文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

『国体の本義』の思想は、「国粋主義」でも「排外主義」でもない。

dokuhebiniki2009-05-31

(写真は後醍醐天皇の皇居跡「吉水神社」の廊下で…)



今日もまだ吉野にいる。吉野には小雨が降っているが、さわやかである。さて、『国体の本義』の思想だが、その本文を精読すれば明らかなように、「天皇への絶対服従を説き、社会主義共産主義・民主主義・自由主義を排撃…」と、『広辞苑』に書かれているようなものではなく、つまり薄っぺらな「国粋主義」でも「排外主義」でもなく、むしろそういう軽佻浮薄な日本主義や根拠のない欧米蔑視を厳しく、いましめる思想であり、すなわち『国体の本義』の文章を使うならば、「今や我が国民の使命は、国体を基として西洋文化を摂取純化し、以て新しき日本文化を創造し、進んで世界文化の進展に貢献するにある。」ということになる。これは、佐藤優氏の説明をかりると、「『国体の本義』は、国体明徴運動の結果、生まれかねない非合理的、神懸かり的な観念論を阻止するために、欧米思想と科学技術の成果を日本が取り入れることを大前提に、現代国際世界で日本国家と日本人が生き残ることを考えた当説の日本の英知の結集である」ということになる。とすれば、今、われわれが、吉野という場所で、『国体の本義』を本来のテキストに沿って、忠実に、じっくり腰を据えて読むということの意義は小さくない、と言うべきである。



 
■吉野・蔵王堂で、朝の勤行に参加。法螺貝を吹く「山伏」の姿も…。