文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

菅直人・枝野幸男コンビが隠蔽・捏造する「海水注入停止命令事件」と「逃げるが勝ち」の政治学

dokuhebiniki2011-05-24


読者からのメールではじめて知ったのだが、一昨日(22)の産経新聞の「論壇時評」欄に僕の名前が出ていたらしい。だが、記事を見ないと、いったい、僕の何が記事になっているのか見当もつかない。最近は産経新聞を購読していないし、定期的に読む習慣もない。というわけで、産経新聞日曜版を探してみたのだが、近くの図書館にもなく、産経新聞の販売店を探してみたがその販売店が何処にもなく、仕方なく産経新聞埼玉支局に電話。浦和駅近くの高砂小前の高層ビルにある産経埼玉支局を訪ねて行ったというわけである。早速、手にいれた産経新聞日曜版を広げて、問題の記事を探すと「時評論壇」という論壇時評欄に僕の名前が出ている。「『死んだ子供』と『子供の死』」というタイトルを見るまでもなく、僕が「月刊日本」に書いた「二万人の死者たちとどう向き合うか?」が取り上げられているではないか。筆者は、元産経新聞記者の稲垣真澄さん。こんなことを書いている。

6月号 評論家・稲垣真澄 「死んだ子供」と「子供の死」
2011.5.22 産経新聞「論壇」



 待ち遠しいコラムというものはある。さしずめ山崎行太郎の「月刊・文芸時評」(月刊日本)はそんな一つだ。4ページという小さなスペースながら、文芸に限らない話題を幅広く取り上げ、ものごとを考え抜くことの楽しさと端正さを示してくれる。その姿勢がまず反時代的である。

 「二万人の死者たちとどう向き合うか?」(月刊日本のみ5月号)は、大震災と原発事故とによって浮かび上がった現代日本の絵図を、一つは国家と個人との間を埋める中間団体(共同体)の意想外の弱体化として、さらにはとりわけ文化人といわれる人々に顕著な幼稚性、思想的貧困として描いたあと、そんな時代の思想の責務を、小林秀雄の区分「死んだ子供」と「子供の死」を引きながら突き詰めてゆく。

 母親の心を打ち砕くのは抽象的な「子供の死」ではなく、ありありと目に浮かぶ「死んだ子供」の顏。思想は死一般ではなく、具体的な死者と格闘せねばならない。「死んだ子供」の顏は、キリスト教、マルクシズム、プラトニズム…などどんな出来合いの思想の網からもすり抜ける。それでもなお「死んだ子供」の顏を掬(すく)い上げるには、どうすべきか。まして「二万人の死者たち」。山崎にも吹っ切れた回答(救い)があるわけではない。せめて手垢(てあか)にまみれたイズムの言葉を語るよりは沈黙、ぐらいしかいえない。


僕は、自分の書く文章に読者がいるとは思っていない。読者がいようといまいと、そんなことには関係なく僕は書きたいから書いているつもりだ。すでに何回も書いたように、僕は自分の書くもの、あるいは自分の書いた文章の中の意見、主張、分析に対する読者の「共感」や「同意」を求めていない。学生時代の愛読書の一つであった秋山駿の『内部の人間』の後書きに、「せいぜい二、三人の読者がいればいい」というようなことを書いてあったのを読んで以来、僕は、二、三人の読者にしか相手にされない、いわゆる「売れない本」に密かに憧れている。そこにこそ、もっとも読みたい、もっとも本質的な文章がある、と。「売れる本」がすべてくだらないとは思わないが、「売れない本」や「売れない文章」の存在価値も、それなりにあると確信している。だから、稲垣さんの「論壇時評」の、過剰に好意的と読み取れる言葉は、かなり僕には意外であった。ああ、こんなところにも熱心な読者がいるのだ、と。むろん、ありがたいことである。さて、菅直人枝野幸男コンビが捏造・隠蔽する「海水注入停止命令事件」であるが、予想通り、責任転嫁に失敗すると、今度は「知らぬ存ぜぬ」「私は検討はしたが命令・指令していない」「・・・・・・・」の言い訳である。自己発生直後には福島原発の現場を視察し、しかも東京電力本社に乗り込んで、東電の幹部たちを怒鳴りあげ、官邸主導で陣頭指揮をとろうとしたのは、何処の誰か。菅直人枝野幸男だろう。それが、なんと、今になると、つまり都合が悪くなると「知らぬ存ぜぬ」というのだから面白い。

海水注入の中断指示 首相は否定 では誰が? 瞬間判断で議事録なし 
2011.5.24 00:22


衆院東日本大震災復興特別委で答弁する菅首相。奥は原子力安全委員会の班目春樹委員長=23日午後
 菅直人首相は23日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、東京電力福島第1原発1号機への海水注入が一時中断した問題で、自らは指示していないと強調した。だが、海江田万里経済産業相は過去の国会答弁で首相が関知していたことをほのめかす発言をしている。原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は注水が中断した場合、「原子炉の状態は悪化する」との認識を示した。指示は誰がしたのか、55分間中断の影響はあったのかを探った。
 「報告はなかった。報告が上がっていないものを『止めろ』とか言うはずがない。私が止めたことは全くない!」
 菅首相自民党谷垣禎一総裁から注水が中断した経緯を追及されると、ひたすら関与を否定し続けた。
 首相答弁の「報告がなかった」とは、東電が3月12日午後7時4分に海水による「試験注入」を始め、同25分に停止したことを指す。首相は、注水が行われていたこと自体を知らされていなかったので、「聞いていない」と激怒することはありえないとしたのだ。
 これに対し、海江田氏は今月2日の参院予算委員会で、試験注水が終わった後に「再度重ねて首相から『本格的な注水』をやれ」との指示があったことを明らかにした。海江田氏の答弁通りに読めば、試験注水を知らなければ「本格的な注水」の指示は出せない。
 海江田氏発言に関し、福山哲郎官房副長官は23日の記者会見で「後に分かったことも含めて発言した」と答え、首相が試験注水を知っていた事実は「全くない」と強調した。
 だが、首相の「聞いていない」発言は複数の政府関係者らが証言している。ある政府関係者によると「首相は『聞いていない』と述べたものの、その後特に指示を出すこともなく、周りにいた人たちと議論していた」という。この関係者は「首相発言を不快感の表明と受け取った東電幹部が本店に連絡し、注入の中断につながった」と述べ、政府と東電の意思疎通に問題があったと指摘する。


これが日本の政治家である。しかも日本政府の最高責任者。しかし別に驚く必要も不信に思う必要もない。いつもの話である。もし、事故処理が迅速に進み、世界の原子力科学者たちが絶賛していたら、菅直人枝野幸男は、なんと言っていただろう。おそらく手柄を「独り占め」(「二人占め」?)していただろう。結果的に、福島原発事故の処理は、失敗に次ぐ失敗の連続であった。この大失敗の責任追及が始まろうとしているわけだが、一番先にその責任問題から逃げたのが、日本政府の最高責任者である菅直人枝野幸男コンビであったという、あまりにもお粗末な「逃げるが勝ち」の政治喜劇である。僕には、事故発生後、必死に事故処理業務に励んできた技術者や東京電力、その関係者たちの努力と失敗を批判する気はない。つまり事故処理の失敗や不手際を、あるいは原発そのものを、「反原発イデオロギー」系の原子力科学者たちのように、結果論的見地から、僕には責める気はない。問題は、最高責任者たちの、政治責任から逃げ続ける「逃げるが勝ち」の政治学である。たとえば、枝野幸男の弁護士仕込みの大嘘・・・(笑)。岩上安身のツィッター記事から。

■ 岩上安身 「中村審議官が更迭された件について20日の会見で直接、枝野官房長官を追及したら『顔も名前も知らない』とトボけた。実は、4日間前に別の記者が中村審議官のことを聞いたら『保安院の広報担当の方(審議官)ですよね』と言っていた。つまり枝野官房長官は知ってて嘘をついた」
■岩上安身 「枝野官房長官が(事故発生直後にメルトダウンの可能性について言及した)中村審議官の存在を頑なに否定するのは、政府がメルトダウンについて当初から知っていて隠していたことを認めるわけにはいかないからだ。しかし、別の記者に「彼を知っている」と言ったことで嘘がバレた」
■岩上安身 「政府がメルトダウンを知っていながら隠したことで住民が被爆した可能性がある。あなたは何度も『直ちに健康に影響はない』と言いましたね?」枝野「誤解だ。私は"原子炉の状況"が直ちに悪化するのではないという意味で直ちにと言ったのであって健康に関して言ったのではない」

枝野幸男が自慢の弁護士と言うのは、こういう「嘘」と「誤魔化し」と「はぐらかし」を専門にする職業なのだろう。見上げたものである。「直ちに健康に影響はない」という枝野幸男が繰り返した言葉は、当否はともかくとして、誰でも知っている。だが、本人は、そんなことは言っていないと言う。枝野は、「誤解だ。私は"原子炉の状況"が直ちに悪化するのではないという意味で直ちにと言ったのであって健康に関して言ったのではない」と言っているそうである。たいした奴である。政治家にしておくのはもったいないと言うべきか。ペテン師業界に転職してもしたら、といいたいところだが、政治家こそペテン師業界そのものだったとしたら、枝野幸男にとって政治家こそ転職ならぬ「天職」かも。枝野よ、ただちに政治家を止める必要はないが、ただちに人間は止めなさい。(続く)


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