文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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今こそ江藤淳を読み直せ。ー斉藤禎『江藤淳の言い分』を読む。ー

dokuhebiniki2015-05-29



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昨日、以前、「文藝春秋」の常務取締役で、「諸君!」の編集長でもあった編集者の斉藤禎さんから、『江藤淳の言い分』という本が贈られて来た。意外だった。江藤淳担当の編集者だったとはいえ、あの斉藤禎さんが、「江藤淳論」を書き、一冊の単行本にするとは。


むろん、斉藤禎さんに、「江藤淳論」を書く能力がないと思っていたわけではない。逆である。いっぱい江藤淳に関する情報は持っているはずだが、おそらく、秘密にしたまま、「黙して語らず」だろうと想像していた。元担当編集者が作家論、あるいは批評家論を書くとは思えなかったのである。


さて、斉藤禎さんの『江藤淳の言い分』は論争的な本である。しかも中途半端に論争的なのではない。義憤と怒りに満ち溢れた江藤淳論である。文藝春秋から刊行されるという「丸谷才一全集」の話から始まる。斉藤禎さんは、「何故、丸谷才一全集なのか?」と怒るのだ。「何故、江藤淳全集ではないのか?」と。私には、斉藤禎さんの怒りがよく分かる。


斉藤禎さんは、こう書いている。「江藤さんの文業を消そうとするある種の<力学>がどこかに働いているのではないのか。」と。そこまで言うか、というほどに、斉藤禎さんの怒りは、深く強烈だ。その深い怒りが、この『江藤淳の言い分』全体を、貫いている。これで江藤淳は、確実に復活する。そう確信できる江藤淳論である。


私は、かねがね、「江藤淳の不在」が、現在の日本で思想的、政治的沈滞と貧困と劣化をもたらしたと言っているつもりだが、強力な援軍が現われたと思う。「今こそ江藤淳を読み直せ」ということだ。(続く)





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