亀田バッシングに一言。
「浪速の闘拳」とか「浪速の逃犬」(笑)とか言われているらしい「亀田三兄弟」の長兄某が、世界チャンピオンに挑戦し、見事にと言うか予想通りというか、かなりいかがわしい勝ち方で、チャンピオンベルトを手に入れたらしい。実は僕はこの試合を見なかった。忘れていたのである。と言うより、実は前回の試合を見て、この亀田兄弟のあまりのいかがわしさに呆れ、すっかり興味がなくなっていた。
世界タイトルマッチがあるということは知っていたが、それが、いつ、何時から、何処で行われるのか、というようなことまでは知りもしなかった。僕は、2日の夜、パソコンを開いて、その肝心の試合がすでに終わり、その判定結果に日本中が、「日本人として恥ずかしい」「判定がおかしい」というようなブーイングのアラシに包まれていることを知った。
というわけで、試合内容と試合結果にご不満な日本人の多くが、「にわかサッカー・フアン」から「にわかボクシング・フアン」に転向したらしく、「日本全国・一億・総・亀田バッシング」ゲームに狂奔しているようだが、亀田の試合同様に、この亀田バッシング・ゲームに狂奔する連中も、かなり怪しいと僕は思っている。いや、亀田ファミリーのいかがわしさは、本人達が自覚しているが故に許せるが、この「にわかボクシング・フアン」の「日本人として恥ずかしい」「判定がおかしい」というようなクソ真面目で、真剣な言動には、無知蒙昧な大衆のルサンチマンを感じて、嫌な気持ちになる。
ビデオ映像で、亀田がチャンピオンを相手に初回にダウンし、その後も冴えない打ち合いを繰り返し、最終ラウンドまでもつれ込んだのを見たが、僕は、よくここまでやれるな、と逆の意味で感動した。もっと簡単に打ちのめされて、あっさりとマットに沈むだろうと予想していたからだ。だから、亀田某が、最終ラウンドまでチャンピオンと互角に戦えたこと、そのことにまず感動したというわけなのだ。そして微妙な判定結果で勝利が決定した瞬間の亀田某の表情に、演技や八百長やヤラセとは無縁なものが垣間見れた、のにも感動した。
全てがヤラセやお芝居だったとしても、泣きながら親父に抱きついて行く19歳の青年の横顔には、何かがあると僕は思った。「おかあさん、産んでくれてありがとう」という言葉にも、「親父のボクシングで勝てたことが嬉しい」と言う言葉にも、不自然なものは感じられない。「嘘から出た誠」である。ヤラセが産んだ美談も悪くない。
というより、僕は、今頃になって、亀田バッシングに狂奔している「にわかボクシング・フアン」の方にむしろ違和感を感じる。ヤラセや八百長疑惑や、ヤクザ疑惑などはのすべては、かなり以前から分かっていたことである。しかもプロスポーツや芸能とは元々そういうものである。いや、スポーツや芸能だけには限らない。政治や芸術だって似たようなものだろう。逆に考えれば、やっとプロらしいプロ、つまりホンモノのプロが登場してきたということだろう。
ところで、事情通の話を信じるならば、試合会場の最前列には、亀田親子とも無縁ではないヤクザ関係者が多数陣取っていたらしい(右上写真参照)。しかも、その後ろには、森喜朗前総理や小池百合子環境大臣、平沢勝栄代議士等が陣取っていたらしい。まことに微笑ましい、心あたたまる日本的な光景ではないか。日本文化は底が深いのだ。
僕は、今、亀田一家のことではなく、美空ひばりのことを考えている。身内や本人のヤクザとの交流や交際を理由に、ＮＨＫを筆頭にテレビ局や市民会館、公民館等の公的施設からも追放され、社会的に抹殺されかけた美空ひばり・・・。ところが、死亡後、数年もたたないうちに、ケロッとして何回も何回も「美空ひばり特集」を組み、戦後日本の国民的な大スターという「美空ひばり伝説」を売り物にしているＮＨＫ…。むろん、島倉千代子では特集が組めないものなー。
さて、話は変わる。ハイデッガーは２０世紀の「哲学の父」と言っていい。実存主義も構造主義もポスト構造主義も、いずれもハイデッガーを哲学的には「父」としている。しかし、そのハイデッガーは、ヒットラー・ナチスの党員であり、熱烈なﾅﾁｽ支持者だった。「ハイデッガーとナチズム」と言う問題である。つまりナチズムと言う問題を抜きに20世紀、あるいは21世紀の哲学は存在し得ないのである。
さて、再び亀田一家のことだが…。おっと、我が家の闘犬、いや愛犬オーガイの散歩の時間になったので、ちょっと失礼。
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