文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

外資系エコノミストは外資系金融機関のエージェントか?


亀井発言問題で一番先にマスコミに登場し、マスコミや世論を「亀井バッシング」に誘導したのは外資エコノミストで、自称「国際金融のプロ」と称する連中であったが、彼等は国際金融のプロというより、外資系金融機関のエージェントとでも呼ぶべき連中であって、眼の飛び出るような彼らの高給を保障してくれる雇い主、もしくは取引先である外資系金融機関が、日本の金融市場で動きやすいように「広報洗脳活動」を繰り返すことを職業的使命としている。彼等が、「規制緩和」「構造改革」「市場開放」・・・等の美名の下に「改革」を声高に繰り返してきたのは、もちろん日本や日本国民のためではない。彼等が外資系金融機関のためにハイエナのごとく働いていることを批判するつもりはない。ただ、ここで強調しておきたいことは、彼等、外資エコノミストの役割が、あくまでも外資系金融機関の利益を第一と考える「エージェント」にすぎないということを知っておくべきだということだけだ。ところで、テレビや新聞などに登場する正体不明の怪しいエコノミストの大半が、実は外資系金融機関の社員か顧問になっている。しかも、日本のテレビや新聞は、彼等を「国際金融のプロ」として扱い、彼らの分析や意見を尊重し、過大評価している。かくして、多くの国民が、「構造改革」へと次第に洗脳されていくわけだが、マスコミが自分の頭で考えることを放棄して、全面的に外資エコノミストたちの与太話に依存している以上、それも仕方ないのかもしれない。以下は、毎日と産経の記事である。まず、毎日。

新内閣:「亀井金融相」に関係者戸惑い


 亀井静香国民新党代表の郵政・金融担当相の起用について、エコノミスト証券アナリストなど金融関係者の間では「行動力には期待する」(外資系証券)との評価の一方、戸惑いの声も漏れた。

 銀行・証券などは世界金融危機で受けた痛手からの回復途上にあり、クレディ・スイス証券白川浩道チーフエコノミストは「金持ち優遇批判から、証券優遇税制の廃止に踏み切れば、証券市場は冷え込む」と警戒する。「中小企業への貸し渋り対策と称して、銀行への風当たりが強まるのでは」(大手証券)との見方もある。

 また、外国人投資家は郵政民営化による構造改革路線を評価して日本株を買い進めた実績があり、白川氏は「亀井氏の起用は郵政民営化路線の終わりに駄目を押した形。違う形で行財政改革が進まなければ、外国人投資家の評価は得られない」と指摘。菅野雅明・JPモルガン証券チーフエコノミストは「郵政事業が政治に振り回されるのは好ましくない。事業効率化の観点から一度、立ち止まって考えるべきだ」と話す。
(以下略)
【田畑悦郎、工藤昭久】

毎日新聞 2009年9月15日 21時30分(最終更新 9月15日 22時38分)


次は産経。

新政権で金融株激震 亀井など閣僚発言が波乱要因
9月18日22時39分配信 産経新聞

 亀井静香郵政改革・金融相が金融機関の融資の返済猶予制度(モラトリアム)の早期導入を表明し、株式市場が大揺れだ。導入に慎重な藤井裕久財務相の発言が伝わり、18日は持ち直したが、政治主導の経済政策運営を打ち出す新政権下で、閣僚の発言が相場の波乱要因になっている。亀井金融相が代表を務める国民新党社民党内には「金持ち優遇・弱者切り捨て」批判もあり、金融市場で連立政権への警戒感が強まっている。

 「革命的な政策を展開しなければならない」。亀井金融相が主張しているのが、中小・零細企業支援のために、金融機関に対する債務の返済を3年間猶予するモラトリアム法の実現だ。この構想が伝わると、金融機関の利息収入が激減するとの連想から、政権が発足した16日から銀行株が売り込まれた。18日には、りそなホールディングスなど実に22行が取引時間中の年初来安値を更新し、アイフルの経営不安も、下げを強める材料になった。

 ようやく銀行株が下げ止まったのは、18日の閣議後会見で、藤井財務相が「日本は昭和初期(の恐慌時)にやっているが、さてそういう状況なのかな」と語り、モラトリアム法に慎重な見方を示してからだ。

 国民新党は、昨秋にまとめた金融安定化対策で、大証に上場している日経225先物取引を「株価が乱高下する一因」として廃止を打ち出した。小泉構造改革を「市場原理主義」と批判して市場介入の姿勢も示唆し、亀井氏の金融相内定が伝わると、市場では「市場活性化が後手にまわる」(エコノミスト)など警戒する声が上がった。

 バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは「こうした動きが強まれば、海外の投資家は日本への投資を控えるだろう」と指摘し、「新政権は市場との対話能力を改善すべきだ」と強調する。
最終更新:9月25日17時22分

以上からわかるように、金融問題に関しては、日本の新聞は、完全に思考停止状態で、全面的に外資エコノミストに「おんぶに抱っこ」状態である。彼等、外資エコノミストの発言の中身を議論する前に、彼等が誰のために、何を目的として、このような発言しているかを確認しておくべきだろう。言うまでもなく、彼等は、自由な、公平な立場から、日本経済に関して発言しているのではない。この問題を解明していく上で、佐藤優が「新潮」に連載している『高畠素之の亡霊』で、こう書いているのが参考になるだろう。

経済的基盤の整わないところで、知的活動は不可能である。ただし、スポンサーから資金を提供されていると思想の自由を失う。高畠素之は、国家社会主義を掲げる右翼運動を展開したが、特定の資本家や富裕者から献金を受けることを避けた。(中略)
他者、とりわけ外国の資金に依存しているような者に本気で革命を行うことはできないと高畠は考える。(中略)
資金提供者に依存しない思想を営むためには、自らの手で生活費と活動資金を調達しなければならない。
(「新潮」11月号、P288-289)

「外国の資金に依存しているような者に本気で革命を行うことはできない・・・」。これは、昔も今も、変わらぬ真実だろう。まさに外資エコノミストは、「外国の資本に依存しているような者」である。彼等の思想や知的活動が自由でないことは当然であろう。私は、クレディ・スイス証券白川浩道チーフエコノミストにも、菅野雅明・JPモルガン証券チーフエコノミストバークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストにも、何の関心もない。彼等が、外資系金融会社の奴隷となり、その見返りに、年収をいくら稼いでいるかにも何の関心もない。ただ、何故、日本の新聞が、彼等の発言を鵜呑みにして、彼等のバイアスのかかった情報や分析を、そのまま紙面に垂れ流すのか、不思議に思うだけである。日本の新聞社の経済記者たちは、彼等、外資エコノミストの国際金融に関する分析の学問的、思想的根拠について深く考えたことがあるのか。おそらく、考えたことはないだろう。それでなければ、彼等、外資エコノミストの話を、何の躊躇もなしに、頻繁に引用するはずがない。(山崎行太郎)



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