文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

吉本隆明「big. tomorrowインタビュー記事」を読む。

昨日、朝日カルチャーセンターの「小説教室」の帰りに、立川ルミネ8fにある本屋で、店員に探してもらって「big. tomorrow」8月号を手に入れた。今、日本国民の間に蔓延している「脱原発ヒステリー」や「反原発ヒステリー」を、冷徹に批判しているらしい吉本隆明のインタビュー記事を読みたかったからだ。吉本隆明は、今、87歳だそうだ。あの吉本が「87歳」とは、俄かに信じられないが、しかしよく考えてみるまでもなく、当然、それぐらいになっていてもおかしくない。言うまでもなく、吉本隆明は、日大芸術学部文芸学科出身の作家「吉本ばなな」の「お父さん」である。しかし、僕の世代の人間にとって、吉本隆明はあくまでも吉本隆明である。「戦後思想の巨人」であり、「戦後論壇の教祖」である。僕が最初に買った吉本隆明の本は、『吉本隆明詩集』であり、『自立の思想的拠点』だった。その鋭い批判能力には感動し、少なからぬ影響を受けたが、いわゆる吉本隆明信者にはならなかった。吉本隆明と吉本信者はまったく異なると考えていたから、僕は、同世代の吉本信者の若者たちを軽蔑していた。「お前らは、愚かなエピゴーネンに過ぎない」「自己幻想がどうの、対幻想がどうの、自己表出がどうの、と騒いでいるが、何もわかっていない」「吉本隆明はホンモノだが、お前らはニセモノだ」と。無論、僕は、その頃、出はじめた「吉本隆明全著作集」も全巻買い込み、熟読していた。誰よりも深く吉本隆明思想を理解していると自分では思っていたが、口には出さなかった。慶應大学時代、唯一の話し相手だった先輩の樽井正義さん(現、慶応大学哲学科教授)に、喋ったくらいだ。というのも、僕は、あくまでも、小林秀雄江藤淳の系列に、自分の思想的立場を位置づけていたからだ。左翼的な吉本信者が、いずれ消滅することは目に見えていた。そして現にその通りになった。また、一方では、その頃流行しはじめた構造主義ポスト構造主義などの影響を受けて、「吉本隆明はボケた」とか「吉本隆明の言語論は古い」と言い始めている連中にも事欠かなかった。僕は、そういう流行かぶれの「おフランス派」にもかなり激しい違和感を感じていた。あれから、何年経つだろう。さて、87歳の吉本隆明は? 歳はとっても吉本隆明の頭脳は衰えていない。そのインタビュー記事に現れた若々しい思考力と鋭い発言には恐れ入る。「吉本隆明はボケた」とか「吉本隆明は古い」などとホザいて、粋がっていた連中は、何処へいったのか。マスコミからも論壇からも、跡形もなく消えているではないか。繰り返していう、吉本隆明の頭脳は依然として衰えていない。たとえば、吉本は、こう言っている。
≪いま、原子力発電所のひどい事故で、もう核エネルギーはダメだと言う人もいます。やめてしまえば安全だ。人災も起こらない、と。しかし、この文明社会の中でそんなことを大つぴらに民衆にたいして言うのは、最も愚かなことだと思います。なぜなら、文明の発達というのは、後ろに巻き戻すことはできないからです。≫
≪危ないから壊して捨てる。この処方箋はとてもわかりやすいものです。しかし、どのわかりやすさや早急さに引っ張られ、僕ら庶民が自分の頭で考えることをやめてしまうのは最もいけないことだと思います。≫ーー
さすが吉本隆明である。何事にも、そして何者にも妥協しない吉本隆明的批評精神の強靭さには、今更ながら、驚嘆するほかはない。ひそかに「吉本隆明のように生きたい」と思っていた若い頃を思い出す。「反原発ヒステリー」「脱原発ヒステリー」の集団発狂踊りに明け暮れる愚民どもには、吉本隆明の言葉は届かないかもしれないが、しかし、僕には確実に届いている。吉本隆明がいる以上、日本もまだまだ捨てたものではない。吉本隆明に比べれば、マスコミや愚民どもが手放しで持て囃す武田某も広瀬某も、そして京都大学助教の小出某も・・・、時勢に迎合して、ゴミ本を書き散らすクズ人間でしかない。僕には、ゴーストライターに、一晩で書かせたような駄本を、次から次へと自著として出版する彼等の神経が分からない。ゴバンザメ以下である。小出某が、今なお、「助教(昔の助手)」であることを過大評価する者がいるが、小出某は、吉本隆明のように国家にも組織にも属さず、一匹狼として生きてきたわけではなく、「京都大学教官」として、国家公務員生活(今はどういう身分か知らないが・・・)を満喫してきた人である。清貧に甘んじてきたわけでもない。国家に依存して生きてきた人間である。外野席から、無責任な暴言を吐き続けている野次馬にすぎない。いずれ、馬脚が露呈するはずである。
(続く)

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