文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

■キリスト教は邪教です。

dokuhebiniki2005-04-25

キリスト教邪教です。

昨日は久しぶりに昼から武蔵浦和駅前の須原屋書店で新刊書籍を中心に片っ端から立ち読みした。途中、中沢けいさんの『海を感じる時』の新しい文庫本を発見して感激。そう言えば思い出した。それほど古い本ではないにもかかわらず、早々と絶版になってしまったような本を文庫として次々出していくとか言う話を。版元は自費出版でお馴染みの新風社だ。さしずめ、少し早目の名著復刻シリーズと言ったところか。この出版社は自費出版で儲けて台頭して来た出版社のようだが、文芸社等とともに今や文芸出版社として無視できない存在になりつつあると言っていいのではなかろうか。そもそも文芸出版の原点は自費出版だろう。金儲けしか頭にない大手出版が売れ行き不振で四苦八苦しているなかでこの手の自費出版系の出版社が異様に元気なのは皮肉と言うしかない。前にも言ったがこれから純文学はこの手の自費出版の方に流れていくのかもしれない。僕はそれは必ずしも悪いことではないとおもう。そうなった時、文学は文学本来の恐ろしさと力を取り戻すのではなかろうか。と、ブツブツつぶやきながら歩いていると、僕の『小説三島由紀夫』を編集してくれた若い友人の摘菜収くんの『キリスト教邪教です』が見つかったhttp://www.geocities.jp/tekina777/niche.html。たしか今日が発売日のはずであると思って覗いているとやはりそうだった。これはニーチエの『アンチ・クリスト』を翻訳というか手際よく要訳したものだ。さすがにやり手の編集者だった摘菜クンらしく目の付けどころがいい。キリスト教批判とブッシュのキリスト教原理主義批判をダブらせている。ブッシュ批判をやるなら、ニーチェキリスト教批判ぐらい勉強しろよ、というわけだ。お勧めの一冊だ。別の棚で次に手にしたのは、一時の勢いはなくなったが依然として名著(??)を乱造し続ける福田和也の『一月百冊本…』シリーズの第二弾。今回はパソコンやデジカメの利用方法についてそのノウハウを大公開。僕は今年も、日芸で、「エッセイ研究」という講座を担当しているので、いい勉強になった。意外だったが福田和也は、機械音痴かと思っていたら、IT機器をうまく使いこなしているようだ。おそるべし。さて、立ち読みの途中時間を忘れて読みふけった本が1冊あった。それは、なんと前民主党代議士山本譲二の『獄窓記』だった。この人は間違いなく一流のミステリー作家としてもやっていけると思う。すごい文章力だ。と言うわけで、広い書籍売場をうろついているうちに、すっかり立ち読みにも疲れたのでいつもの通り浦和レッズ御用達のサッカー焼き鳥『力(りき)』に駆け込み、相棒と二人でガツ刺しをつつきつつ、買ったばかりの『週刊新潮』連載の『福田和也の闘う時評』を肴にビール。今日も、幸せだったなあ。(笑)