文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

「曾野綾子研究ー6ー」。曾野綾子は、何故、「朝鮮人軍夫」問題を書かなかったのか? 赤松嘉次は渡嘉敷島の守備隊長であった。赤松部隊には、「朝鮮人軍夫」と「朝鮮人慰安婦」がいた。彼らに対する処遇は酷いものだったという。だが、曾野綾子は、そのことは一言も書いていない。隠蔽しているのだ。何故か ?何故、とりわけ赤松部隊における「朝鮮人軍夫問題」をパスしたのか?知らなかったのか?情報や資料がなかったのか?そんなことはない。曾野綾子は知っていて書かなかったのだ。赤松嘉次や赤松部隊の「悪事」を暴露することになるからだ。

曾野綾子は、この「朝鮮人軍夫問題」については、こう書いて、逃げている。つまり、明らかに「朝鮮人軍夫問題」を隠蔽している。

当時、渡嘉敷島には、210名の朝鮮人が軍夫として連れられて来ていた。彼らについて、赤松部隊には、ろくろく記憶もないことを山田氏は非難した。
「ぼくたちは『あんたたちは朝鮮人軍夫を殺したそうだが』『殺しません』というわけです。朝鮮人の殺され方は全く悲惨です」
私は故意にこの問題を避けたわけではなかった。しかし山田市氏の言う通りであった。赤松隊員の誰彼にきいても、皆記憶を絞り出すような表情はしたが、明確な記録や思い出を持つ人は殆どいなかった。


(中略)


しかしこれとても、勤務隊第三小隊所属の曽根元一一等兵のように、彼ら軍夫たちを語らって逃亡させた立場の人に訊いてみれば、又、別の視点があり得るだろう。曽根氏は私が今も会いたいと思っている人の一人である。》

(中略)

朝鮮人軍夫に関する記録は、少なくとも赤松隊からは出て来ない。


(曾野綾子沖縄戦 渡嘉敷島 集団自決の真実』)

「頭隠して尻隠さず」とは、曾野綾子のことだろう。つまり、「朝鮮人軍夫に関する記録」がないというのは、曾野綾子の「大嘘」である。みんなで口裏を合わせて、「ないことにしよう」としているにすぎない。この口裏合わせの隠蔽工作に、赤松嘉次、皆本義博ら、赤松部隊の隊員たちはもちろん、曾野綾子も加担している。曾野綾子が全面的に信頼し、依存し、熟読しているはずの『陣中日誌』に、朝鮮人軍夫のことが書かれていないはずはない。さらに曾野綾子は、朝鮮人軍夫関連で「曽根元一一等兵」に会いたいと書いているが、積極的に「曽根元一一等兵」を探した形跡はない。しかし、「曽根元一」を探し出して、インタビューした人がいる。そのインタビューでの「曽根元一一等兵」の証言によると、残虐な殺人鬼集団と化してしまった赤松部隊の素顔が見えてくる。それでも、曾野綾子は、沖縄住民に刃を向け、次々に住民斬殺を繰り返す赤松嘉次や赤松部隊を、立派な、名誉ある皇軍として擁護しようというのか?
曾野綾子朝鮮人軍夫について、太田良博が、決定的な発言をしている。太田良博は『鉄の暴風』の筆者の一人であり、その後、曾野綾子と論争を繰り返した人である。

■『ある神話の背景』は「非政治的」か?(太田良博)



『ある神話の背景』に、「勤務隊第三小隊所属の曽根元一等兵のように、彼ら軍夫たちをかたらって逃亡させた立場の人に訊いてみれば、又、別の視点があり得るだろう。曽根氏は私が今も会いたいと思っている人の一人である」というくだりがある。
『ある神話の背景』の取材中に私は作者と二度あった。私が曽根一等兵の話を、作者から聞いたのは、那覇港に近いシーメンス・クラブで会ったときだったとおぼえている。
そのとき、朝鮮人軍夫の話がでて、ついでに曽根一等兵のことを作者が話した。
曽根一等兵は元共産党員だが、渡嘉敷島朝鮮人軍夫何十人かをこっそり逃がしてやったというのである。曽根もいっしょに逃げたらしいが、初めて聞く話で、私は興味をそそられた。曽根一等兵は勤務隊の兵隊で、戦隊員ではなかったが、赤松大尉の指揮下にあった。
おそらく、渡嘉敷島日本兵の中で、赤松隊の行動を批判的な目でみていた唯一の人物ではないかとおもわれる。また、彼だけは赤松と「同じ穴のムジナ」ではなかったということで、真相をつたえてくれる人物であるような気がする。
作者は、「曽根氏は私が今も会いたいと思っている人の一人である。会えば視点も変わるだろう」と言っている。
曽根元一等兵と会わずに『ある神話の背景』を書いたのは、ちょっと、軽率だったように、私には思える。しかし、彼と会っておれば、『ある神話の背景』は書けなかったかも知れないという気もするのである。
彼と会わなかったということ、「赤松戦隊員」だけと会って証言を取ったということだ けでも、『ある神話の背景』の「軍側の証言」は証言力がはなはだ弱いと見ないわけにはいかない。
シーメンス・クラブで、朝鮮の軍夫の話がでたとき、「朝鮮の人たちのことが発表されたら、それこそ大変なことになるでしょうね」と、曽野氏が真顔で語ったのは印象的だった。「それは、そうでしょうね」と私はうなずいたが、とにかく、曽野氏が、朝鮮の人たちの話は、タブーだとして回避する意向であったことがわかる。『ある神話の背景』では、軍夫に対する赤松隊員の加害行為についてはほとんどふれていない。
(「沖縄タイムス」)

『鉄の暴風』を書いた太田良博でさえ知らない「曽根元一一等兵」の朝鮮人軍夫や朝鮮人慰安婦を引き連れての集団逃走劇を、何故、曾野綾子は知っていたのか?それは、曾野綾子が、赤松部隊の「陣中日誌」で読んでいたからだろう。これで、曾野綾子の嘘と、『沖縄戦 渡嘉敷島 集団自決の真実』の執筆意図とが見えてくるだろう。曾野綾子は、「曽根元一一等兵」に会えなかったのではなく、会いたくなかったのだ。何故か?「殺人鬼集団」と化して渡嘉敷島の山中に篭る赤松嘉次の正体、赤松部隊の正体がバレるからだ。
さて、話を元に戻す。曾野綾子が言うように、本当に「陣中日誌」には、「朝鮮人軍夫」の記録は残されていないだろうか。「曽根元一一等兵」が朝鮮人軍夫約20名を引き連れて逃亡し、米軍に投降する。慌てた赤松部隊が、急遽、捜索隊をだす。その様子が、「陣中日誌」には、次のように書かれている。

六月三十日 ○六〇〇 第三中隊所属水上勤務隊軍夫吉本(名不詳)より岩村班等昨夜逃亡せる旨報告あり、一四三〇 阿波連駐止斥候連下隊(れんげたい)より連絡兵二名特設水上勤務隊曾根一等兵を主謀とする某事件の報告を受く。一八○○ (*1)新海中尉以下二十二名捜索隊を編成、曾根一等兵以下の偵察に出発す。
某事件とは特設水上勤務隊斎田少尉以下二四〇名朝鮮人を主力とする軍夫で戦隊の舟艇を秘匿する舟艇壕の掘進、舟艇の泛水、引揚、器材の運搬を目的として集められ戦場へかり出されたものである。敵の上陸後は西山複廓陣地に於いて日夜連日陣地作り(防空壕、タコ壺掘り)弾薬器材の集積に従事し武装する兵器なく、唯自決用の手榴弾一コのみ与えられたるまったくの丸腰である。敵弾の落下する中、不足したる食糧に飢え精神的な焦燥に耐え切れず敵軍に集団投降を企て逃亡したる事件である。

 
七月三日  第二中隊多里少尉以下A高地の敵陣に攻撃を実施之を撃退の後引揚ぐ、整備中隊の重機関銃之を側面より援助攻撃す。敵は渡嘉敷に退避す。
戦数利品 自動小銃二、弾丸六箱文字色、手榴弾一三、鉄帽一 昨日に引続き捜索隊を編成出発す。


(七月四日  知念少尉以下一〇名逃亡セル曽根一等兵並ビニ軍夫捜索の為渡嘉敷南部方面に向ヒ出発ス 一七〇〇A高地附近及び阿利賀ノ稜線ニ迫撃砲並ニ軽機の連射アリ
〇二〇〇須賀上等兵以下二名逃亡者捜索ヨリ帰隊ス )



七月四日  知念少尉以下十名、曾根一等兵及軍夫捜索の為、渡嘉致島南部阿波連方面に向い出発す。
一七〇〇A高地附近及阿利賀稜線迫撃砲並に軽機の連射はげしい。
 

(七月五日  一三〇〇捜索隊河崎軍曹以下七名逃亡中ノ軍夫四名
        捕縛本部ニ護送帰隊シ捜索隊ノ解散ヲス )


七月五日  〇二〇〇 須貨上等兵以下二名、捜索より帰隊す。 一三〇〇捜索隊河崎軍曹以下七名逃亡者四名を逮捕し本部に護送帰隊す。本日を以って捜索隊を解散各原隊に復帰せしむ。
     

曾野綾子は、朝鮮人軍夫の記録は残されていないし、また赤松部隊の隊員たちの記憶にもないと言うが、ちゃんと記録は残されているではないか?赤松嘉次や赤松部隊の生き残りの連中が知らぬはずはない。記憶がないはずがない。大嘘である。では、「逃亡者四名を逮捕し本部に護送帰隊す」とあるが、その後、この四人の朝鮮人軍夫は、どうなったのか。間違いなく斬り殺されたであろう。

(続く)


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■「SAPIO」(2007/11/28)で池田信夫と対談し、「罪の巨魁」と、(大江健三郎は「罪の巨塊」と書いている!!!これが曾野綾子の誤読・誤字事件)・・・ボケ発言を連発した曾野綾子。ここには「前編」と書いてあるが、「後編」は出たのか?恥ずかしくて前編で打ち切り?


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