研究必要」

 安倍官房長官は10日の記者会見で、北朝鮮のミサイル発射を受けて議論されている敵基地攻撃について「誘導弾等による攻撃を防ぐために他に手段がないと認められる限りにおいて誘導弾等の基地をたたくことも法律上の問題としては自衛権の範囲内として可能との(国会)答弁がある。日本国民と国家を守るために何をすべきかという観点から、つねに検討研究を行うことは必要ではないか」と述べた。

 一方、麻生外相は9日のテレビ番組で、「向こう(北朝鮮)は『核は持っている』と言う。ミサイルは(核弾頭が)くっつく(=搭載できる)。(そのミサイルが)日本に向けられる場合、被害を受けるまで何もしないわけにはいかない」と述べた。明らかに日本を攻撃する意図があり、他に手段がないと認められる限り、敵基地攻撃は可能とする従来の政府見解を繰り返した。(朝日新聞

「敵基地攻撃論」に野党から批判続出

 北朝鮮のミサイル発射を機に政府・自民党内で敵基地攻撃能力を検討するべきだという主張が出ていることについて、野党から批判が相次いでいる。民主党の小沢代表は11日の記者会見で「(相手が)攻撃していないのに(基地への攻撃は)できない」と指摘。共産、社民両党も北朝鮮によるミサイル発射で議論が加速していることに警戒感を強めている。

 小沢氏は会見で「敵というのは、北朝鮮だけとは限らない。敵と決めたとたんに戦わないといけなくなる。大事な立場におられる方は、よくよく国民全体、国全体のことを考えて発言しないといけない」と述べ、敵国の存在を前提にした議論にくぎを刺した。その上で、ミサイル基地を攻撃する能力を持つことについては「撃つ前にどこに向けたか分からない。日本に撃ったか、他に撃ったかは、どうやって判断するのか」として、現状では困難だという認識を示した。

 ただ、ミサイル防衛(MD)システムの早期配備には積極的な意見が強い民主党内の中堅・若手には、基地攻撃を容認する考えもある。鳩山由紀夫幹事長も「向こうが意図を持って日本を狙っていることが自明な場合に、専守防衛の範囲の中で基地をターゲットにできると思う」と言及している。小沢氏の発言は、こうした党内の意見を牽制(けんせい)するねらいもある。(朝日新聞

安倍氏が外交理念発表へ、自由・民主をアジアに拡大

 自民党総裁選の有力候補である安倍晋三官房長官が政権構想としてまとめた外交に関する論文を近く米国の外交雑誌などに発表することが10日、明らかになった。「安倍外交」の哲学として自由、民主主義、人権、法の支配という四つの普遍的価値観をアジアや世界に広める姿勢を打ち出すのが主眼。中国と北朝鮮の人権状況について国名を挙げて懸念を表明するほか、北朝鮮のミサイル発射を糾弾することにしている。

 関係者によると、安倍氏は、国内外に政権獲得後のアジア外交を不安視する声があるため、総裁選前に外交理念を整理し、提示する必要があると判断した。安倍氏は論文で、自由や民主主義などの普遍的価値観を共有できる米豪印3か国などと連携し、アジアを中心にその拡大に積極的に取り組む方針を打ち出す。(読売新聞)

「敵基地攻撃」論、米国にも波紋
sahi.com
006年07月11日11時48分
 敵基地攻撃」の議論が10日、米国にも波紋を広げた。メディアは「日本が先制攻撃の可能性を示唆した」と受け止め、ホワイトハウス国務省の会見で記者団から質問が相次いだ。政府側は「日本は外交的に努力している」と受け止め、直ちに先制攻撃につながるものではないとの見方を強調した。

 スノー大統領報道官は会見で、「安倍氏憲法改正を追求すべきだと言っていると思うが、憲法を超えて対応すると言ったわけではない」と説明し、「地域の国はあらゆる手段で自らを守らざるをえない」と矛先を北朝鮮に向けた。ハドリー大統領補佐官も「日本が安全保障に関心を持つのは当然だ」と同調。国務省のマコーマック報道官は「安倍氏の発言は、すべての選択肢を排除しないということで、外交に焦点を当てたものだ」と語った。

<敵基地攻撃論>安倍長官「誰も先制攻撃とは言ってない」

 安倍官房長官は12日の記者会見で、北朝鮮ミサイル発射を受け政府内に出ている敵基地攻撃論に対する韓国の反発について「先制攻撃論に立って議論しているかのような批判があるが、まったく当たっていない。誰も先制攻撃とは言っていないのに、あたかも発言したかのごとく批判されることには戸惑いを感じる」と反論した。
毎日新聞) - 7月12日22時35分更新

谷垣財務相「敵基地攻撃論」に慎重姿勢 久間総務会長
2006年07月14日08時13分
 谷垣財務相は13日、北朝鮮のミサイル発射に端を発した敵基地攻撃論について「法律上可能だと思う」と述べながらも、「日米安保のなかで日本とアメリカの役割は何なのかということをよく詰めていかないといけない。近隣諸国の信頼醸成をどうしていくかもあわせ、幅広い視点から慎重に議論することが必要だと感じている」と強調した。谷垣派の在京議員総会で語った。

 自民党久間章生総務会長も同日、記者団に「かっかしている時には議論しない方がいい。そういう時は議論することを慎んだ方が良い」と述べた。

 久間氏は「相手が(ミサイルを)撃つ状況がはっきりしてきた時の攻撃を憲法9条は否定していないということは論理的には言えるかもしれない」と指摘する一方、「それをやるかやらないかは政策判断で微妙な問題だ」と語った。また、米国が「大量破壊兵器がある」として始めたイラク戦争について「自衛とは言えないような気がする」と述べた。
asahi・com


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