文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

北村稔とレフト・ブック・クラブ。北村稔によれば、ティンパーリーの背後には、国民党の影だけではなく、イギリス共産党やコミュンテルンの影があるそうだ。北村稔の推理力には驚くが、しかし、それは歴史研究者の推理力ではないだろう。

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北村は、ティンパーリーの『戦争とは何か』の出版元(?)が「レフト・ブック・クラブ」「ゴランツ書店」という左翼出版社だということからも、ティンパーリーの言論活動の背後には、「国民党の影」だけではなく、「イギリス共産党やコミユンテルンの影」があった、という。正式の版元は「ゴランツ書店」となっているらしい。

ゴランツはラスキらと活動した当時の代表的左翼知識人であり、レフト・ブック・クラブの出版活動の背後には、イギリス共産党コミンテルンの影があった。筆者はティンパーリーの著作の背後に当時の国際政治が存在したことを確信し、ティンパーリーは一介のマンチェスター・ガーディアン特派員ではなく、何らかの背景を持つ人物である」という思いを強くした。
(北村稔『 「南京事件」の探究―その実像をもとめて』 )

なかなか鋭い推理力である。おそらく、北村の言う通りかもしれない。しかし、全然、違うかもしれない。要するに、北村の推論は、歴史研究者にあるまじき「大胆な推理力」である。証拠や文献資料が少なすぎる。北村稔の『 「南京事件」の探究―その実像をもとめて』 は、こういう根拠のとぼしい独断と推理とから成り立っている。櫻井よしこを筆頭とする「似非保守論壇」の面々が、その単純な結論に安易に飛びつくはずである。



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