クーンの「科学革命論(パラダイム論)」で小保方事件を読み解く。
トーマス・クーンは『科学革命の構造』で、「パラダイム」という概念を提示し、科学の進歩と革命の歴史的過程を明らかにして、科学業界に衝撃を与えた。では、そのパラガイムとは何か。
実は、私は、拙著『小林秀雄とベルグソン』で、このパラダイムという思想に深い影響を受けて、このパラダイム論を使って、小林秀雄の批評と思想の劇(ドラマ)を分析した。
たとえば、小林秀雄は、小説や批評における「創造」では、最初に「虚無」を所有する必要がある、という。虚無とは、旧いパラダイムが無力化し、様々な矛盾に直面しているにもかかわらず、まだ次の新しいパラダイム(科学理論)が、見つからず、一種の「無法状態」(虚無)になることである。
トーマス・クーンは、この旧いパラダイム(科学理論)から新しいパラダイムへの移行期を「科学革命」の時代と呼んでいる。科学革命の時代には、通常科学の時代に蔓延した常識も、たとえば「実証性」とか「再現性」・・・というような科学主義的な「常識」も無力になり、通用しなくなる。
「小保方バッシング事件」の真相とは、「科学革命」の時代の出来事を、「通常科学」時代の常識で批評・批判・罵倒した事件である。小保方晴子さんや笹井芳樹さん等が「あるかもしれない」とか「あった」と主張したSTAP細胞は、未だ誰も見たことのない細胞である。そのSTAP細胞について、それを発見することは、前人未踏の領域に足をつっこむことである。
(続く)
・ (続きは、「イデオロギーから存在論へ」「文学や哲学を知らずして政治や経済、軍事をかたるなかれ」がモットーの『思想家・山崎行太郎のすべて』が分かる!!!有料メールマガジン『週刊・山崎行太郎』(月500円)でお読みください。登録はコチラから→http://www.mag2.com/m/0001151310.html
「週刊現代」に小保方さんの本『あの日』の記事が・・・。