文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

菅直人首相の正体ーーパターナリズムと危機管理の政治哲学

パターナリズム( paternalism)という政治哲学用語がある。パターナリズムとは、大統領や首相のような強い立場にある者が、弱い立場にある者、たとえば国民の一人一人や民間団体、民間会社などに対して、温情的立場から同情し、保護するかのように、つまり相手の利益になるようにとふるまいながら、実際は逆に本人の意志に反して国民の一人一人の生活や行動に介入・干渉し、自由や利益を奪うことをいう。しかも、このパターナリズムという理論は、国民の一人一人の自由や権利を奪うことの正当化の論理として使われる。語源はラテン語のpater(パテル、父)で、それ故に、日本語では温情主義とか父権主義と訳されている。菅直人首相は「未曽有の国難」だから、「国民が一致団結して」「頑張ろう」というようなことを言うが、それは同時に国民に対して、情報の隠蔽や自由な生活の権利を奪うことを意味する。たとえば、交通規制、計画停電、鉄道運転停止…などがそれである。「国難」とか「国民を守るために」とかいう言葉を背景に菅直人首相は、異常に張り切って、国民にさまざまな命令や叱責を繰り返している。これこそパターナリズムと言うべきだろう。さて、「人気最低」「総辞職寸前」に追い込まれ、しかも週刊誌に「日本は君のものではない」とまで書かれるような、史上最低の総理大臣が、なんと「東北関東巨大地震」の発生とともに、待ってましたとばかりに、人気回復と政権延命を目指して急に張り切り始めている。恐ろしい。巨大地震よりこちらの方が怖い。ところで、ここ数日の菅直人首相の行動の詳細が、新聞報道などによって分かってきた。あらためて背筋が寒くなった。何をやっているんだ、この男は……というわけだ。国民は冷静だ。日本が沈没するわけではない。沈没寸前なのは菅直人と菅政権だけだ。しかし、この男は、破滅願望でもあるのかどうかしらないが、「未曽有の国難」とか「国家的危機」「陣頭指揮に立ってやり抜きたい!」と、大げさな言葉を乱発しながら、ヒーロー気取りの「終末論的」メッセージを国民に向かって発し続けている。おそらく多くの国民は、この田舎芝居染みた感情過多の「国民への呼びかけ」を、「この男、馬鹿じゃないの?」と思って聞いていることだろう。福島原発現地視察から始まった原発事故だが、昨日は、東電本社に乗り込んで、「撤退すれば東電は100%潰れます」と怒鳴りつけたあげく、「3時間11分も居座った。」のだそうである。たとえ、東電との情報交換にいかなる齟齬があるにせよ、これではリーダー失格どころか人間失格である。総理という立場を考えるならば、「これでは業務妨害ではないか。この間首相官邸を空けたことは職場放棄だともいえる」と新聞に書かれても仕方があるまい。そもそも、「13日に蓮舫行政刷新担当相を節電啓発担当相に、辻元清美元国土交通副大臣を災害ボランティア担当の首相補佐官に任命した」ことも、おかしい。何故、「節電啓発担当相」が、あの「嫌われ女」のキンキン娘・蓮舫なのか。しかもおまけに、「災害ボランティア担当の首相補佐官」が、大臣になって甘い汁を吸わされた途端に、弱小政党・社民党から逃げ出した日和見政治家、次期選挙では落選確実のの辻元清美なのか。菅政権の「人気取り」を目指した苦肉の策というわけだろうか。「女を出せば人気回復?」 まさかとは思うが、菅直人のやり方を総合的に判断すると、そうに決まっていると言うしかない。菅直人が考えることである。突然、菅直人が言い出したように見えた「計画停電」の話も、実は、菅直人がパフォーマンスのために、東電の計画を「横取り」し、自分の手柄にしようとしたのだそうである。ちなみに、13日、首相に面談した福島みずほ代議士(社民党代表)によると、この日、菅直人は、「東電からの情報が遅れた」と怒りまくっていたそうで、それなら東電と政府で「合同対策本部」を構築すればいいではないか、と提言したと言う。おそらく、その時点以後、菅直人の頭の中は、福島原発のことだけであって、東北地方の巨大地震被災地のことなど念頭にない。繰り返して言うが、日本が沈没するわけではない。多くの国民は冷静である。冷静さを失って右往左往しているのは菅直人と菅政権のメンバーたちだけである。というわけで、東北の被災現地は、政治家がアホだから、自衛隊員や消防隊員はともかくとして、当面、国や県に期待しても無駄である。おそらく民間会社や民間ボランティア…に頼らざるをえないだろう。さらに言うならば、援助物資は、県庁宛で送りつけても無駄である。県庁の倉庫の片隅にうずたかく積み上げられるだけである。驚くべきことに、4、5日たっても、避難所には、水や食料など、援助物資が何一つ届いていないところが少なくないそうである。援助物資を送りたい民間会社や民間ボランティアは、具体的な避難所、ないしは現地の市役所宛に、つまり大船渡、気仙沼東松島南相馬…等に、送り先を指定するか、あるいはそこまでトラックやヘリを自ら雇って、直接、送りつけるべきだろう。政府、県庁などはに依頼しても、そこへ送りつけても、処理能力はない。弁護士の郷原信郎も、ツィッターで、こう言っている。「すべての支援を、内閣府や知事会等に支援要請を集約してやろうとしているので、膨大な数の情報が『目詰まり』を起こしているということだと思います。従来の役人の発想を超えて独自のルートを作っていくしかありません。」と。「市民ボランティアはしばらくは出てくるな」という意見が飛び交っているが、間違いだ。政府や県庁などに頼るという中央集権的、つまりツリー型の援助体制では、情報やモノが一か所に集まりすぎて、『目詰まり』をおこし、被災現地へは届かない。平時に戻った時は、政府や県庁、市役所をルートにすればいいかもしれないが、それだけでは、非常時には不十分だということである。政府や県庁、あるいはボランティア専門業者、NHKなどの「勧告」や「警告」など無視して、やる気のある民間会社や若い大学生など、民間支援部隊と民間ボランティアは、自由自在に、バラバラで現地へ直行せよ、と言いたい。
(続く)
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■この期に及んで責任転嫁とは… 首相、東電幹部に「撤退すれば100%潰れる!」 
2011.3.15 21:07産経新聞

 東京電力福島第1原発のトラブルがこれほど悪化したのは、政府が初動時に事態を過小評価したからではないか。あるいは希望的観測に基づき、小さく扱おうとしたのかもしれない。そこに菅直人首相のいつもの政治パフォーマンスと責任転嫁が加わり、事態は混迷を深めている。

 「これ以上の放射線漏洩の拡大を防ぐように全力を挙げて取り組んでいる」

 首相は15日午前11時に発表した「国民へのメッセージ」で「ぜひ冷静にお聞きいただきたい」と切り出し、福島第1原発から半径20〜30キロ以内の住民に屋内退避を指示した上でこう強調した。

 ところが、3号機付近で400ミリシーベルトという異常な放射線量が検出された「不都合な真実」には触れなかった。

 政府は福島第1原発の異常事態が発覚以来、「最悪の事態を想定して対応する」と強調してきた。にもかかわらず、避難指示の範囲は当初の半径10キロからじわじわと拡大。これが周辺住民の不安と混乱をもたらしたことは間違いない。

 そもそも、首相は東日本大震災発生直後から「低支持率を挽回するチャンス」とばかりに自らをアピールしてきた。

 地震発生翌日の12日午前に急遽「現場を視察したい」と言い出し、福島第1原発を訪問。放射線漏れ対策に追われていた東電の現場担当者らはさぞ困惑したことだろう。

 これに懲りず、首相はその後も被災地視察を望み、「かえって迷惑をかける」と周囲に引き留められた。「大将は非常時にはどっしり構えて指示を出さないといけない」(連合幹部)ことを理解していない。

 首都圏で混乱を招いた東電の計画停電に関しても東電社長は13日午後6時すぎに発表する予定だった。ところが、首相が「私が発表したい」と言い出したため調整に手間取り、国民への周知は2時間も遅れた。

 発表の際、首相は感極まり涙をにじませた。非常時に感情を抑えることができないような最高指導者では国民は心もとない。

 事態が悪化すると責任転嫁することだけは相変わらずである。

 「陣頭指揮に立ってやり抜きたい!」

 こう言って首相は15日早朝、統合対策本部立ち上げのため東電本店に向かった。もしかしたら、それまで陣頭指揮を執る考えはなかったのかと勘ぐってしまうが、到着すると居並ぶ東電幹部を「一体どうなっているんだ」と怒鳴り上げた。

 「あなたたちしかいないでしょ。覚悟を決めてください。撤退すれば東電は100%潰れます」


 首相にこの言葉をそっくりお返ししたい。反論できない相手にかさにかかっている場合ではないはずだ。互いの連携を密にできなかった責任は政府にもある。しかも、驚くことに首相は東電に3時間11分も居座った。これでは業務妨害ではないか。この間首相官邸を空けたことは職場放棄だともいえる。

 ニュージーランドのキー首相は、2月22日にクライストチャーチなどで大地震が発生すると翌23日に非常事態宣言を出し、被災地で夜間外出禁止などを呼びかけた。あれほど報道で取り上げられながら首相は何も学んでいなかったようだ。

 13日に蓮舫行政刷新担当相を節電啓発担当相に、辻元清美元国土交通副大臣を災害ボランティア担当の首相補佐官に任命したことにも必然性は感じられない。

 蓮舫氏は事業仕分けで大津波対策のスーパー堤防の廃止を判定した。辻元氏は平成7年の阪神淡路大震災の際、被災地で反政府ビラをまいた。2人の起用はブラックジョークなのか。

 阪神大震災では、後手後手の対応を取った小沢潔国土庁長官が非常災害対策本部長を更迭された前例もある。首相もパフォーマンス以外に知恵が浮かばないならば他の人に代わってもらうしかない。(阿比留瑠比)

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