文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

櫻井誠と廣松渉(3)ー「物象化論」とはなにか?廣松渉の哲学の中心思想は、「物象化論」と言われている。あるいは「疎外論から物象化論へ」とか「物的世界観から事的世界像へ」とも言われる。私見によれば、それは、近代的な「主体ー客観二元論」の疎外論的哲学に対して、「関係の第一次性」を重視する反近代的な「関係の哲学」思想である。

dokuhebiniki2015-10-11




たとえば、具体的に言えば、人間存在は、本来的にあるべき人間本質が先行的にあるのではなく、様々な「関係の産物」として、つまり社会環境や自然環境の産物として出来上がるものだと考える。つまり、産まれた場所や育てられた環境、風土、受けた教育・・などの影響の結果として誕生するのが人間存在である、というのが、私が考える廣松渉の「物象化論」の哲学の核心である。従って、産まれた場所や育てられた環境、風土、受けた教育・・・などは重要なのだ。さて、私がここで取り上げている櫻井誠と廣松渉は福岡県出身である。特に櫻井誠は、福岡県の北九州であり、ある種、特異な街である。石炭の街であり、鉄鋼の街であり、近代資本主義発祥の街である。さらに付け加えるなら、日本の大陸進出(侵略)の拠点でもある。この周辺は、『放浪記』の作家・林芙美子が生まれ、育った街であり、少女時代を過ごした街である。私は、つい最近まで、廣松渉も、この周辺の出身だと思っていた。廣松渉の出身地にふさわしく見えたからだ。しかし、廣松渉の出身地は、北九州ではなく、同じ福岡県でも、もっと南よりの柳川市という街だった。北原白秋の街である。廣松渉は、この地で生まれ育っている。厳密に言うと、生まれたのは、山口県らしいが。廣松渉の母は共産党員だった。廣松渉はその影響で、早くから共産党共産主義、あるいはマルクス主義に親しんでいた。中学1年で「日本青年共産同盟」に、高校進学と同時に「日本共産党」に入党。廣松渉は、筋金入りの共産主義者なのである。言い換えれば、廣松渉にとって共産主義マルクス主義は、イデオロギーではなく、存在論そのものなのである。つまり、廣松渉にとって共産主義マルクス主義も、習い覚えた思想ではなく、骨身に染み付いた、「血肉化」した思想だったのである。廣松渉は、主要メンバーとなり、「情況」という雑誌を創刊したが、その時、100万円の札束を腹巻きから出し、編集長となるべき人物に、雑誌創刊の資金を提供した。編集長が辞退すると、ヤクザのごとく双肌脱いで、「俺の金が受け取れないのか」「男は一度出したカネを引っ込めるわけにはいかない」と、タンカをきったそうだ。そうして、雑誌「情況」は創刊されたらしい。私も、学生時代、あまり雑誌類は買わなかったが、「情況」という雑誌だけは例外的に、よく買って、よく読んだ雑誌の一つだ。だが、そういう裏事情は、まったく知らなかった。(続く)





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山崎行太郎の本。




安倍政権は「ネット右翼政権」である。安倍政権の正体を知りたければ、これを読むべし。最近の日本の「保守」は「エセ保守」ばかり。山崎行太郎著『保守論壇亡国論』と、佐高信氏との対談集『曽野綾子大批判』は、安倍政権とそれを支持する現代日本人の「思想的劣化」=「政治的劣化」=「反知性主義化」を哲学的に分析・解明しています!

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