文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

中森明夫の誤報とパクリを発見…(笑)。

小沢一郎特集ということで「週刊朝日」(10/19)を立ち読みしていたのだが、あまり面白くないので、ついでに他のページをパラパラめくっていたら、「中森明夫連載コラム」なるものの中に、不思議な一文を発見した。中森は、政治家たちの顔について面白おかしく論じているのだが、そのついでに博学ブリを披露しようとしたのだろうか、とんでもない無知を曝け出している。中森が「老舗旅館の老番頭」顔をしてなかなかいい味を出していると言う、津島派津島雄二代議士は、意外にも東大、大蔵省のエリートだが、実は作家・太宰治(津島修治)の娘婿(養子)で、作家の津島佑子の義兄に当たると講釈を垂れた後で、止せばいいのに、調子に乗ってこんなことを書いている。「かつて金井美恵子が、江藤淳を『番頭面(ヅラ)』と呼んだが、江藤民宿より津島旅館のほうが(顔的に)格上だろう」……と。むろん、これが大間違い。知ったかぶりもいいところだろう。江藤淳の顔を、「番頭ヅラ」と呼んだのは、『暗い旅』を、江藤淳に、ミシェル・ビュトールの二人称形式の前衛小説『心変わり』のパクリと酷評され、頭にきた日本のアンチ・ロマンの旗手・倉橋由美子である。金井美恵子ではない。世代が違うだろう。それにしても、こんな単純な間違いを「週刊朝日」の編集部はチェックしなかったのだろうか。しなかったのだろう。いずれにしろ、「週刊朝日」のスタッフもまんまと騙されたらしい。また中森は、文末に、太宰の「アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ」を引用して、「人も家も、暗いうちはまだ滅亡しない」と書いているが、この論理展開もかなり怪しい。おそらく、江藤淳の「太宰治のこと」からのパクリだろう。どうでもいい話だが…。