文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

ルーカス方程式と「合理的期待仮設」

       
「ルーカス総供給方程式」によると、総需要(有効需要支出のマクロ的
総額)がいくら増えても実質的には生産は伸びず経済成長も雇用拡大も
起こらない・・・ということになり、これがケインズ経済学的な「総需
要拡大による不況の克服、あるいは景気回復・経済成長」という論理を
否定し排斥する論拠となっている。


(現実の生産水準)ー(自然失業率に対応した生産水準)=a・(《実際の
物価水準》ー《期待【予測】物価水準》
     ・・・・・・(「ルーカス型総供給方程式」)


今更、言うまでもなく、自民党小泉執行部は、このルーカス的なケイン
ズ経済学否定論という経済思想(新古典派新自由主義)に凝り固まって
いる。したがって、小泉執行部は、どのような経済学者たちからの進言
や提案も、この理論に反するものはすべて無視し続けている。では、こ
の奇妙なルーカス方程式は恒常的に正しいと言えるのか。正しいとすれ
ばその根拠は何か。


実は、この方程式を成り立たせるためには、いくつかの仮説が前提され
ていなければならない。たとえばその一つが、いわゆる人々の「合理的
な期待仮説」である。つまり、人々の物価に関する「合理的な期待(予
測)」が常に的中しているはずだという仮説である。そんなはずがな
い、と言ってもはじまらない。少なくとも、それを前提的に肯定すると
ころにこのルーカス率いる「合理的期待形成論学派」の経済学的な本質
と新しさがあるからだ。


では、人々の現実の物価水準に関する「合理的な期待(予想)」が常に的
中するとすれば、どういう経済学的な現象がおこるのだろうか。たとえ
ば労働の需給関係(労働供給曲線)はどうなるだろうか。要するに失業
率、あるいは雇用問題はどうなるだろうか。


伝統的な経済学的常識では、総需要が増大すれば生産活動が拡大し、労
働需要もそれにつれて増えていき、その結果として雇用率は上昇してい
くはずである。つまり失業率の低下という現象が起こるはずである。し
かし、「ルーカス型総供給方程式」を前提すると、そうはならない。
総需要が拡大して生産活動が活発化(企業資本設備の稼働率が上昇)して
も、労働需要は伸びない。つまり失業率は低下しない。なぜか。実は、
そこで、労働者たちや経営者たちの「合理的な期待(予測)」という問題
が発生する。結論を言えば、生産拡大も雇用の増大も、物価上昇を予測
した上での「賃金」や「価格」の上昇によって、吸収されてしまうとい
うものだ。


労働者達は、物価上昇を見込んで(合理的期待?)、それに見合う「賃上
げ」を要求し、経営者側は、労働者に支払うべき賃金の上昇を見込んで
(合理的期待?)、それに見合う生産物の「値上げ」を要求するからであ
る。要するに、総需要の増大による生産拡大も労働需要の拡大も、賃上
げや価格上昇によって相殺されていくということである。
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●参考。(毒蛇掲示http://dokuhebi22126.b.9-1.jp/から。)
小泉は、やることなすこと米国ユダヤ様のご命令通り。お犬様九匹目
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news2/1148366374/l100