文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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白洲次郎・白洲正子旧邸「武相荘」訪問記

■2004/04/02 (金) 白洲次郎白洲正子旧邸「武相荘」訪問記

 昨日、町田の白洲正子旧邸「武相荘」に行ってきた。鶴川駅から歩いて15分ぐらいで着いた。午後3時ごろから3時間いたが、その質素で、静かなたたずまいには、いつまでもが離れがたいものを感じた。美術館や文学館は、1時間ぐらいもいると早く帰りたくなるものだが、ここはまったくそういう気分にはならなかった。藁葺きの農家を部分的に改造した家は、意外にこじんまりしたもので、予想とは違っていたが、そこがまたいいと思った。綺麗に整理整頓された部屋の内部には、高価そうな置物、焼き物、書・・・・などが何気なく並べられていた。しかし、それも、見せるためというより、ついさっきまでそこに生活していた、という雰囲気である。いかにも通人らしいたたずまいであった。裏側の奥の部屋にある書斎は、雑誌などでお馴染みのものだったが、やはりガラス窓越しに見える草木の風景がすばらしい。どこを見ても、見せびらかすような「いやらしさ」がまったく感じられない。洋行帰りで、外車を乗り回すようなブルジョワが住む家とは思えないぐらい質素なものであった。庭は、雑木と竹林と灯篭、石仏などが、一見、雑然としているように見えるが、それがまた自然に調和していて、見ているだけで心が休まる。西洋式庭園風に、無理に刈込んでないのがいい。ふと、自分が生まれ、育った田舎の家を思い出した。近頃は、どんな田舎でも、垣根や植木を綺麗に手入れしているが、あまり手入れしすぎるのも興醒めだな、と思った。帰りには、喫茶コーナーで抹茶を飲み、売店で小さな線香立てと絵葉書を買った。6時で閉館らしいが、最後まで人が絶えなかった。若い人がほとんどいないのもよかった。贅沢な1日だった。
 昨日は、それから靖国神社まで足を伸ばした。靖国神社も閉門寸前だったが、ギリギリで間に合った。参拝した後は、千鳥が淵の、ライトアップされた満開の桜並木を散策。前へ進めないぐらい、人があふれていた。