福田和也・坪内祐三編同人誌「エンタキシー」を読む
昨日、「エンタキシー」という雑誌が送られてきた。福田和也や坪内祐三が編集する同人雑誌だ。どうしたわけか、前号あたりから送られてくるようになった。送呈リストにボクの名前が載っているのだろう。仕方なくパラパラと立ち読みする。雑誌の作り自体はうすっぺらなものだが、中身はなかなかに濃い。
坂本忠雄さんが、作家にインタビューするページがある。この元「新潮」編集長氏は、厳しいことで知られた名編集長だった。彼の発言にはいつも重いものを感じる。坂本さんはほとんど書かない人だけにこういう場所での発言の記録は貴重だ。
今号では深沢七郎について、嵐山光三郎にインタビューしている。文芸誌では読むことの出来ない、文学の本質に触れた発言がある。
吉田司の「文芸時評」も面白い。
アメリカでも話題になっているという桐野夏生の「グロテスク」と「残虐記」について書いているが、その「総合職OLの悲劇」という分析も、まあ常識的と言えば常識的だが、かなり問題の本質を突いている。同じ事件をノンフィクションとして書いた佐野真一の「東電OL殺人事件」批判も同感だ。「堕落論的分析」や「父親コンプレックス」論が通俗的だというわけだ。