文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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28日の植草公判傍聴記


先月、28日に行われた、植草教授公判の情報が、「支援の会」の某氏より届いたので、ここにそのまま転載する。この傍聴記によると、植草裁判を巡る内外の動きにだいぶ、変化が見られるようだ。裁判官や検事、警察など、当事者たたちはむろんのことだが、特にテレビや新聞のマスコミ関係の変化は顕著のようだ。これは、植草氏本人が長期拘留に耐えて、否認のまま保釈され、ある程度の発言や行動の自由が確保された上に、しかも旧弁護士団を全員解雇し、新弁護団を結成して全面対決の姿勢を鮮明にしたことから、安易に誹謗中傷の番組作りや紙面作りがしにくくなった結果だろう。あるいはちょうどタイミングよく公開された周防監督の映画『それでも僕はやってない』の反響などの影響もあるかもしれない。いずれにしろ、植草痴漢事件は、冤罪、国策逮捕の可能性が濃厚になったと言わなければならない。無罪を勝ち取ることは無理かもしれないが、たとえ裁判が有罪(微罪)になったとしても、その時は逆にこの裁判が、インチキ裁判であることが暴露されるだけだろう。裁判官や検事、警察こそ、今や、進むも地獄、退くも地獄の状況に追い詰められつつある、と言うべきか…(笑)。





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2月28日の公判を傍聴して

今回は27人の傍聴が許されたが、190人の傍聴希望者があり、競争率7倍であった。記者は、以前の公判よりかなり減り今回は7名しかいなかった。記者のための席は12あったが空席が目立ち、以前の公判のように、途中退席して速報を本社に報告する姿も見られなかった。警察側の発表は報道するが、被告人の発言は報道しないというマスコミの偏向ぶりが露骨に現れた。

裁判長 神坂尚
裁判官 宮本聡
裁判官 日野進司(前回までは大村るいだったが、その替わり)

検察官  小出幹
検察官  山崎文子
検察官  石川一彦 (前回までは森田秀人)

今回は、弁護士側がびしびし要求を突きつけていた反面、検察側は元気が無く、ぽつぽつと「検討します」程度の答えだった。

最初、弁護士が変わったということで、冒頭陳述のやりなおしから始まった。まずは弁護方針の表明から。主張するのは、
①被告人控訴事実に記載されたような被告人が痴漢行為を行ったという事件は存在しない。
②被告人は痴漢行為を行っていない。つまり痴漢行為が存在しないのだから、誤認逮捕である。

被告人の当日の行動:
6時20分、大崎の中華料理店で、顧問を引き受けている会社主催の、飲み放題のパーティーに出席した。一気のみをしていた。飲める人と飲めない人がいて、飲める人である自分に多く回ってきた。ビールに紹興酒を数十杯飲んだ。その場で同社社長と11月3日にゴルフのコンペに行くと約束をし、手帳にメモしていた。しかし、その日には海外出張が入っていたから、それは不可能だったが、相当泥酔状態だったので、それを約束してしまったようだ。それ以後のことは断片的にしか覚えていない。大崎でタクシーを取り、目的地の泉岳寺に行こうとしたが、崎駅の構造上、タクシー利用が非常に難しい場所だった、宴会場が駅に隣接していた。大崎から品川までの記憶は無い。品川駅で電車が止まっていた記憶は覚えている。京浜急行の10:08の電車に乗り込んだが、乗り込む際には、逆方向に向かう電車であることに気づいたのだが、面倒だと思いそのまま電車に乗ってしまった。自分の後に何人かが乗り込んできた。進行方向に向かって左側のドアのほうに向いて立っていた。やはり降りようかと思っているうちにドアが閉まり電車が発車した。
 右手で高いところの吊り輪につかまって寝ていた。左側のドアの進行方向に向かって右斜め前方0.8―1mの所にいた女性が「子どもがいるのに」と言った声が聞こえた。「痴漢騒ぎかもしれない」と感じて、右を向いて右手はつり革をつかんだまま、目をつむっていた。そのとき左側と右側をつかまれた。蒲田駅に到着した。駅で無関係であることを話せると思っていたが、2人は駅事務所に連れて行った。女性と話しをさせてくれと言ったがさせてくれなかった。有罪になるかもしれない、そうするとマスメディアは無責任な事をかき立てる。家族を守るためには自殺するしかないと思いネクタイで自分の首を絞め自殺をしようとした。しかし駅員に止められた。
 当日自分は痴漢はしていないし、「女性に不快感を与えるようなことをした」といった発言をしたこともない。

これからの反証の方針
①被害者と目撃者の主張が不自然である。
②被害者が、自分が彼女の真後ろにいたと主張するが、実際は自分は右斜め後ろにいて、つり革に捕まっていた。真犯人が後退し、植草氏と見間違えた可能性がある。
③繊維だが、京浜急行の駅員の制服の繊維がついたはずであり、その繊維鑑定を申請する。
④事件当時、酩酊状態にあったことは、顧問会社の従業員が証言している。そのとき、酒気の検査も警察がしており、1リットル当たり、0.47mgのアルコールが検出されており、その検査結果の提出を求める。
⑤訴えている女性は、被告が体を密着させたと証言しているが、それなら、彼女の衣服の繊維が自分の衣服に付くはずであるから、繊維がついているかどうかの鑑定を申請する。当時の衣服は警察が保管している。
⑥被害を訴えている女性の証言を再現したビデオを制作した。その証言が不自然だということをそれを使って証明する。
⑦親族、知人によって、被告人が痴漢をするような人間ではないことを証言してもらう。
⑧被告人尋問

次に弁護人による訴訟申告が行われた。
2月9日は被告人質問の予定であった。これは被告人による反論の場である。検察側の分析、それまでの経過説明等が手元に無い状態であった。それは前弁護人の怠慢によるものであって、2月9日に被告が反論する機会を奪うものであった。これは憲法の理念にそくわないものであり、被告が弁護人を解任したのは当然のことである。訴訟進行の迅速性を妨げるものではない。

冒頭陳述の最後で、最高裁甲府放火事件判決(最1小判昭和48年12月13日判例時報725号104頁)に述べられている「疑わしきは被告人の利益に」の鉄則が引用された。

次に弁護人による証拠の請求が行われた。
本日までに証拠として準備できたものが3点ある。
①被告人、逮捕者、目撃者のそれぞれが供述した事件現場での位置関係がまるで違うこと。
(これは決定的な証拠となるのではないか。第2回の公判で検察側の証人が逮捕者は私服であると証言した。私服警官であれば、本人を出すわけ無いから替え玉に決まっている。そうであれば、事件現場の事を理解していないから、位置関係などが食い違うはずである)
それ故逮捕者の証人尋問を申請する。弁護人は逮捕者と会い、事情聴取している。
②平成18年9月25日に警察官作成の調書:駅事務室で女性に会おうとした被告人を駅員が阻止しネクタイを取り上げたから、その際に駅員の制服の繊維が付着した可能性があり、それを立証したい。
③平成19年2月24日に弁護人事務所にてビデオ撮影を行った。被害者女性の証言をもとに作成。被害者の動きを4つの場合で再現した。
  〔1〕仮想目撃者の証言に基づいたもの
  〔2〕被告人の左手に傘の取手を外側にかけて触っていたとした場合
  〔3〕被告人の左手に傘の取手を内側にかけて触っていたとした場合
  〔4〕女性が振り返った際、被告が離れて移動した様子
被害者は一部始終を目撃したとしているが、上体をひねっても被告人の指の甲や傘を見ることは不可能。位置関係は逮捕者の供述内容とは異なっている。

これらは、すでに検察側には開示してある。
ここで裁判官は、検察側にこれに関するコメントを求めたが、検察側は「意見を留保する」とだけ述べた。
弁護人は「撮影に協力した仮想被害者の認証(証人調べ)を申請することも考えている。」と発言。裁判官は、「ビデオを見れば分かるのではないか」と質問。弁護人は「ビデオは事実を説明したもの。被害者が被告人と思われる手が見えたと言ったが、それが可能かどうか仮想被害者に証言してもらいたい」と主張。見えるわけがないとの証言が出てくるようである。
逮捕者に関しの証人申請に関して
裁判官「事情聴取報告書にあるからそれでよいのでは」
弁護人「1時間くらい面談をしただけ。もっと証人尋問を申請したい。」
駅員の聴取に関しても言及。
DVDに関しては、説明も含め作成報告書の提出を予定している。

次に証拠開示の請求が行われた。
弁護人:
請求の期日は本日行う。開示資料によっては、今後の予定が変わってくる。

次に園部弁護人からのコメントがあった。
 大内弁護人の発言の中で、酒気帯び調書というものがあった。これに関し、被告人が顧問をしていた会社の田中こうちという人が飲酒の度合いに関して証言をしている。逮捕直後の検査では、1リットルあたり0.47ミリグラムということであった。
スーツに付いた繊維の鑑定書に関してであるが、訴えている被害者と被告が密着していたと言っていた。そうであれば、被害者の衣服の繊維が被告人の衣服に付く筈である。また京浜急行の駅員の制服の繊維も付くはずだから、その鑑定結果を知る必要がある。それが開示可能か。

宴会での従業員に、宴会の様子についての取り調べをやって欲しい。駅員の同意が得られれば、駅員も証人請求をするかもしれない。

DVDには作成報告書がつくものの、目撃者の①に立った人とカメラと人間の視線が一致しないかもしてない。実際に体験してこうだという証言が欲しい。

検察官のほうからは「逮捕者の証人尋問の請求は検察官で検討中である」と述べた。ここで、10分間の休憩に入った。この間、公判の進め方に関する微妙な駆け引きがあったものと思われる。「私服の男」とされた逮捕者の証人尋問が認められるかどうかは、この裁判の行方を決める大きな鍵となるだろう。しかし、認めないとなれば、明らかな証拠隠滅であり、不当裁判、八百長裁判のそしりを免れないだろう。

2時15分から公判は再開された。

裁判長:
次回は3月28日10:00より被告人質問を実施する。ただし、午前中に証人尋問に振り当てる可能性がある。検察が認めた場合にそれが許可される。その場合、午後に被告人尋問がある。ビデオはどのくらいの時間か。
弁護人:
ビデオは2本で15分くらいの上映時間。被告人質問の前に見て欲しい。
裁判官:
28日の午後いっぱい取ってある。主尋問、反対尋問で2時間+2時間でどうか。
弁護人:
主尋問(つまり弁護人の質問に被告が答える)だけで3時間はかかる。
裁判官:検察官はどのくらいを予定していますか。
検察官:検察側としては次回で終わりにして欲しいと考えている。しかし弁護側で3時間、検察側で10分や20分というわけにもいきませんから、後日になる。そのときは、検察官が交替すると思うので日を開けて欲しい。
裁判官:証人を採用しない場合には、その日に終わる可能性もある。

その後、前弁護人を解任した理由、裁判の進行についての被告人本人からの上申書が提出され、被告人がそれを読み上げた。



この後も公判はまだまだ続いたのだが、要点をまとめる。
2本ビデオを作る
①被害者の言っているとうりに作成したビデオ。これはすでにできた。被害者の証言が嘘であることを示す。
②被告にの記憶に従ったビデオ。これはこれから作成する。2本で15分程度。

3月28日の10:00から被告人尋問を行う。ただし、弁護人の申請している証人(逮捕者2人、駅員)の証言が認められた場合には、午前中に証人尋問を行い、午後には、被告人尋問の主尋問(弁護人が質問する)を行い、後日検察側が質問を行う。この場合、検察のメンバー交代があるので、日をおいて行うことになる


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