文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

松田賢弥の『角栄になれなかった男ー小沢一郎全研究』は、「小沢一郎を裏切って自民党側に寝返った男・・・」として知られる「高橋嘉信(元小沢一郎秘書)」を情報源とするガセネタ本である。

しかも、すでに「小沢裁判」の過程で偽証であることが暴露された水谷建設元社長(川村尚)の証言による「現金受け渡し場面」がこの本のハイライトになっている。これだけでもう失格なのだが、さらに、石川議員(元小沢一郎秘書)を取り調べた田代検事証言を、これも「捜査報告書偽造」が明らかになっているわけだが、松田賢弥は、愚かにも、この偽造された田代検事証言を中心とする検察情報を信頼しているらしく、大真面目に引用し、延々と解説しているのだから、笑わせる。即刻、廃棄すべきインチキ本である。講談社ともあろう出版社が、よくもこういういかがわしい「インチキ・ガセネタ本」を出したものである。それとも、まだ、講談社の担当編集者たちは、ここに書かれている「衝撃の証言」とやらがガセネタてあるという事実を知らないのだろうか。不勉強もいいところである。「追及20年のジャーナリストが描く『小沢研究』の決定版!」ということだが、今になってみれば、誰が読んでも、正確には、「ガセネタ満載の『小沢研究』の決定版!」と言うべきところだけろう。前にも書いたが、松田賢弥の『角栄になれなかった男ー小沢一郎全研究』の冒頭前半部分の「非情のルーツ」は、『闇将軍 野中広務小沢一郎』の文章の中の「第六章 裸の履歴書」をそのまま再録したものである。「小沢一郎全研究」とあるから、今まで書いた「小沢一郎研究の集大成」という意味で「再録」でもかまわないと思っているのかもしれないが、新刊である以上、前著を絶版の上ならともかく、常識はずれの本づくりであると言わなければならない。加筆したとあるが、僕が確認できた加筆部分は、なんと、『闇将軍 野中広務小沢一郎』の「あとがき」からの引用だった。実は、この加筆部分は、僕が前回、『闇将軍 野中広務小沢一郎』の「あとがき」から引用した部分である。

 東京に集団就職に向かう中学を卒業した同級生の子らを見送りに東北本線のの駅まで行ったことがあった。男の子は一様にツメ襟の学生服の上に、新調したばかりの白っぽいコートを着ていた。ソデが長く、手首まで隠れていた。女の子は髪を三つ編みに結び、リンゴのように赤く染まった頬をしていた。皆、十五歳だった。その子たちの乗る車輛は集団就職列車といった。
 駅に来ていたのはほとんど母親で、地元の人が「角巻」と言う赤い毛布のような外套をはおっていた。
 列車の発車を告げるベルが鳴った。
 「頑張れよ。身体、壊すんでねえぞ。ちゃんと食うものを食ってなあ」 (中略)
 わが子にそう声をかける母親らに、同級生らはウン、ウンと肯(うな)ずきながらも、うつむきかげんになるのだった。列車が動き出す。
 「せば、行ってぐるから。盆と正月には帰ってくるがら。手紙書ぐごど忘れねえがらな。かっちゃも風邪ひがねでなあ」
子供たちはそう声高に言っては手を振った。母親らは軍手のようにゴワゴワした手袋であふれる涙をこすっていた。

 思い入れたっぷりの感動的な「美文」である。おそらく、これに近い風景はあったかもしれないが、この文章は、明らかに「嘘」で塗り固められているはずだ。古臭いセンチメンタリズムとロマンチシズムで成り立つ歌謡曲や映画の見すぎである。松田賢弥の文章には、この種の美文というか、青臭い文学青年崩れの書きそうなセンチメンタルな文章というか、甘ったれた文章が多すぎるように見える。僕は、松田賢弥よりも七歳年長である。「ああ上野駅」という井沢八郎の歌も、同時代的によく知っている。僕は、九州の片田舎の生まれで、東北地方には疎いが、不思議な縁で、東北の中では例外的に、北上や水沢、花巻周辺はよく知っている。先月も、鈍行列車で北上、水沢、花巻、盛岡・・・へ行って来た。震災現場を見に行ったわけではなく、芭蕉の『奥の細道』の足跡をたどってみたかったのである。さて、「中学を卒業した同級生の子らを・・・」となっているが、この部分は、前著の「後書き」では、「中学を卒業したばかりの子らを・・・」となっていた。「同級生の・・・」という言葉を書き加えているということは、松田賢弥自身は、集団就職組ではなく、高校進学組だったのであろう。何故、この「同級生」を書き加えたのだろうか。集団就職組でもないのに、あたかも集団就職組であるかのような感情移入の仕方が、あまりに白々しいかったからだろうか。いずれにしろ、「同級生」という言葉の加筆はあるが、ほぼ全文が引用である。言うまでもなく、これは厳密に言えば加筆ではない。前著からの引用である。したがって、この本は、新刊本のふりをした復刊本とでも言うべき本である。さて、松田賢弥は、「3・11東北大震災」以来、東北の「岩手県北上市」出身ということもあって、大震災を、ジャーナリスト稼業を続けていく上での「売り物」に、あるいは「商売道具」にしようとしているようだ。たしかに東北地方沿岸部を襲った大震災は、日本国民にとって衝撃的な出来事であった。しかし、松田賢弥のように、いかに衝撃的な「東北大震災」であっても、あまりにもしつこく、被災者でもないのに「被災者気取り」で、「大震災」「大震災」・・・と繰り返されると、少し鼻につく。「お前は被災者ではないだろう・・・」「被災者を代弁するのは止めろよ・・・」「東京に住んで何が被災者の気持ちだ・・・」と言いたくなる。震災地でのボランティアが激減したとか、義捐金が集まらなくなったと言うが、おそらく多くの国民が、被災者を代弁する被災者気取りのニセモノたちによる、「大震災」「大震災」という浮ついた言葉の合唱に生理的に嫌悪感を感じ始めたからではないか、と僕は考える。やるべきことをやる代わりに、言葉だけが先行しているのだ。松田賢弥は、故郷岩手の被災地に足を踏み入れていないことを捉えて、「小沢一郎は故郷を裏切った」とか「故郷岩手を見捨てた」・・・と何回も書いているが、これは、あまりにも幼稚・稚拙な、そして表層的な物の見方と言うべきだろう。松田賢弥自身も、被災地現場に乗り込んだとは言うものの、被災地現場を遠くから眺めていたに過ぎない。それも何回か・・・。





自民党に寝返った高橋嘉信元秘書のインチキ証言を鵜呑みに・・・「第五章ー元秘書・高橋嘉信 衝撃の告白」がこの本のハイライトです(笑)。(P211)


★「石川秘書に全日空ホテルで現金を手渡した・・・」という「川村(水谷建設元社長)証言」の解説の部分・・・。(P294)


★川村元社長の証言による「大久保秘書への現金引き渡し」の場面・・・。(P296)


★「暴力団の子分が・・・」という田代検事の「捏造証言」を鵜呑みにして石川批判を書きつづった部分・・・。(P290)



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