文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

『ネット右翼亡国論』のためのメモ。橋下徹と桜井誠の対決について。桜井誠と在特会を考える時、2014年10月20日(火)、大阪市長だった橋下徹との対決場面が、思い出される。

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私の見たところでは、あの対決は、明らかに桜井誠の圧倒的な勝利だった。桜井誠という反社会的人物が、世間に流布されている悪い印象とは異なり、タダモノではないことを思い知らされた場面だった。反対に、橋下徹という弁護士上がりの政治家が、単なる「知ったかぶり」の、横柄な「俗物」で、まともに勉強もしていない凡庸な、反知性主義的な「平均的一般市民」でしかなかったということが暴露された場面だった。


橋下徹の言動には、思想問題に値するものは一片だになかった。大阪市長という肩書きの俗物が、無位無官の一般庶民を呼び捨てにして冒涜するという図式である。普通の通俗的な小市民的道徳を語っているに過ぎなかった。一方、「在日特権」を批判、攻撃する桜井誠の言動は、一本筋が通っており、その言動の真意や背景に何かがあることを連想させるものを持っていた。


桜井誠は、その表層的な「反在日的言動」とは別に、何かもっと深い根源的な、本人も気づいていないような思想的問題を提起しているように見えた。私は、桜井誠の得体の知れない「怒り」には共感出来ると感じた。安田浩一の『ネットと愛国』に、在特会の誰かが語った「既得権益層との階級闘争だ」という言葉が出てくる。私は、なるほどと思う。


橋下徹の怒りはニセモノの怒りであり、言い換えれば、テレビ画面の中のお笑い番組の怒りに過ぎない。それに対して、桜井誠の怒りは、底が深い。安田浩一の『ネットと愛国』を読むと、桜井誠は、北九州の旧炭鉱町の近くで生まれ、そこで、あまり恵まれているとは思えない、どちらかと言えば不幸な青少年時代を過ごしていることが分かる。


安田浩一は、かなり上から目線で、侮蔑的なまなざしで、桜井誠の生い立ちを描いている。桜井誠(本名高田誠)が、貧しく、才能ゼロの無能な青年だったかのように描いている。両親は離婚し、母親は水商売だったとか。


私は、桜井誠の「怒り」と「哀しみ」に興味を持った。そして、同じく福岡県出身(柳川市)の哲学者で東大教授でもあった廣松渉のことを思った。廣松渉も父親を早く喪い、母子家庭で育っている。伝習館高校を、政治活動を理由に退学させられたために、大検合格から、数々の苦労の末、学芸大学を経て、人より数年遅れで東大に進学している。



廣松渉の哲学は、あるいは彼のマルクス主義研究は、福岡県柳川市での出生や生い立ちと 、そして廣松渉の原体験とも言うべき伝習館高校中退事件などとも切り離せない。一流の思想家や文学者は、育った風土と環境と無縁ではありえない。桜井誠北九州市で生まれ、母子家庭で育ったということに、私は興味を持つ。


私は、安田浩一が、何処で生まれ、何処で育ち、どういう高校からどういう大学を卒業しているのか知らない。要するに、「何者なのか」を知らない。安田浩一の本には出生や経歴が書いてない。わずかに「静岡県生まれ」と書いているだけだ。桜井誠の出生や生い立ち、学歴などを執拗に追跡し、調査しているようだが、安田浩一本人の正体は明らかではない。


桜井誠を、侮蔑的な眼差しで描く安田浩一よ、お前こそ、田舎者や貧乏人を侮蔑し、差別する「差別主義者」ではないのか?


私は、安田浩一の『ネットと愛国』を読み、橋下徹との対決場面を見て、桜井誠という人物に対する評価を変えた。毀誉褒貶はいろいろあるだろうが、私は、やはり「桜井誠が何者かである」ことは間違いないと感じるようになった。


私が桜井誠に興味を持つようになった事件が、もう一つある。それは、私の大学での教え子の1人が、ビールを飲みながら、恐る恐る、冗談半分を装いつつ、「桜井誠の大ファンだ」と告白したことである。彼は、大阪の名門進学校・北野高校出身であった。その話を聞いた時、私は、私自身が高校時代、あるきっかけで、突然、「大江健三郎の大ファン」になったことを思い出した。桜井誠には、大江健三郎に匹敵するようなホンモノの怒りと哀しみがあり、それが青年を惹きつけるのではないか、と想像した。


桜井誠は、世が世であれば、「大江健三郎」や「中上健次」に、あるいは「赤塚不二夫」や「黒澤明」・・・にでもなれた人物かもしれない、と私は思った。しかし、幸か不幸か、桜井誠桜井誠にしかなれなかった。言い換えれば、ネット社会という現代の社会構造が、桜井誠を「ネット右翼」に育て、「ヘイトスピーチ桜井誠」に育てたのである。

(続く)

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