文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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杉田俊介の「ロスジェネ芸術論」を読む。

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ロスジェネ、つまりロストジェネレーションという言葉が、最近、しばしば使われるようになったことは、雨宮処凛等の書くものから若干のことは知っていたが、その現代的意味や思想については、あまりよく知らなかったのだが、今回、「すばる」八月号で、杉田俊介が、そのものズバリの「ロスジェネ芸術論」なるものを連載開始したので、かなり詳しく知る羽目になったというわけである。また、もう一方には、昭和初期のプロレタリア文学の名作、小林多喜二の『蟹工船』が、その最初の火付け役は誰であれ、ともかくも爆発的に売れているらしいという情報もあり、しかも新聞や雑誌にも『蟹工船』の解説や分析が、吉本隆明まで登場して(「蟹工船と貧困社会」文芸春秋八月号)、一種の流行のように氾濫している。これらの現象が、それぞれ密接につながっていることは言うまでもないだろう。新聞用語を使わせてもらうならば、格差社会ワーキングプア派遣社員、アキバ事件……ということになるのだろうが、やはり根本は、小泉改革新自由主義、あるいはグローバリゼーションなどという言葉が象徴するように、現代的な経済的な不況がもたらした新しい貧困問題と言うべきであろう。しかし、いずれにしろ、これら一連の問題が、今や、単なる社会問題、経済問題、あるいは政治問題としてだけではなく、文学や芸術、あるいは思想の領域にまで入り込んで来たということは、大きい。それは、小泉改革、グローバリゼーション云々の問題を越えて、この世代の思想問題に、そして芸術的、文学的想像力の問題にまで進化しつつあるということだろう。杉田は、「ロスジェネ芸術論」を、赤木智弘の「丸山真男をひっばたきたい。31歳、フリーター。希望は戦争。……」(「論座論座 2007年1月号)という有名になりすぎたエッセイの紹介と分析から始めているが、このロスジェネ問題の本質が、単なる経済問題ではなく、思想問題や芸術問題だとすれば、その原点に、赤木智弘のこのエッセイがあるというわけであろう。ところで、赤木智弘雨宮処凛杉田俊介の三人は、偶然にも、同年生まれらしく、そういうわけでもないだろうが、先日、トークライブを開いたらしい。(続く)

赤木智弘 http://www7.vis.ne.jp/~t-job/base/maruyama.html



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