文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

■ダイエー落城の夜、木村剛が……。


 ダイエー落城の夜、木村剛が「ニュースステイション」に出て「ダイエーの自主再建放棄」「ダイエー再生機構入り」は当然であり、むしろもっと早く決断すべきであった、というようなことをまくし立てていたが、しかし、僕ははじめからそういう議論を疑っている。むしろ、この一連の事件の背後で蠢いている政治的動きに注目したいと思っている。
 ufj銀行への強制捜査ダイエーの再生機構入り、西武・コクドの株式疑惑による堤義明の事情聴取。この一連の事件の流れは小泉政権の経済失政と無縁ではない。小泉・竹中・木村ラインは明らかにあせっている。
 さて、先日、「日本経済復活の会」が主催する「日本経済シンポジウム」に行って来た。九段会館のホールが満杯になるほどの盛況ぶりだった。リチャード・クーノーベル経済学賞受賞者クライン教授らが、日本経済の現況と今後の日本経済復活の可能性について講演したが、彼らの論調の方向はいずれも反小泉・反竹中であった。
 クーは最近、「バランスシート不況」という言葉で現在の不況の本質を分析・説明しているが、それは小泉・竹中・木村路線が採用している「サプライサイド改革」としての構造改革とは明らかに対立している。クーの議論は、企業側の過剰な「借金返済」によるバランスシーの改善そのものに不況の根本原因がある、というものだ。設備投資を押さえ、しかも逆に借金を銀行に返却してバランスシートを改善していくことは、普通なら歓迎すべき企業経営だろう。しかし全国的規模で、しかも民間企業が一斉に同一行動をとるとなると話は別だ。いわゆる「合成の誤謬」という奴である。借金返済ばかりで消費・投資を抑制すると、市中に金が回らなくなり、その結果として国民の消費意欲が減退し、ますますデフレは進む。
 この現実を小泉・竹中・木村ラインは認めていない。おそらく認めたくないのだろう。そこで、彼等は、経済分析の間違いを隠蔽しつつ、ますます強権を発動し、「不良債権減らし」「不良企業つぶし」に狂奔する。つまり、借金返済と消費支出抑制による財政再建という甘い夢を、国家的規模で追い続け、ますます日本経済を窮地に追い込もうとしているのが小泉改革なのだ。それがダイエーつぶしや西武つぶしと連動していることは明らかだ。
 木村剛は、ダイエーが「楽天ホークス」になってもいいのではないかと言っていたが、アホか。楽天の手先?