文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

年金テロ事件をドストエフスキーの『悪霊』で読み解く。


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元厚生次官夫妻を次々と襲った「年金テロ事件」は、小泉毅という無職の、孤独な独身男の出頭・自首という予想外の、衝撃的展開により、この実行犯に関する、ほとんどすべての情報が警察・権力側の管理下に移り、結局、生活に追い詰められて生きる希望をなくした四十男の「単独犯罪」という単純な物語で終わりそうだが、おそらくその単純素朴な、わかりやすい物語を覆し、事件の真相に迫ることは容易ではない。警察も政府も、そしてマスコミや大衆も、おそらく年金テロ事件のこれ以上の拡大を恐れて、事件の揉み消しと事件の低俗化に躍起になっているはずで、テロ事件の真相解明に向かって突き進むはずがない。早速、「週刊文春」や「週刊新潮」は、当局の意思を先取りするかのように、「クレーマー」や「生活苦」「無職」……というような個人犯罪的なテーマを積極的に取り上げ、この事件の揉み消しと事件の低俗下に加担しようとしているが、その秩序維持的なメディアの暴力の行使は、露骨で、誰の眼にも明らかであると言わなければならない。さて、僕は、この事件の発生直後、そして犯人と名乗る男の出頭・自首の段階においては、ドストエフスキーの『罪と罰』における、「俺に『アレ』が出来るだろうか……」と自問するラスコーリニコフ的な犯罪(テロ)を想定していたが、実行犯ということになっている小泉毅の周辺情報が明らかになるにつれて、この事件が、それほど単純なものではないということに気付かないわけにはいかなくなった。「可愛い飼い犬の仇討ちだった……」という犯人・小泉毅と警察が提供する動機と物語を、警察やマスコミが一斉に、しかも大々的に宣伝する段階に来て、この事件は、犯人と警察とマスコミが共犯者になり、テロ事件の真相を闇に葬り去ろうとしているらしいことを、強く感じるようになったが、しかし肝心な捜査情報が警察という権力に一方的に握られている以上、僕は、一種の妄想的想像力と文学的想像力でしか、このテロ事件の真相を語ることはできない。そこで、僕は、唐突かもしれないが、今、読んでいるドストエフスキーの『悪霊』という小説を材料にして、この事件の真相に迫ってみたいと考える。日本で随一のドストエフスキー研究家で、僕のドストエフスキー研究の「師匠」である清水正日大芸術学部教授によると、『悪霊』はスパイ小説であって、最後に自殺する主人公のスタヴローギンも、組織の裏切り者として虐殺されるシャートフも、自殺志願者のキリーロフも、ともに秘密を握っているが故に、ある段階で「消された」のであり、そして最後まで生き延びるかに見える、事件の全てを仕組んだ男であり、当局のスパイと思われるピョートルでさえも、実は、全てを知るが故に、ある組織に「消される運命」にある、という。この『悪霊』という物語の主人公は、スタブローギンでもピョートルでもなく、ある組織、もしくはその代理人であり、その主人公は、読者の眼には見えないところの「語り手」としての、つまり「作中作者」としての「アントン・ゲー……」である。アントンこそ、ある組織、つまり「当局」から送り込まれた大物スパイであり、この『悪霊』という物語は、大物スパイであるアントンが書いた、ある当局への報告書なのである。さて、年金テロ事件の実行犯として警視庁に出頭・自首した小泉毅は、何故、近くの埼玉県警ではなく、わざわざ警視庁本部に、しかも武器類と住民票持参の上、出頭・自首したのだろうか? そこに、何らかの当局との「取引き」のための小道具や材料はないだろうか。そして、たとえば、山口県の実家に住む父親に、何故、わざわざ出頭・自首の前日に「明るい声で……」電話して、手紙が翌日、届くはずだから読んでくれ……と報告する必要があったのだろうか。警察が押収することが自明なはずの父親への手紙に、敢えて、元厚生次官夫妻へのテロは、「殺された犬の仇討ちだった……」という動機を書き込む必要が、何処にあったのだろうか。この父親と息子の、ある意味では、10数年ぶりの「泣かせる……」だったという電話と手紙の遣り取りは、何物かを隠蔽するための芝居か演技なのではないのか。ちなみに、殺されたり、あるいは外出中で難を逃れたところの二人の被害者、つまり元厚生次官二人は、近々、国会に参考人として呼ばれて、年金問題に関して野党の質問を受けることになっていたらしいが、もし、それが、本当だったとすれば、二人の元次官の証人喚問に危機感を抱く「ある勢力」(?)が、証人喚問の前に、「口封じ」のために、何らかのアクションを起したと考えるのは不自然だろうか。それが、「格差社会に喘ぐ孤独な独身男・小泉毅」のテロに至るまでには、複雑な経路を辿っているのだろうが、あながち、ありえない話ではなかろう。小泉毅は、スタヴローギンやピョートルがそうだったように、いずれ、自殺という名目で、密かに「消される運命」にあるのかもしれない。(続く)




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