文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

ネットで読める『清水・山崎の対談・文藝時評』!!


 昨夜は、眠い目をこすりながら明け方まで必死だった。「月刊日本」に連載している「月刊・文藝時評」を書き上げるためだ。どうにか完成できたので10時ごろメールで送信した。そしてそのまま日大芸術学部へ。電車の中で講義のおさらい。一つは「実存主義から構造主義への思想的展開」について。もう一つは夏目漱石の「夢十夜」論。いずれも柄谷行人との関連である。予想外に熱心な学生がいるので毎週の出講が楽しみだ。来週はそういう学生数人と飲み会を計画している。
 「月刊・文藝時評」は、秋山駿の犯罪論(「新潮」連載の「文学の葉脈」の一節)を枕に文学と犯罪の共通性と、最近頻発する少年犯罪とネットの問題等。自己喪失、意味喪失の「虚無空間」からの必死の脱出の試み……それが文学であり犯罪だという秋山説に僕も賛成だ。
 猪瀬直樹菊池寛伝「こころの王国」が完成したらしく「文学界」が特集を組んでいるので、それについては猪瀬の「大衆文学主義」(夏目漱石批判)を批判しておいた。猪瀬は今回の「長崎事件」についても「あれは病気だ!」と言っているらしい。いかにも猪瀬らしい即物的な思考だ。病気ですむならたしかに文学者はいらない。
 ところで、先週、「エッセイ研究」のクラスで、僕が昔、「週刊読書人」に連載した「私の交遊」というコラムのコピーを自己紹介を兼ねて配っておいたところ、いつも一番前に座っている女子学生から「先生は鹿児島ですか」と話し掛けられ、びっくり。別に驚くことはないのだが、「私も」と言われ、なんとなくうれしくなり、ついつい話し込んでしまった。「高校は?」と聞いたら「純心」と言う。鶴丸を落ちて純心へ行ったらしい。家も僕が高校時代に下宿していた所の近くのようだ。というと作家の坂上弘さんの後輩かも。きわめてローカルな話が簡単に通じるのはうれしい。年をとったせいか。故郷の話には弱い。今年もまた夏休みにはすぐ帰郷する予定だ。
 講義終了後、清水正教授の研究室へ。実はこの日は清水さんとネットに公開する形での「対談・文藝時評」を開始する予定だった。そこでまず第一回目として「文学界」新人賞受賞作(モブ・ノリオ「介護入門」)をネタにはじめたのだが睡眠不足もありイマイチ盛り上がらず。しきりなおし。しかし近いうちに『ネットで読める対談・文藝時評』を開始する。ネットが犯罪の温床だとすれば(笑)、文学の温床でもあるはずだ。