文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

内外からの麻生バッシングは何を意味するのか?

「ポスト小泉は安部に決まり」と言われていた頃の安部晋三からは想像も出来ないようなスキャンダルが次々に暴露され、その政治的命運に暗い影が差し始めている。たとえばヒューザー耐震偽装疑惑での政策秘書の斡旋疑、暴力団とのつながり、あるいは秘密の後援会とライブドア事件の自殺者(他殺)野口某疑惑、などなどによる安部人気の衰退は激しい。


それとともに、それに取って代わるようにポスト小泉の有力候補として台頭してきたのが麻生太郎である。麻生太郎の連日の対中強気発言も、小泉政権下での数々の「安部の裏切り」を強く感じはじめている保守層の多くの間では、逆に麻生人気爆発の原動力となりつつある。


僕自身は、麻生の連日の、靖国問題南京事件、あるいは台湾問題などに関する、かなり単純な暴走発言の連発にはあまり好感を持っていないが、麻生が、現在の日本や日本人のホンネを代弁していることには間違いはない。


さて、その麻生に対するバッシングが、中国だけで沸き起こっているかと思っていたら国内からも沸き起こっているようだ。昨日発売の某週刊誌が、麻生太郎アメリカにおける「核武装発言」を取り上げて、アメリカ政府関係者も驚愕、というテーマで麻生バッシングとも取れる特集記事を掲載している。この麻生バッシングを見て、ウーーンと唸った人は少なくないだろう。これは、ポスト小泉をめぐる「つぶしあい」「足の引っ張り合い」だなあー、と。


週刊誌が、これだけ大々的に取り上げるのは、谷垣禎一の中国買春疑惑スキャンダル以来だろう。谷垣スキャンダルの場合も、その記事掲載のタイミングから考えて明らかに政治的謀略記事だったが、今回もそれ臭い匂いが濃厚というしかない。すばり、安部一派の仕掛けだろう。


「谷垣つぶし」に続く「麻生つぶし」の謀略記事が、今回の麻生の「核武装発言」スキャンダルだろう。麻生自身は、必ずしも「核武装論」を積極的にぶち上げたわけではないらしいが、そもそも日本の保守政治家が「核武装発言」をしたのを取り上げて政治スキャンダルに仕立てる某週刊誌の編集姿勢がヘンである。暴走発言ではあろうが、別にスキャンダルになるような発言ではなかろう。


ところで、麻生は最近、靖国問題に関して「A級戦犯分祇論」を発言しているらしい。その真意と意図は何処にあるのか。これまた謎である。麻生も小泉の対中和解政策の先導役をやらされているのかな。

駐日中国大使、呼び出し拒否翌日に次官と非公式会談
 中国の李肇星外相が小泉首相靖国神社参拝を「愚かで不道徳なことだ」と表現した問題で、谷内正太郎外務次官が同国の王毅・駐日大使に電話で抗議した翌9日、都内で非公式に王大使と会い、会談していたことが10日分かった。

 王大使は8日、「日程の都合」で会談に応じなかったため、谷内次官が「適切な表現を用いるべきだ」と電話で抗議していた。

 9日の非公式会談では、王大使が麻生外相が同日の衆院予算委員会で台湾を「法治国家」などと表現したことについて、「外相の発言は重い」などと抗議した。谷内次官も「それはお互い様だ」などと、李外相の発言を改めて批判。厳しいやりとりが交わされたという。

 一方、在日中国大使館は10日、王大使が8日の会談に応じなかったことについて、「当日、大使主催の重要な行事などを予定していたため、相談した結果、翌日会うことにした」とする談話を発表した。

(2006年3月10日23時8分 読売新聞)