小沢一郎は政権奪取が出来るか?
僕は、小沢一郎の政治的嗅覚の鋭さと権力闘争の才能を疑ったことは、あまりない。「もうダメだろう」と思ったことは何回かあるが、その度に、文字通り、不死鳥のごとく蘇えってくるのが小沢一郎であった。したがって、僕は、自分の政界の情勢分析より、小沢一郎の情勢分析を重視している。鳩山由紀夫を、沖縄県基地移設問題の混迷を理由に、首相の座から引き摺り下ろした時、小沢一郎はしなくてもいい、大きな失敗をした。鳩山由紀夫より菅直人を組みしやすいと判断し、菅直人首相を選択してしまったからだ。鳩山由紀夫が小沢一郎を刺し違える形で、首相の座からおり、小沢一郎も幹事長の座から降りた。すべては小沢一郎の情勢分析では予定通り進んでいるはずだった。小沢一郎側近の連中もそう思っていた。しかし、鳩山由紀夫は、その時、キカイな行動をとった。マスコミやテレビカメラに向かって、親指を立ててニヤリと笑ったのだ。小沢一郎が政権交代どころか、政権中枢から追放された瞬間だった。小沢一郎は、菅直人や仙谷由人らの動きを警戒していたはずなのに、少し甘く見ていたのだろう。あるいは、小沢一郎邸での新年会でゴマスリに徹していた菅直人を信用していたのかもしれない。「菅直人ならどうにでもなる」と。最近、というか、菅直人首相になってからだが、鳩山由紀夫と小沢一郎は急接近し、ことあるごとに会談を持ち、「反菅直人政権」で動いている。しかし後の祭りというか、「負け犬の遠吠え」の感は否めない。しかも、このところ、世論に迎合しているのか、迎合せざるをえないと読んだのか知らないが、大震災、フクシマ原発事故以後、「脱原発」「反原発」の姿勢を強め、今や、小沢一郎は、反政府、反官僚、反米、要するに反権力、反体制のシンボルとして、さらには、ウヲルフレン、副島某、上杉某等を味方につけ、国民的な反体制ヒーローになりつつある。これで、はたして政権奪取が出来るのか。それとも政権奪取を断念したのか。そこで僕は、小沢一郎とも縁の深い江藤淳の「治者の政治学」を思い出さないわけにはいかない。(続く)
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