文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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国民新党のケインズ主義的な経済政策を評価する。

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国民新党の動きが面白い。選挙結果は、島根県の「亀井女史」の大勝利以外は、たいしたことなかったように見えるが、選挙戦最終日の盛り上がりは半端ではなかったようだ。これは、産経新聞の山本雄史記者が現場取材した上で報告している話だからウソではないだろう。山本記者によると、28日午後7時半、有楽町マリオン前で行われた国民新党の最後の街頭演説は、他党の街頭演説を圧倒する勢いで、そのパワーは群を抜いていたらしい。新橋駅前の安倍演説が、総理の最後の街頭演説とは思えないほどショボかったのに比して、国民新党の街頭演説は、多くの熱狂的な国民に囲まれ、いちばんの盛り上がりを見せたらしいのである。綿貫や亀井の演説に多くの国民が足を止め、聞き入っていたということだ。何故だろうか。国民新党は、経済政策的に言えば、公共投資削減と緊縮財政による財政再建を目指した小泉改革に対して明確に「ノー」と言った上で、小泉改革が理論的に依拠している新自由主義的経済政策を否定し、需要拡大による景気回復を目指すケインズ主義を党是としている。小泉改革や竹中改革に飽き飽きしている国民の多くが、国民新党の経済政策に関心を寄せるのは当然だろう。さて、小沢民主党がマニフェストで公約している「バラマキ政策」も、需要喚起を重視した一種のケインズ経済学的な政策と考えていいのだが、しかし残念なことに「バラマキ政策」は、党内の一部からさえ批判されている。それは、おそらく民主党が、「バラマキ」というイメージの悪い言葉に象徴されるように、バラマキの経済学的な意味を、経済思想的に理論化しきっていないからである。「バラマキ」とは、言うまでもなくケインズ経済学の理論を適用すれば、必ずしも否定されるべき政策ではない。バラマキこそ、実は、言葉の印象は悪いが、需要喚起に直結した経済政策である。バラマキを「バラマキ」と言って否定したところに小泉以後のわが国の経済政策の陥穽と失敗の根拠があるのだが、この問題をもっとも明確に意識し、経済学的に理論化し、政策として主張しているのは国民新党である。しかし、残念なことに、マスコミも学会も、この問題の意味を経済学的に、あるいは経済思想史的に、理解していない。むろん、財政破綻財政再建の鍵をにぎるのはこのバラマキという言葉である。なぜ、バラマキが批判されなければならないのか。その理論的な根拠は何か。誤解を恐れずに言えば、ケインズ主義的な有効需要理論の本質はバラマキである。逆に、フリードマンやルーカス等が主張する新自由主義経済学、あるいは新古典派経済学は、バラマキを否定することから始まる。たとえば「合理的期待形成論学派」の頭目・ルーカスは、「ルーカス型総供給方程式」に基づいて、需要拡大政策の効果を全面否定する。つまり財政政策も金融政策もすべて無効だ、と主張する。言い換えれば、バラマキは経済成長にとって無駄であり、無用であるということを経済学的に体系化したのがフリードマンやルーカスの経済学である。その時、使われる理論は、たとえば「クラウディングアウト現象」理論(国債の市中消化によって民間資金が国庫に吸い上げられる結果としての民間資金の不足状態が生じ、市中金利が高騰し、景気は回復しない…)であり、「マンデル・フレミング効果」理論(市中金利の高騰が円高を引き起こし、輸出産業に大打撃を与え、よって景気は失速する…)であるが、わが国の経済学者や経済評論家で、これらの理論の正当性について緻密な議論や分析をした人はほとんどいない。ケインズ主義的な有効需要理論が、何故、無効なのかを理論的に、且つ経済思想史的に説明できる人がいないのである。ただ、それが、アメリカで、今、最先端の理論として流行している経済理論だから、正しいに決まっていると盲目的に信じ込んでいるだけであるようにしか見えない。むろん、今や、新自由主義新古典派経済学の欠陥は明らかだ。小泉改革が、バラマキという名の公共投資のすべてを否定して、徹底的な緊縮財政を貫くことによって、さらに財政のプライマリー・バランスを悪化させ、経済成長をもたらすどころか、日本列島をシャッター列島、あるいは自殺列島にしてしまったのはその見本である。今、国民新党が、はっきりと新自由主義を否定し、ケインズ主義的な経済政策を主張していることの意味は重要である。自民党民主党も、この問題の本質を理解していない。「成長か、逆行か」と安倍は喚いていたが、言うまでもなく安倍に、この言葉の持つ経済学的な意味がわかっているはずがない。ただ、誰かの振り付けで、口をパクパクさせているだけであろう。「緊縮財政で成長路線を…」とは自己矛盾も甚だしい。国民に声が届かないのも当然である。


産経新聞記者・山本雄史ブログより
http://yamamotot.iza.ne.jp/blog/entry/249663/

さて、今回の参院選で2議席を確保、島根で大金星をあげた国民新党。参
 院選投票日前日の28日午後7時半、国民新党の最後の街頭演説(いわゆ
 る「マイク収め」「打ち上げ」などと呼ばれる陣営の最終日の締め)を取材し
 た。

 私は暇さえあれば、仕事や政党に関係なく、おもしろそうな候補者や政党の
 街頭演説の見物に行くのであるが、これまでに見た街頭演説の中でも、国
 民新党の一体感は群を抜いていた。特に、亀井静香代表代行の演説は、
 鬼気迫るものがあり、印象に残った(このエントリの後半で内容を可能な限
 り紹介)。

 国民新党の打ち上げは、都心の繁華街である有楽町マリオン前で行われた。

 インディーズ政党・国民新党らしい、熱狂的な支持者の「いいぞ!」「そう
 だ!」の声がひっきりなしに飛び交い、運動員の女子大生も支持者も次々
 に涙を流すという、人間味と浪花節があふれるフィナーレとなった。

 数メートル先では、自民の中川昭一政調会長と自民の比例候補も街頭演
 説をやっていたが、国民新党の異様なパワーと歓声と亀井静香氏のダミ
 声に押され気味で、道行く人々の視線は国民新党の方向に向いていた・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

 国民新党ファンとは思えない人も、自民党公明党を厳しく批判する
 演説に耳を傾けていた。500〜600人はいたような気がする。

 さて、この日最も盛り上がったのは、間違いなく亀井氏の演説である。ダミ声
 ということもあって、テレコでは聞き取れない部分もあるが、約11分の演説を
 可能な限り紹介する(適宜省略、語句を補った。青字が亀井氏の演説)。



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 「東京のみなさん、日本国の、日本じゅうのみなさん、いよいよ来ましたよ、日本の夜明けっ!!間違えなくきましたよおおお!!!」

 「自民党公明党なんて、明日でおしまいだっ、みなさん!!!!!!」



 聴衆「うおおおおおお!」



 「自公もおわりました。わたしゃ、昨日まで島根鳥取、日本中をかけずりまわりましたが、地方では反乱が起きたんですよ、反乱が!こんな、こんな政治にがまんできないっ!!自分たちを(私たち国民を)人間と思っているのか!こういう、怒りが全国で盛り上がっている。東京のみなさんも一緒に反乱をおこそうじゃないですかっ!」



 聴衆「そうだ!」



 「われわれは、暴動ではなくて、選挙で変えることができるんですよ、日本を!わが国民新党抵抗勢力といわれてきたが、われわれは誇りに思っている。洋の東西を問わず、時代をかえていったのは抵抗勢力じゃないですか、みなさん!!!」

 「この日本でも、60数年前、東条内閣が翼賛体制をやり、日本を悲劇的な状況にもっていった。あのとき、抵抗勢力がいたじゃないですか!!鳩山一郎であり、三木武吉中野正剛ですよ、あの3人が座っておられた(衆院の座席の)所に、国民新党が座っている。私が座っている席は、中野正剛が座っていた椅子だ!!中野正剛は腹を掻っ切りましたが、われわれはそんなことはしませんよ、自民党を倒すんですよ!日本の夜明けを、みなさんと一緒に迎えるんですよ!」



 聴衆「そうだ!!!!」



 「郵政(民営化)見直し、地方重視、年金増額、当たり前でしょう!!6万6000円で老後の生活できるんですか、お年寄りが!!!世界の人たちに(日本は)毎年1兆円配っている。困っている人を助けるのは当然。しかし、日本で体の不自由な人やお年寄り、一生懸命生きていてもどうにもらないような人を救うのが前提ではないか」

 「大企業は史上最高の利益をあげている。(でも、利益を)社員に配っているんですか?配ってないでしょ。だからみなさんのところにまわってこない。小泉改革になってこれが始まった。日本型資本主義が制圧(崩壊?)されて、アメリカ型資本主義にこの6年間でガラっと変わったから、いざなぎ景気(のような今の景気)でも、みなさん方の懐には来ないんです!!!」



 聴衆「そうだ!!いいぞ亀井!!!」



 「大企業や金持ちには税金をまけて、この5年間でいったいいくら企業に税金をまけたのか、20兆円ですよ!!庶民に公明党は何をやったのか。庶民の味方といいながら、自民党と一緒に何をやってきたのか!!税金が上がったんですよ!!」

 「秋には、(自公政権が)消費税に取り組もうとしている。金のある人たちからは税金はとらない、庶民からとる、みなさんが怒らないから。こんな自公政権、許せますか!!」



 聴衆「許せない!!」



 「やりましょうよ、怒りを爆発させましょう。今からみなさん方も年をとる。今の自公政権に年金をまかせていいのか。(台帳が)灰になっていたかもしれない、そんなことを前提にして年金をちゃんとできるのか(自公政権は)。1年で調査できるのか、(自公政権は)できるわけがない、できぬことを、できるといって参院選を乗り切ろうとしている。悪いのは政府だ、四の五の言わずに政府はだまって(年金を)支給すればいい!!!」



 聴衆「そうだ!!」



 「ちゃんと払っていない人も紛れていると言うが、生活保護を受けている方々は掛け金をかけているのか。かけていないでしょ。困っている人をちゃんとする(面倒をみる)、そのために国があるのだ」

 「日銀総裁のように、年収5000万円もある人間が、年金を800万円もらう必要はない。道楽息子しかいない、やさしい嫁もおらん、年をとる、どうしようか、いまさら生活費を稼ぐわけにはいかない。そういう人のためにちゃんと年金を支給するのはあたりまえだ。だから、わが党は税金で年金をやる。われわれはきわめて現実的な、実行可能な日本の未来を設計している」

 「魂を取り戻しましょうよ。拝金主義がはびこり、家庭の中でも競争競争。こういう社会から決別しようではないか!!抵抗勢力に気合の一票を!!勝ち抜きましょう、夜明けはすぐ目の前です、東京でも反乱をおこしましょう!!!!」



 聴衆「い〜いぞ!!!!!おおおおおお!!!」
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 共産党のような主張も随所にみられるが、、国民新党のスタンスがよくわか
 る演説である。

 ともあれ、この日集まった熱狂的な聴衆は、家に帰ってすぐに知人友人に
 メールや電話をしまくっただろうと思う。まさに支持者のハートに火をつける
 ための、気合を入れるための街頭演説で、最高の雰囲気だった。通行人
 は相当びっくりしていたが、通りすがりの人間が100%振り向くだけのパワ
 ーを持っていたのは間違いない。

 失うものは何もない、わが道をゆく国民新党。その個性をこれからも大事に
 してほしい。



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