文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

朝日批判の類型化に見る保守論壇の「全員一致のファシズム」を駁す。

朝日新聞の不祥事があいついでいるらしい。NHKの「模擬戦犯法廷番組」における安倍・中川代議士の圧力による番組改変問題から、最近は「新党日本」を立ち上げ党首に収まった田中康夫に関するインタビュー捏造報道まで…。それにらに比例するように朝日新聞批判、というより朝日新聞バッシングが、保守論壇ネット右翼の業界で異様な盛りあがりを見せているらしい。僕は購読していないが、最近売りだし中の『will』という保守系論壇人を集めた新しい雑誌までが特集を組んでいるのを新聞広告で見たが、ちょっとイヤな感じがしたのは僕だけか…。僕も、その朝日批判の論調に反対ではないのだが、「猫も杓子も、よってたかって朝日新聞批判…」という最近の保守論壇を支配している幼稚な思想的無意識の構造が、なんとなくうとましく感じられるのである。最近の保守の存在根拠は、「朝日新聞あっての保守…」という構造なのである。朝日を叩けばアナタも今日からリッパな保守思想家…なんてね(爆笑)。「郵政民営化賛成」「感から眠へ」「小さな政府」「改革、カイカク、かいかく」…、どこかの新人議員チルドレンたちと同じだ。他にすることはないのか、というのが僕の感想である。朝日新聞が存在しなければ成り立たないような保守では困るのである。元、自称「保守反動派」の僕としては、朝日新聞批判というレベルで全員一致して、思想的に自己満足している保守論壇の底の浅さが気になるのである。たとえば、西尾幹二の鋭い小泉批判と小泉擁護派との保守論壇内部での大論争でも特集してはどうなのか。そういう特集なら、僕はすぐ本屋へ跳んで行って買うよ。擦り切れたレコード(爆笑、…古い比喩だな・・・)みたいな朝日新聞批判なんて、いまさら読みたくないよ。正直に言わせてもらうと、新聞としては今でも朝日新聞が一番レベルが高いし、賛成するか反対するかは別として思想的にも政治的にも一番マトモだろう。保守論壇の論客やネット右翼の面々が、朝日新聞を眼の敵にしているという現実が、それを実証しているのだ。アンタら、なんでそんなに朝日新聞にこだわるわけ? 朝日新聞がそんなにダメなら無視すりゃいいだろうに…。要するに、最近のニワカ保守なんて、朝日新聞の「影」にすぎない。もしかして、朝日新聞の「工作員(販売拡張員?)」じゃないの…、アンタら。(冷笑)。ともあれ、安倍や中川は、保守政治家としては二流以下だね。「NHKの担当プロデューサーに会ったことは確かだが政治的圧力をかけた覚えはない、会った日時も違う…」と反論しているようだが、これは逃げているとしか思えない。西村真悟が言うように、「国賊的な番組なら、事前に政治的圧力をかけて、番組内容を改変させるのは政治家として当然だ…」と言うのが真正保守の論理だろう。そもそもこの騒動は、へんてこりんな番組を企画し、放送しようとしたNHKに問題があるのであって、朝日新聞の問題ではないだろう。誤解を恐れずに、敢えて言わせてもらえば、この政治的圧力と番組改変問題に対する朝日新聞の報道そのものは、取材方法や証拠保全に問題はあったかもしれないが、ほぼ朝日の書くとおりだろう、と僕は思っている。安倍も中川も問題が大きくなりすぎて逃げているだけだろう。