文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

政府紙幣と日銀券はどう違うのか?


テレビや雑誌などで、最近、急速に「政府紙幣論議なるものが盛り上がっているようだが、おそらくこれは、いつも口から出任せの経済論議でお茶を濁している「お茶の間」の経済学者やエコノミストと称する連中が、アメリカ発の決定的な金融不況と経済不況の波に押し流されて、これまでの持論や自説を維持できなくなり、理論的な転向や変節を繰り返すほかなくなりつつあることの証拠と見ていいのではないか、と僕は思っているが、そうした中で、僕がただ一人、信頼している経済学者が丹羽春喜教授であるが、丹羽教授こそは「政府紙幣発行論」を十数年も前から、かなり激しく主張し続けてきた経済学者である。不思議なことに、突然、「政府紙幣論議を語り始めた高橋洋一にしろ、榊原英資にしろ、「丹羽春喜理論」としての「政府紙幣発行論」を知らないはずはないのだが、榊原英資にいたっては、「政府紙幣発行論」はアメリカの経済学者ステグリッツから影響を受けていると言っているらしいが、確かにステグリッツも「政府紙幣発行論」を主張してはいるが、そもそも「政府紙幣発行論」の本家本元は丹羽春喜教授であることを忘れてもらっては困るのである。丹羽博士は、近日、「タカジンの何でも言って委員会」とかいう関西系のテレビ番組に高橋洋一らとともに出演するそうだから、榊原英資高橋洋一等の一夜漬けの、口から出任せの「政府紙幣発行論」ではなく、緻密な経済政策論としての「政府紙幣発行論」の全貌が明らかになるだろう。さて、政府紙幣と日銀券の違いという問題だが、まず「通貨」というものについて述べると、わが国の通貨は、「政府貨幣」と「日銀券」の二つから成り立っている。政府貨幣には、コインと紙幣があるが、丹羽春喜教授によると、この「政府貨幣」は、日銀券とは異なり、政府がいくら大量に発行しようとも政府の「負債」にならないどころか、むしろ政府の「財政収入」となる。いわゆる「造幣益」である。これに対して、発行の根拠としての資金的裏づけを必要としている「日銀券」の場合は、印刷すれば印刷するほど、つまり日銀券を発行すればするほど、日銀の負債となり、やがてはそれが積もり積もって日銀の債務超過ということになる可能性がある。確かに、平成十年四月に「日銀法」は改正され、日銀券の発行には担保や資金的裏づけは必要なくなったが、それでも国民心理としての日銀の「債務超過」への恐怖はなくならない。それに比較して政府貨幣、ないしは政府紙幣は、政府の負債にならないだけでなく、むしろ「造幣益」によって政府の財政収入となる。日銀券と政府貨幣は、この点で決定的に違うのだが、このことをよく理解している人は少ない。(続く)



■参考資料

通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律

(通貨の額面価格の単位等)

第二条  通貨の額面価格の単位は円とし、その額面価格は一円の整数倍とする。

2  一円未満の金額の計算単位は、銭及び厘とする。この場合において、銭は円の百分の一をいい、厘は銭の十分の一をいう。



3  第一項に規定する通貨とは、貨幣及び日本銀行法 (平成九年法律第八十九号)第四十六条第一項 の規定により日本銀行が発行する銀行券をいう。

(貨幣の製造及び発行)第四条  貨幣の製造及び発行の権能は、政府に属する。



2  財務大臣は、貨幣の製造に関する事務を、独立行政法人造幣局(以下「造幣局」という。)に行わせる。



3  貨幣の発行は、財務大臣の定めるところにより、日本銀行に製造済の貨幣を交付することにより行う。



4  財務大臣造幣局に対し支払う貨幣の製造代金は、貨幣の製造原価等を勘案して算定する。 (貨幣の種類)第五条  貨幣の種類は、五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円の六種類とする。


2  国家的な記念事業として閣議の決定を経て発行する貨幣の種類は、前項に規定する貨幣の種類のほか、一万円、五千円及び千円の三種類とする。

3  前項に規定する国家的な記念事業として発行する貨幣(以下この項及び第十条第一項において「記念貨幣」という。)の発行枚数は、記念貨幣ごとに政令で定める。


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