文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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江藤淳は、何故、宮沢俊義を批判したのか?

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江藤淳の『一九四六年憲法ーその拘束』(文春学術ライブラリー)を読むと、江藤淳の関心が憲法の意味や解釈ではなく、憲法の「起源」であり、憲法の成立過程の秘密の探究と分析であることが分かる。いわゆる憲法学者たちとは違う。


憲法学者たちには、憲法の原理、あるいは起源を、もしくは起源の起源を問うという「原理的思考」が、つまり「哲学的思考」がない。江藤淳には、それがある。江藤淳を批判・冒涜することを仕事としているらしい凡人の小谷野敦には、何も見えていない。哀れというしかない。


さて、憲法学者たちは、憲法成立過程に関心を持っていないだけではなく、それを隠蔽しようとしている。その代表が東大法学部教授で、戦後の憲法学の権威者となった宮沢俊義だったのだ。宮沢俊義は、マッカーサー憲法の成立過程の秘密を、協力者としてかなり詳しく知っていたが故に、それを必死で隠蔽しようとしたのだ。江藤淳の「宮沢俊義批判」の意味はそこにある。


戦後の護憲派憲法学者たちは、「平和憲法」の成立過程を誰も問題にしようとしない。長谷部恭男も樋口陽一も、「立憲主義」を強調するだけで、戦後憲法、つまりGHQ憲法の成立過程を問題にしない。出来ないのだ。だから彼等の憲法論や憲法研究は、「憲法ごっこ」にすぎない。


それは、護憲派憲法学者たちが生きて行く上での存在理由、つまり戦後の憲法学者たちの「タブー」なのだ。江藤淳は、その戦後の護憲派憲法学者たちの「タブー」を暴露・解明しようとしたのだ。だから、『江藤淳の言い分』で斉藤禎が言うように、江藤淳は潰され、以後、不当に無視黙殺され続けているのだ。しかし、いつまでも、それが続くわけではない。「新潮45」という月刊誌で、「江藤淳は甦る」という連載も始まったらしい。(続く)





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