文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

「匿名コラム」のない文芸誌なんて読む気がしないよ。

某所で、産経新聞のM記者や読売新聞のS記者、文芸評論家のRさんなどに遭遇。久しぶりだったので、かなり込み入った話をしたように記憶しているが、お酒が入っていたので詳細は忘れた。ただ明確に記憶しているのはM記者とRさんが僕のHPを知っており、しかもかなり念入りに読んでいるらしいうこと。ちょっと驚いたがやはりそんなものかとも思った。おそらく雑誌や文芸誌や新聞などに書いたものよりHPの方が読まれているのではないか。近い内に、イラクのサモワに取材で行くというMさんは、僕がHPに載せている「ネオコン論」について「ちょっと違うんじゃない……」と突っ込んできた。いやー、畏れ入りました。というより僕のHPの中身まで綿密に読んでくれていてるということに感激。実は、M記者は、イラク戦争が始まる直前、アメリカの大学に留学、やがてネオコン関係の分厚い原書を抱えて帰国。アメリカ政府を乗っ取ったネオコン情報を我々に最初に教えてくれた人だ。「ネオコンの連中はニーチェは読んでいない」とMさんは言う。イラクから帰国したらまた会う約束をかわして別れた。さて、同業者の先輩、Rさんは、僕の名前が「2ちゃんねる」に書きこまれ、誹謗中傷の対象になっていることまで詳細に知っていた。「2ちゃんねる」を覗いたり、書きこんだりしているのは素人ばかりかと思っていたがどうもそうではないようだ。気をつけよう。と言っても傍観する以外にどうすることもできないが。スガ秀実の新著『ジャンクの逆襲』(作品社)に、最近、文芸誌の「華」とも言うべき「匿名欄」がなくなったが、これこそ文芸誌の衰退の兆候だ、今は「2ちゃんねる」の匿名カキコミが、それを代行している、と書いていたが僕も半分は同感する。先月から、「群像」が匿名欄「侃侃諤諤」を復活させたが、当然だろう。批判力の喪失が文芸誌の衰退に直結している。読売のS記者とは芥川賞について語る。今回の芥川賞に対する批判はかなり根強い。S記者も批判的だった。そもそも19歳と20歳の新人を推薦するのに選考委員ほぼ全員一致というのもなんだかアヤシイ。むしろ、選考委員の方が「文藝春秋」社員の顔色をうかがっているが現状かな。ここは普通なら、一人か二人の選考委員が抗議して委員を辞退するところだ。石原慎太郎村上龍芥川賞を受賞した頃の選考委員にはそれだけのプライドがあった。ということで意見が一致したのだが。




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1947年生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科卒。慶應義塾大学大学院修了。東京工業大学講師を経て、現在、埼玉大学講師。朝日カルチャー・センター(小説教室)講師。民間シンクタンク『平河サロン』常任幹事。哲学者。作家。文藝評論家。

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