文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

諸悪の根源は「枝野発言」にあり。

原発事故の初期段階で「海水」の注入を、菅直人官邸が、「再臨界」の危険性があるという理由から、一時的に中止するように東京電力に圧力をかけていたとか、いや、かおけていなかったとか、あるいは斑目春樹原子力安全委員長に責任はあるとかいう、いつものように官邸が責任の擦り付け合いをしている問題だが、僕は諸悪の根源は、原発発生直後から頻繁に専門家気取りで繰り返した枝野の「記者会見発言」とその時の「言葉の使い方」にあると考える。要するに、「情報を隠すな」とか「付和雷同するな」とか、東京電力や国民を名指しで批判し警告しながら、最終責任は決して自分は取らないという逃げ道を用意した上での、語尾に「・・・ございます」を乱用した「のらりくらり記者会見」にあると思う。一時は、記者会見にも出てこない菅直人首相は頼りにならないが、日夜、出ずっぱりで記者会見を繰り返す枝野官房長官は頼りになるとネットやブログなどで高く評価され、冗談だとは思うが、次期総理大臣候補にまで持て囃されていた頃、僕は枝野発言の「いかがわしさ」に何回も触れた。その枝野が、またおかしな逃げ道だらけのイチンチキ発言を始めているらしい。例えば、菅直人の命令で海水注入を一時的に中断したのではないかという疑いに対して、早速、官邸グループが、つまり枝野官房長官や細野首席補佐官等が、一斉に責任を他者に転嫁するべく、「再臨界の可能性を指摘し、海水注入を中断させたのは斑目原子力安全委員長だった」という情報操作を開始したのである。この情報操作の先導役が枝野であることは間違いないと思われる。むろん、官邸グループから犯人扱いされようとしている斑目委員長は、「再臨界」発言を完全に否定している。まず、今日のニュースから。

再臨界指摘していない」 原子力安全委員長が反論
2011年5月22日 12時33分

 福島第1原発1号機で始めた海水注入が一時中断した問題で、注入によって再臨界の危険性があることを指摘したとされた原子力安全委員会の班目春樹委員長は22日、共同通信の取材に対し「専門家としてそんな指摘をするわけがない」と全面否定した。
 政府・東京電力統合対策室は21日の記者会見で、海水注入による冷却に関し「原子力安全委員長から、『再臨界の危険性がある』との意見が出された」との経緯を記した文書を発表した。これについて班目氏は「原子力の“げ”の字も知らない素人だと侮辱されたようなもので、怒り心頭だ」と述べた。
 東日本大震災翌日の3月12日、福島第1原発1号機で始めた海水注入が一時中断され、統合対策室は21日「中断前の注入は東電による試験注入だった」と発表。細野豪志首相補佐官は、中断は菅直人首相の指示との見方を否定した。経緯の説明の中で、官邸で海水注入を検討した際、班目氏の再臨界に関する意見が出されたとされた。
 細野氏は22日、フジテレビ番組で、班目氏が再臨界の危険性を指摘したと重ねて指摘。枝野幸男官房長官青森県三沢市で記者団に「何度もなぜ(海水注入を)早くやらないかと催促した」と強調した。
(共同)

参与や顧問という名の下に官邸に呼ばれて、嬉々として官邸に近付く文化人や原子力科学者が後を絶たないようであるが、松本健一平田オリザ等の実例を持ち出すまでもなく、官邸に近づくとろくなことはないことは、すでに分っている。参与や顧問の役割は菅直人官邸の犯罪の隠蔽役であり、尻拭い役である。今まで、意気揚々と振舞っていたはずの斑目春樹も、今や、官邸からスケープゴートにされ、切り捨てられようとしているというわけだ。さて、枝野だが、都合の悪いことは記憶にないのだそうである。たしか、菅直人首相は、東電本社に乗り込み、東電役員を怒鳴り散らした挙句、東電と政府による対策本部を立ち上げたのではなかったのか。あれは何だったのか。すべて忘れたのか。ところが、肝心の「斑目発言」については、記憶しているのだそうだから不思議なものである。

海水注入中断、指示を否定=枝野官房長官


 枝野幸男官房長官は22日午前、東日本大震災の翌日、福島第1原発1号機への海水注入が一時中断したことについて、視察先の青森県三沢市で記者団に「東京電力がやっていることを止めたようなことは一度も承知していない」と述べ、政府の指示ではなく、東電独自の判断だったとの認識を示した。
 海水を注入すると再臨界の危険性があると班目春樹原子力安全委員長が指摘したとされる問題に関しては「再臨界の可能性があるのではないかという検討がされていた時期があったとは記憶している」と述べるにとどめた。(時事通信、2011/05/22-15:45)

枝野発言は、すべてその場の空気を意識した「場当たり発言」であり、辻褄を取り繕うための方便発言の繰り返しである。要するに、責任をとりたくないだけである。責任は、他人に転嫁するものだと考えているのだろう。さて、この問題について産経新聞は、菅直人の発言とその後の隠蔽工作、偽装工作を、皮肉交じりに、こう書いている。

政府「注水中断」矛盾点続々

東京電力福島第1原発への海水注入が菅直人首相の「聞いていない」発言により中断したとされる問題で政府は21日、打ち消しに躍起となった。細野豪志首相補佐官は過去に発表した政府資料を都合良く訂正した上で「事実に基づかない」と反論したが、政府関係者の証言とますます矛盾が増えており、むしろ疑念は深まった。自民党は週明けから国会で徹底追及する構え。

細野氏は21日夕、都内の東電本店で開かれた政府・東電統合対策室の記者会見で経緯を説明した。
それによると、首相は3月12日午後6時に始まった政府内協議で「海水注入で再臨界の危険性はないか」と聞いたところ、原子力安全委員会の班目春樹委員長が「危険性がある」と指摘したため、ホウ酸投入を含めた方法を検討した。
東電は午後7時4分から1号機でホウ酸を入れない「試験注入」を始めたが、官邸の指示を待つために同25分に注入を停止。首相が海水注入を指示したのは同55分だったとしている。(産経)

あれだけ、威勢良く「原子力に詳しい総理大臣」として、東日本大震災のことなどすっかり忘れて、フクシマ原発問題に取り組んだはずの菅直人が、東電に対して何も指令を出していないと、誰が信じるか。菅が「注水を止めろ」と言ったことを、いや言わなかったと言い繕うために次のような妥協案が成立したらしい。

 政府・東京電力統合対策室は22日、東電福島第一原子力発電所1号機の原子炉への海水注入を3月12日に中断した際、内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長が菅首相に「再臨界の危険性がある」と進言したとしていた21日の発表を訂正することを決めた。
 班目氏の発言は「再臨界の可能性はゼロではない」という内容だったとするものだが、再臨界の問題が注入中断に影響した可能性に変わりはなく、野党は政府の説明がわずか1日で訂正されることになった経緯も含め、23日以降の国会審議で追及する構えだ。
 発言内容の訂正は、班目氏が22日、首相官邸福山哲郎官房副長官細野豪志首相補佐官に申し入れた。出席者によると、対策室の発表の訂正を求める班目氏に、福山氏らが「可能性はゼロではない」と発言したとする案を提示し、班目氏も了承した、という。細野氏は22日夜、首相官邸で記者団に「(発言内容の)基本路線は変わっていない」と述べた。

(2011年5月22日20時57分  読売新聞)

嘘に嘘を重ねる。するとすべてがばれる。斑目委員長の真相暴露は時間の問題だろう。(続く)
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