文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

西村真悟裁判闘争の行方は?

西村真悟代議士の裁判が始まった。

西村議員が一部否認 弁護士法違反などで初公判

 弁護士の名義を貸したなどとして弁護士法違反(非弁護士との提携)の罪などに問われた衆院議員、西村真悟(にしむら・しんご)被告(57)=民主党除籍=は9日、大阪地裁(中川博之(なかがわ・ひろゆき)裁判長)の初公判で、起訴事実のうち弁護士法違反の名義貸しは「その通り間違いございません」と認めた。

 しかし犯罪による収益を報酬として受領したとする組織犯罪処罰法違反については「犯罪収益としてではなく、弁護士報酬として受け取った」と否認。弁護側も「対象として弁護士を想定しておらず、適用に疑問がある」と主張した。

 一部を否認したことで、公判は国会議員に初めて適用された組織犯罪処罰法をめぐり、違法性の認識を中心に審理が進むことになった。

 西村被告は名義貸しについて「忙しくなるにつれ、職員を実質的に指導監督できなくなり、今回の事態を招いた。漫然と長期間にわたり非弁活動をさせることになり、痛恨の極み」と述べた。

 冒頭陳述で検察側は、議員事務所の維持費用に窮していた西村被告が、1997年6月ごろ鈴木浩治(すずき・こうじ)被告(52)=弁護士法違反罪などで起訴=と面談し「先生のお役に立つことができる」との申し出に「あんたに任せてやってもらうわ」と応じた、と指摘。鈴木被告が交通事故の示談交渉で得た約10億円の保険金のうち、西村被告が約3400万円を受領した、と述べた。

 起訴状によると、西村被告は1998年から、法律事務所に出入りしていた鈴木被告に名義を貸し、無資格のまま交通事故の示談交渉をさせた。また2002―04年にかけ、違法と知りながら報酬計約830万円を受け取った。

 西村被告は昨年11月、鈴木被告に名義を貸した弁護士法違反容疑で逮捕され、12月に組織犯罪処罰法違反容疑で再逮捕、起訴された。

 西村被告は大阪府堺市出身。85年に大阪弁護士会に登録し、93年の衆院選で初当選。防衛政務次官などを務め、現在5期目。超党派の国会議員による拉致議連の中心メンバー。



 「受け取った金は報酬だ」。引退を求める声を振り払うように「拉致解決」を看板に活動を再開した西村真悟被告(57)は9日、名義貸しという"サイドビジネス"について争う姿勢を鮮明にした。繰り返し問われる「政治とカネ」。国会議員の倫理と責任を問う審理が始まった。

 この日の西村被告はグレーのスーツ姿。昨年11月の逮捕時と同様、胸に議員バッジはなく、北朝鮮による拉致被害者救出活動のシンボル「ブルーリボン」を着け、乗用車で大阪地裁の正面玄関に現れた。

 午前10時、11人の弁護士とともに緊張した面持ちで一礼して入廷。人定質問で裁判長から職業を問われると、やや声を落として「衆院議員でございます」と答え、罪状認否では用意した紙を手に落ち着いた口調で自らの主張を訴えた。

 西村被告は1月「『拉致問題解決』を掲げて有権者に頂いた議席を今、放棄するわけにはいかない」と表明した。

 拉致被害者を支援する「救う会」幹部らと事件後初めて会った際、謝罪は特になかったが、幹部は「脇が甘く、付け入られただけ。一番協力してくれている人に変わりはない」と、今も高く評価している。

 特定失踪(しっそう)者問題調査会の荒木和博(あらき・かずひろ)代表も「誰も怖くて手を付けなかった問題にメスを入れてくれた人。信望は厚い」。4月には救う会主催の集会に、保釈後初めて参加するという。

 逮捕前後、所属の大阪弁護士会から懲戒請求され、民主党を除籍になるなど一時は四面楚歌(そか)状態に。政界では「潔く決断を」と辞職を求める声も根強いが、周辺には「このような生き方が駄目だとすれば、おのずと次の選挙で議席を失う」と話していた。

(03/09 11:52)産経

平成18(2006)年3月9日[木] 産経夕刊

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西村議員「犯罪収益」は否認 弁護士法違反事件
大阪地裁初公判、非弁提携認める


 無資格での弁護士活動(非弁活動)に名義を貸し、その見返りとして約八百万円の違法な収益を受け取ったとして、弁護士法違反(非弁提携)と組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益などの収受)の罪に問われた衆院議員で弁護士、西村真悟被告(57)=民主党を除籍=に対する初公判が九日、大阪地裁(中川博之裁判長)で開かれた。西村被告は罪状認否で、組犯法違反罪については「あくまで私の弁護士報酬であり、犯罪収益ではない」と否認した。

 弁護士法違反罪については「その通り間違いない」と認めたが、「法の理解が十分ではなかった」と故意でなかったことを情状面で配慮するよう求めた。現職の国会議員が組犯法違反罪に問われた異例の事件は今後、その適用の是非を争点に審理が進められる。

 検察側は冒頭陳述で、西村被告が衆院議員に当選後、十分な寄付金を集めることができず、月に五十万−百万円の自己資金を持ち出すなど政治資金に窮していた、と指摘した。

 このため、非弁活動で収入を得ていた鈴木浩治被告(52)=起訴=と利害が一致。鈴木被告から「毎年、少なくとも五百万円くらいは先生にお渡しできます」と持ちかけられて、弁護士名義の利用を認め、総額三千四百二十四万円を鈴木被告から受け取っていたことを明らかにした。

 起訴状によると、西村被告は自分の法律事務所の職員だった鈴木被告が自身の弁護士名義を使い交通事故の示談交渉をすることを承諾。平成十四年十二月から十六年十月の間、鈴木被告が得た報酬のうち計八百三十六万円を受け取った。

 西村被告は平成五年に民社党(当時)公認で初当選し、現在五期目。昨年九月の総選挙では小選挙区で落選し、比例近畿ブロックで復活当選した。

 弁護士登録は昭和六十年だが、今回の事件を受け、大阪弁護士会懲戒請求を行っている。

≪問われる公人の説明責任≫

 「公人」とはどうあるべきか。大阪地裁の法廷に立った西村真悟被告の背中に問いかけたくなった。「辞職はしないが罪は認める」という態度には、現職国会議員が刑事公判に臨む姿勢として違和感を覚える。刑事責任を認めるならば、やはり議員辞職するのが筋ではなかったか。

 過去にも、オレンジ共済詐欺事件の友部達夫参院議員(当時)や鈴木宗男衆院議員らが、辞職せぬまま公判に臨み、非難を浴びた。だが、彼らは無罪を主張しており、辞職しない理由が一応あった。一部罪状を認めた西村被告とは異なる。

 かねて西村被告は、議員の職に並々ならぬ執着心を持っていた。

 逮捕前、弁護士会の退会届は出しながら、「(事件と)議員としての職責は別」などと強弁。今年一月に開いた異例の「議員続行会見」でも、「拉致問題に取り組むため」と釈明したが、いずれも「辞職しない理由」として説得力はなかった。

 「議席は公(おおやけ)のもの」と言い続けているが、西村被告は先の衆院選では比例での復活当選組。民主党の党籍を離れた時点で、同党所属として与えられた議員のイスに座り続けることの正当性は失われているはずだ。

 初公判に際し、大阪司法記者クラブは西村被告側に再三、記者会見など取材を申し入れたがついに受け入れず、裁判所を立ち去った。どの政治家よりも「公」を重んじてきた西村被告であれば、「公人」としての説明責任を果たすべきではなかったか。(真鍋義明)

平成18(2006)年3月9日[木] 産経夕刊

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“真悟節”鳴り潜め 「痛恨の極み」謝罪  西村被告初公判
淡々とメモ読み上げる


 十数年ぶりに立った法廷は、弁護士としてではなく、弁護士法違反などの罪に問われた刑事被告人としてだった。九日、大阪地裁で開かれた初公判で、衆院議員の西村真悟被告(57)は「間違いありません。申し訳なく思っています」と逮捕前から一転し、あっさりと弁護士法違反罪を認めて謝罪した。「検察を刺激したくない」と保釈後、事件にからむ発言を極力控え、法廷でも用意したメモだけを読みあげる姿に、名うての論客と呼ばれた政治家としての面影はなかった。

 午前十時。西村被告はファイルとノートを手に、十人の弁護団とともに入廷。傍聴席と裁判官に一礼して、被告人席に着いた。グレーのスーツの襟元には、拉致被害者救出活動のシンボル、ブルーリボン。議員バッジはなかった。

 中川博之裁判長が「被告人、証言台の前に立ってください」と促したが、西村被告は気付かず、弁護人に声をかけられる一幕も。顔は紅潮し、中川裁判長から「職業は」と問われると、声のトーンを落として「衆院議員です」。さらに「起訴状には弁護士とありますが」と聞き返され、一段と声をしぼって「弁護士でもあります」と答えた。

 検察官が起訴状を朗読している間に上着の内ポケットからメモを取り出し、罪状認否でよどみなく読み上げた。

 「弁護士法違反についてはその通り間違いありません」「弁護士法の理解が十分ではなかった」。そして「弁護士資格を持つ者としてお恥ずかしい限りで痛恨の極みです」と謝罪した。

 今年一月十七日、保釈後初めて公の場に姿を見せ、議員続行を言明した西村被告。拉致問題への取り組みに意気込みを見せたが、事件の影響はその政治活動に重くのしかかった。

 同月二十日の国会開会以後、本会議や安全保障委員会にはきちんと出席。しかし、拉致問題の集会は「依頼がなかったのでほとんど参加していない」(関係者)といい、運動を引っ張ってきた逮捕前と様子が一変した。

 地元の大阪府堺市の事務所も縮小を余儀なくされた。かつて六人いた職員は、今は秘書と事務員の二人だけ。事件を機に新たな道に進んだ職員もいるという。

 公判のプレッシャーもきつかったようだ。テレビへの出演や新聞、雑誌の取材依頼は固辞し、メディアへの露出は意図的に控えた。関係者は「保釈中の身分をわきまえた」と話すが、「検察を刺激したくない」との思いも強かったという。

 一月の記者会見でも事件に関することには口をつぐみ、週末に地元に戻っても、支持者回りはほとんできなかった。知人らが「西村真悟裁判を支援する会」を発足させ、ホームページを立ち上げたが、弁護団が閉鎖を申し入れるほどの気遣いようだった。

 この日も、法廷ではメモを読んだだけで発言は最小限にとどめた。公判後の会見は拒否し、報道陣には「主張は粛々と続けていく。これでご容赦いただきたい」と話した。さらに「事件のことは片時も意識から離れたことはなく、反省の日々を送ってきた。一回しかない人生において、逆境は天の恩寵(おんちょう)という言葉を実証したい」との心情をつづった書面を渡して、裁判所をあとにした。

≪民主、重なるダメージ≫

 元衆院議員による覚せい剤取締法違反事件や参院議員の傷害事件、さらには永田寿康衆院議員の「堀江メール」問題…。昨秋の衆院選で惨敗して以来、度重なる失態でダメージを負った民主党。その一つが、西村真悟被告の弁護士法違反事件だった。西村被告を党除籍処分にした同党だが、事件の“後遺症”をいまだ引きずっている。

 「この間、いろんなことがあり過ぎた」。党幹部の一人は自嘲(じちょう)ぎみに語る。同党では、小林憲司・元衆院議員が昨年九月、自宅に覚醒(かくせい)剤を隠し持っていたなどとして逮捕。さらに木俣佳丈参院議員が、飲食店の女性店員に軽傷を負わせたとする傷害容疑で書類送検された。「堀江メール問題」では党執行部の求心力が低下している。

 西村被告は昨年十一月の逮捕翌日、党を除籍されており、今は無所属として活動している。この党幹部は「後は一人の国会議員の立場で対処されるべきだ」と突き放しつつも、「組織的犯罪処罰法違反は、元来暴力団の犯罪などを問う法律のはず」とかつての同僚をかばった。

 一方で、「事件の真相を知りたいという有権者の欲求にはこたえていない。国会議員として、一定のけじめがついたときには、しっかりと説明責任を果たすべきだ」と話した。

平成18(2006)年3月9日[木] 産経

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「組犯法」争点に 議員のイス死守 実刑回避狙う

 大阪地裁で九日開かれた初公判で、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益などの収受)罪については否認する姿勢を示した西村真悟被告(57)。弁護側は西村被告が得た現金が“犯罪収益”ではないと主張するだけでなく、その適用の是非をめぐる法律論争も辞さない構えだ。一方で、その主張には、批判を受けながら辞職を拒み続けた国会議員職を死守するため、執行猶予を得ようとするねらいも垣間見える。

 西村被告は罪状認否で、組犯法違反罪について現金の収受自体は認めつつ、「犯罪収益にはあたらない」と主張。実際に非弁活動を行った鈴木浩治被告(52)との雇用関係が継続中だったことから、鈴木被告が得た報酬は西村被告に帰属する弁護士報酬だと争った。

 そもそも、西村被告が組犯法違反罪に問われたことに、弁護士を中心に疑問の声も少なくなかった。

 ある法曹関係者は「一万円を盗んだ窃盗団のメンバーを、窃盗と組犯法違反の二つの罪に問えるだろうか。一万円という“犯罪収益”を得たこと自体は窃盗罪に含まれており、組犯法違反罪にはならないはず」と指摘。西村被告の場合も、鈴木被告から報酬を受け取った行為は、「非弁護士に名義を貸した」という弁護士法違反(非弁提携)罪に含まれる、ともとれるからだ。

 また、本来は暴力団など犯罪集団を取り締まる趣旨で制定された組犯法を、弁護士に適用するのは「法律の想定外」との指摘もある。

 一方で、弁護側の主張の背景には、西村被告が北朝鮮による拉致問題を念頭に「やり残してきたことがある」と執着してきた“議員のイス”の存在もある。

 弁護士法違反(非弁提携)罪と、組犯法違反(犯罪収益などの収受)罪の法定刑の上限は、それぞれ懲役二年と三年。両罪で有罪となった場合、刑法の併合罪の規定により最高で「懲役四年六月」の刑が科されることになり、執行猶予が付く条件となる「懲役三年以下」を上回ってしまう。

 公選法は、執行猶予の付かない禁固以上の刑が確定すると被選挙権が失われ、議員は自動的に失職すると規定。このため、弁護側にとっては「実刑回避」が最大の課題となっている。

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【用語解説】組織的犯罪処罰法

 正式名称は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」。暴力団などによる組織犯罪やマネーロンダリング資金洗浄)対策を目的として平成12年2月に施行された。組織的な殺人や恐喝、詐欺などについて刑を加重。また11条で、犯罪で得られた収益と認識しながら受け取ることを禁じており、罰則は3年以下の懲役または100万円以下の罰金。

西村議員の辞職勧告提出 自公共同、異例の対応

 自民、公明両党は10日昼、弁護士法違反などの罪に問われている西村真悟衆院議員(民主党除籍)の議員辞職勧告決議案を河野洋平衆院議長に共同提出した。自民党内には「議員の身分の問題を軽々に扱うべきではない」との慎重論が強かったが、武部勤幹事長が押し切る形で、公明党の強い姿勢に同調した。

 衆院事務局によると、与党が衆院議員辞職勧告決議案を過去に提出したケースはなく、今回の対応は極めて異例だ。

 これに先立ち、自民党村田吉隆国対筆頭副委員長は国会内で民主党平野博文国対委員長代理に決議案の提出方針を伝達。平野氏は「止める理由はない」と述べた。民主党幹部も「賛成せざるを得ない」と指摘しており、採決では賛成する方向で党内調整を進める方針。

 自民党は10日午前の役員連絡会で同決議案の扱いを協議し、武部氏は「国民の目に分かりやすく毅然(きぜん)と対処すべきだ」と提出に前向きな考えを表明。これに対し、細田博之国対委員長らは慎重な考えを示していた。

 この後、公明党の東順治国対委員長細田氏と会談し「公明党は決議案を単独でも提出する」との強い決意を示したことを受け、公明党との共同提出に踏み切った。公明党は9日、西村議員が初公判で名義貸しの事実を認めたことを受け「不法行為が明白になった」として、議員辞職勧告決議案の共同提出を自民党に呼び掛けていた。

 同決議案は可決されても強制力はない。これまで可決は、衆参両院で3例。

(03/10 12:34)
産経