文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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漫画家は、何故、自殺しないのか?---つげ義春試論

僕は「つげ義春」を読んだことがない。名前は知っている。それもかなり昔から、独特な漫画を描いているらしいことを、それとなく知っているが、一度も読みたいと思ったことがない。不思議だ。何故だろう。あまりにも「文学的」だからだろうか?

小林リズムさんが、Twitterに、つげ義春の漫画から引用している言葉を読んで、何となく理解できたような気がする。小林さんが引用しているのは、「「私恐いわ。あなたの性格って自分で自分をダメなほうへ追いこんでゆくんだもの」・・・。

柳田國男が、「青年と学問」で、「学者は自殺しない」と書いている。柳田國男は、何が言いたいのか。学問の虚構性か。柳田は「文学者は自殺する」と言いたいのだ。北村透谷、川上眉山から芥川龍之介太宰治三島由紀夫江藤淳・・・。

文学者は、何故、自殺するのか。おそらく文学者の無意識層には、多かれ少なかれ、暗く、過激な破壊衝動、自滅衝動ともいうべきものが眠っている。この「暗く、過激な破壊衝動、自滅衝動」こそ文学の存在根拠である。

一方、漫画家は、破壊衝動や自滅衝動を漫画のテーマとしては描くことはあっても、自殺することはない。僕は、漫画業界の知識は乏しいが、漫画家が自殺したという話を聞いたことがない。過激なギャク漫画家の赤塚不二夫も自殺はしていない。

閑話休題。僕は知らなかったが、漫画家にも自殺者がかなりいるらしい。しかしその場合の「自殺」は、「自殺」の意味が違うのではないか、と思う。文学者の場合の自殺は、かなり高名な、その時代の代表的な文学者が多い。つまり、才能の欠如ではなく、才能の過剰による自殺である。

さて、話を、小林リズムさんが引用しているつげ義春の言葉に戻す。つげ義春は、作品の中でこう書いている。「私恐いわ。あなたの性格って自分で自分をダメなほうへ追いこんでゆくんだもの」・・・。僕の批評は、この台詞にこだわる。何故か?
(続く)


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