文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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佐藤優と田辺元(4)ー反知性主義を脱構築するための哲学。

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またまた、自民党の安倍系議員たちが、百田尚樹暴言騒動以来、失言騒動を繰り返しているようだが、私は 、「反知性主義」や「ネット右翼現象」が、「無知蒙昧な一般大衆」ではなく、政治家や官僚、ジャーナリスト、大学教授・・・にまで及んでいるということに、関心を持つ。まさに亡国論に繋がりかねない現象とでも言うべきだろう。礒崎陽輔首相補佐官や「文化芸術懇話会」のメンバーの衆議院議員・武藤貴也等が、安保法案に関して「法的安定性は関係ない」と「デモは自己中心的」などと発言したという事件は、特に礒崎の場合、参議院喚問にまで発展し、全面謝罪、発言取り消しとなったようだが、それでも、野党からの辞職要求は激しい模様だ。もし補佐官辞職となったら、「安倍政権危うし」ということになるだろう。何故、「首相補佐官」が、政権を崩壊させるかもしれないような微妙な発言をしてしまうのか?やはり、現代日本に特有の「反知性主義」、ないしは「「ネット右翼現象」が、首相官邸あたりにまで浸透、拡大しているということだろう。言い換えれば、「「ネット右翼」や「ヘイトスピーチ」は、それ自体にも問題はあるが、私が、繰り返すように、政治家、官僚、学者、ジャーナリスト・・・らが「「ネット右翼化」し、「ヘイトスピーチ」的な言動を堂々と行うようになっているということの方が問題なのだ。つまり、政治家が「「ネット右翼」以下になっていることが問題なのだ。「無知蒙昧な一般大衆」=「反知性主義」=「ネット右翼」という前提がそもそも間違っている。「無知蒙昧な一般大衆」は、右であれ、左であれ、ネット社会の出現で、政治や経済の闇を、つまり政治や経済、国際情勢の深層構造と真相を知ってしまっているのだ。「無知蒙昧な一般大衆」は無知蒙昧なのではない。あまりにも知りすぎてしまったのだ。それに「インテリ文化人」や「政治家」等が追い付いていけないということが、問題なのだ。だから、マスコミは「マスゴミ」と言われ、政治家や官僚、ジャーナリスト、学者たちは、「無知蒙昧な一般大衆」から信用されなくなっただけでなく、批判=罵倒されるようになったのが、現在なのだ。百田尚樹大西英男礒崎陽輔や武藤貴也等の発言は、間違いているわけではないが、内発的な思想でないが故に、軽佻浮薄なのである。自分の内的体験に裏打ちされていない思想は、紙切れにすぎない。それを、本人たちが自覚していないということが問題である。かっての自民党の政治家たちの思想や言動には、そ思想信条の中身はともかくとして、それぞれ重みがあった。最近の自民党の政治家たちは、櫻井よしこ小林よしのり百田尚樹曽野綾子等のような軽薄な右派文化人の発言を、そのまま真に受けているらしく、三流文化人並みに、話が軽い。話が、「受け売り」、「孫引き」、「孫引きの孫引き」だからである。何故、こうなったのか?そこで、「佐藤優田辺元」に問題に移ろう。佐藤優にしろ、田辺元にしろ、ある種の「極限状況」を生き抜いた思想家・哲学者である。彼等の思想や言動は、過酷な内的体験に裏打ちされている。だから発言や行動に重みがあるのだろう。田辺元が、戦前、戦場に向かう学生たちに「生と死」について講義した講義録が、『歴史的現実』という本になって残っている。私は、Amazonで手に入れたが、手に入りにくい本になっている。そこで、田辺元が、何を言ったか。「死のすすめ」である。私は、この『歴史的現実』を読んで初めて、田辺哲学が分かったように思う。死者と生者は断絶されるのではない。死者だけが死ぬのではない。生きているものも死ぬのである。死者も生者も共にあるのだ。それを、「実存協同」と田辺元は言った。
(続く)



◼️資料(1)

自民・武藤氏、ツイッターで安保法案反対の学生団体批判
朝日 2015年8月3日21時47分
 自民党の武藤貴也衆院議員(36)=滋賀4区=が安保関連法案に反対する学生団体「SEALDs」について、自分中心で利己的な考えと非難する内容をツイッターに投稿していたことがわかった。武藤氏側は朝日新聞の取材に対し、本人が投稿したことを認めた上で、「話すことは特にない」としている。

 SEALDsは国会前で毎週、デモをしている学生たちの団体。武藤氏は7月末、SEALDsについて「国会前でマイクを持ち演説をしているが、彼ら彼女らの主張は『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく。利己的個人主義がここまで蔓延(まんえん)したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ」とツイートした。

 これに対し、「『戦争に行きたくない』という気持ちが『極端な利己的考え』と断罪される社会は、戦時中の日本そのもの」「戦争をしないための安保法案じゃないのですか」などのコメントが投稿された。

 武藤氏は安保法案について審議する衆院特別委員会のメンバーで、報道機関への圧力発言などが問題になった、自民党若手の勉強会「文化芸術懇話会」にも参加していた。
http://www.asahi.com/articles/ASH836V6XH83UTIL04T.html?iref=comtop_6_02
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◼️資料(2)

自民党武藤貴也議員「トンデモ発言憲法3原則否定
日刊スポーツ 8月5日 10時12分配信


ツイッターで、学生団体による安保関連法案反対デモを「利己的個人主義」などと指摘した自民党の武藤貴也衆院議員(36)は4日、発言内容を撤回しない考えを明言した。一方、3年前のブログでは、日本国憲法の3原則を「日本の精神を破壊する」などと「トンデモ発言」をしていたことが、参院特別委員会の質疑で判明した。国会では、礒崎陽輔首相補佐官の「法的安定性」軽視発言が問題になったばかり。自民党議員の言葉の「軽さ」は、相当深刻だ。

 武藤氏は4日、自民党本部で、学生団体のデモに対する自身のツイッターでの発信について「撤回するつもりはない」と明言。「法案が通っても戦争に行くことはないのに、扇動や間違った情報で若い人がだまされている」と主張した。

 武藤氏は日ごろからツイッターやブログで持論を発信。この日の参院特別委員会では、別の日のブログの「問題発言」を、民主党小川勝也議員が指摘した。武藤氏は3年前の7月23日、「憲法に破壊された日本人的価値観」と題した文章の中で、日本国憲法が定めた3原則(国民主権基本的人権の尊重、平和主義)について「この3つとも、日本精神を破壊するものだ」と、記していた。

 「国会議員にも思想信条、発言の自由はあるが、少し逸脱している」。そう指摘された安倍晋三首相は「3原則はしっかり堅持すると党でも決めている」と強調したが、日本国憲法を激しく批判した内容だけに、問題は収まりそうにない。m


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