文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

「国家論」的視点からで考えよ!「イスラム国」は国家か?


人気ブログランキングへにほんブログ村 政治ブロへ


日本には国家観を語る人は多いが、国家論を語る人は少ない。国家論とは、国家とは何か、国家の起源は何かなどの、国家に関する原理的な問いを問うことである。


イスラム国人質事件を、目先の政治的選択の問題として、「テロリズムとの闘い」や「テロリズム批判」「テロリスト国家批判」に矮小化することに反対ではないが、私は、あまり、そういう政治技術的な問題には興味がない。


イスラムの問題は、テロリズムやテロリストの問題に矮小化させて済む問題ではない。イスラム社会と欧米先進国社会との長い長い闘いの歴史がある。ユダヤ教キリスト教イスラム教。イスラム問題の根底には宗教戦争の歴史がある。ここから目を逸らすとことは出来ない。


解決できない問題かもしれないが、避けることのできない問題だろう。我々日本人には、キリスト教イスラム教の対立=抗争、あるいはキリスト教ユダヤ教との対立=抗争は、無縁の問題だろう。


従って、すぐに、欧米先進国が情報戦の一環として主張する倫理的、イデオロギー的視点から見ようとする。しかし、そこに、問題がある。我々は、「イスラム問題」が簡単にかたずく問題だと錯覚している傾向がある。「イスラム問題」は、まず解決不可能な問題だと知ることから、始めるべきだだろ。


安易な解決があると錯覚=妄想することから、新しい国際問題が発生する。安倍首相は、中東訪問で、「中庸による和解」を説いたそうである。それで、「イスラム問題」は解決する?安倍政権側近の誰かが(世耕?)、思い付きで入れ知恵したのだろうが、安倍晋三の政治指導者としての弱点は、その種の一夜ずけの解決案に安易に飛びつくところにある。そもそも「中庸の哲学」とは何か?

「中庸が最善」 中東歴訪で強調 首相、預言者の言行録引用
2015年1月22日 朝刊


 安倍晋三首相は十六〜二十一日の中東歴訪で、「中庸(ちゅうよう)が最善」という言葉を多用し、中東地域の安定を訴えた。台頭する「過激主義」に対して中庸を打ち出すことで、中東和平実現に向け日本独自の貢献をアピールし、存在感を高める狙いがあった。
 「中庸が最善」は、イスラム教の預言者ムハンマドの言行録(ハディース)に残されている言葉。豪華な服を着た人物と、貧しそうな服装の人物を前にこう述べたといわれている。ムハンマドはこれ以外にも「過激であるべきでない」といった言葉を残し、「中庸」の重要性を強調したとされている。
 首相は十七日、最初の訪問国エジプトの演説でこの文言を引用。アラビア語で「ハイルル・ウムーリ・アウサトハー」とも口にし、「伝統を大切にし、中庸を重んじる点で日本と中東は脈々と通じるものがある」と共通の風土に触れ和平実現のため中東の知恵を訴えた。
 日本人殺害警告が出た二十日にはイスラエルで行った記者会見で、十七日とは違って「イスラム国」の過激主義を非難する中で「中庸こそ最善」と強調。「過激主義とイスラム社会は別もの」と言及し、解決へ中東諸国との連帯に期待した。
 首相は普段は「中庸」という言葉を口にすることはない。今回の狙いについて、菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十一日の会見で「中東諸国が過激主義に陥ることなく、民生の安定を目指して努力していく重要性を強調した」と説明した。(高山晶一、カイロ・中村禎一郎)


安倍首相は、昨年9月の時点では、ニューヨークで、エジプト大統領と会談し、米国の「イスラム国」壊滅作戦を支持している。今さら、「中庸」を説いても、説得力はないだろう。

首相「空爆イスラム国壊滅を」 エジプト大統領と会談
2014/9/24 10:19日本経済新聞



【ニューヨーク=永沢毅】安倍晋三首相は23日午後(日本時間24日朝)、エジプトのシシ大統領と会談し、米軍による過激派「イスラム国」掃討を目的としたシリア領内での空爆について「国際秩序全体の脅威であるイスラム国が弱体化し、壊滅につながることを期待する」と述べた。大統領は「国際的な努力は支持したい」と応じた。



人気ブログランキングへ

米メディア「イスラム国側の主張は筋違い」



 アメリカのメディアは、今回の人質事件について、日本の関与は人道支援に限定されているとして、「十字軍に加担した」とするイスラム国側の主張は筋違いだとする報道が目立っています。

 CBSやCNNなどアメリカの主要メディアは、大統領の最も重要な演説と位置づけられる一般教書演説と重なったにもかかわらず、この問題にかなりの時間を割いています。

 この中で各メディアは、日本と中東の関わりに触れ、「日本の援助は人道分野で、イスラム教徒を助けるものに限定されている」として、「イスラム国と戦う十字軍に加担した」とのイスラム国側の主張を筋違いだとしています。

 一方、240億円の身代金要求についてアメリカ政府側は、表向きは、テロ組織を資金で直接支援する行為であり、また、身代金を支払えば、味をしめたイスラム国に日本人が拉致されるリスクが高まるとして反対の立場を明確にしています。

 しかし、ヨーロッパ諸国には身代金を支払って人質解放にこぎつけた国もあることから、日本の自主的な判断を尊重するとの立場で、現在行われている解放交渉の関係者に関する情報など、CIAなどが持つインテリジェンス情報を提供することで日本政府を支援する方針です。(22日06:00)

人気ブログランキングへにほんブログ村 政治ブロへ (続きは、『思想家・山崎行太郎のすべて』が分かる!!!有料メールマガジン『週刊・山崎行太郎』(月500円)でお読みください。登録はコチラから→http://www.mag2.com/m/0001151310.html