文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

天皇の「国事行為」と「公的行為」の憲法解釈について。

 


天皇の国事行為についての発言に関して、小沢一郎幹事長が記者会見で「撤回」を行ったようだが、たしかに憲法の条文をそのまま文字通りに理解し、解釈するならば、皇室外交や外国賓客との会見は憲法の記す国事行為には含まれておらず…(内閣総理大臣および最高裁長官の任命、憲法改正・法律・政令・条約の公布、国会の召集、衆議院の解散、総選挙施行の公示、大臣および法律の定める官吏の任免や全権委任状および大使・公使の信任状の認証、恩赦の認証、栄典の授与、批准書や外交文書の認証、外国の大使・公使の接受、儀式を行うことなど…)、小沢幹事長の「外国賓客との会見も国事行為だから、内閣の助言と承認が必要…」という趣旨の発言は勘違いだったかもしれないが、それを、「小沢発言が間違っていた」というふうに拡大解釈し、羽毛田信吾宮内庁長官の「天皇の政治利用」発言は間違いではなかったかのように解釈することには、大いに疑問があると言わなければならない。なぜなら、「皇室外交や外国賓客との会見…」は、「国事行為」の項目には含まれていないかもしれないが(国事行為の「儀式を行う」に含まれると解釈する憲法学者もいるが…)、「準国事行為」としての「公的行為」である以上、歴代の自民党政権下においてそうであったように、決して「内閣の助言と承認」の埒外にはなく、あくまでも「内閣の助言と承認」のもとにおいてなされてきたという歴史的現実がある以上、小沢発言が間違っているとは言えないからだ。つまり小沢発言は、憲法の条文をそのまま適用するという原理原則論的見地からみれば間違いといえなくもないが、憲法の実践的な運用の場面での解釈としては、間違ってはいない。つまり自民党政権時代には、「皇室外交や外国賓客との会見」、あるいは皇室外交時の「天皇陛下のお言葉」は、陛下の自由意志や宮内庁の独断でなされるわけではなく、あくまでも「内閣の助言と承認」のもとになされてきたからである。したがって、羽毛田信吾宮内庁長官の記者会見における「民主党政権主導の中国副主席との会見セッティングは天皇の政治利用だ」という発言は、それ自体が、「民主党憎し」「小沢一郎憎し」に凝り固まった自民党シンパであるらしい羽毛田信吾宮内庁長官による政治的な、謀略発言だったというべきなのだ。自民党による「天皇の政治利用」は問題ないが、民主党による「天皇の政治利用」はケシカラン、憲法違反だ…と考えているらしい羽毛田信吾宮内庁長官こそ、天皇の権威をカサにして、天皇を自分たちに都合よく政治利用していたと言うべきなのだ。すでに前にも書いたが、平成四年、訪中直前の記者会見で、天皇陛下は、こう語っている、「この度の中国訪問のことに関しましては,種々の意見がありますが,政府は,そのようなことをも踏まえて,真剣に検討した結果,このように決定したと思います。私の立場は,政府の決定に従って,その中で最善を尽くすことだと思います。」と。この時の天皇訪中にも、羽毛田信吾宮内庁長官は、関っていたのだ。僕が、この問題の発生直後から、君側の奸・羽毛田信吾宮内庁長官を排除せよ・・・というのは、そういう経緯と背景があるからだ。




■ http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091221/stt0912211532003-n1.htm

民主党小沢一郎幹事長は21日午後の定例記者会見で、天皇陛下習近平中国国家副主席との特例会見を「国事行為」と論じていた点について、「憲法で規定している 国事行為にはそのものはありません」と述べて撤回した。
 そのうえで小沢氏は「憲法との理念と考え方は、天皇陛下の行動は内閣の助言と承認によって、行われなければならない」と述べ、外交要人とのご会見も、内閣の 助言と承認に沿って行われるべきとの考えを示した。
 また、「天皇陛下にお伺いすれば、(特例会見を)喜んでやってくださるものと私は思っております」と述べた。


■ http://www.nikkei.co.jp/news/main/20091221ATFS2101321122009.html
民主党小沢一郎幹事長は21日の記者会見で、外国要人との会見が憲法が定める天皇の国事行為にあたるとした自身の発言について「憲法で規定している国事行為にはそれはない。
 しかし、憲法の理念と考え方は、天皇陛下の行動は内閣の助言と承認によって行われなきゃならない。天皇陛下には全くのプライベートはないに等しい」と述べた。「天皇陛下の行動の責任を負うのは内閣。国民の代表、国民の選んだ政府、内閣が責任を負う。内閣が判断されたことを受けて天皇陛下が行動されるのは当然のことだと思うし、天皇陛下にお伺いすれば当然のこととしてやってくださることだと思う」と語った。
 小沢氏は先に来日した中国の習近平国家副主席が天皇陛下と慣例を破って会見したことに懸念を示した宮内庁羽毛田信吾長官を批判。天皇の国事行為は内閣の助言と承認によるとした憲法の規定を持ち出していた。


人気ブログランキングへにほんブログ村 政治ブロへ