文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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櫻井よしこも安倍晋三も「ネット右翼」である。ーー「ネット右翼亡国論」

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櫻井よしこの本(『日本の覚悟』その他)を読んでいくと、あまり専門的な本を読んでいないことが分かる。2、3冊の本は読んでいるようだが、専門的な研究書や最近の本などは読んでいないようだ。しかも、読んでいる本も、仲間や友達の書いた通俗的な「トンデモ本」である。一般庶民ならそれも仕方ないが、いっぱしのオピニオン・リーダーを気取っているような人が、それでは問題である。



だから、櫻井よしこはいつも自信満々だが、その知識は、かなり古い観念論的常識論である。最近の専門的な研究書や資料は読んでいないようだ。たとえば、「昭和天皇東條英機」についての場合のように、初歩的な「無知」と「間違い」をさらすことになる。


櫻井よしこは、昭和天皇が、「東條英機」を批判することなど、「絶対に」(笑)、ありえないと思い込んでいるようだ。櫻井よしこの読んだ本には、「昭和天皇東條英機」の美しい物語のみしか書かれていないのだろう。 まさか、昭和天皇が、「東條英機」の批判をしたとは思いもしないことなのだろう。


あるいは、お得意の中国論については、仲間の「金谷某」の説を根拠に基づいて、こんなトンデモナイ「暴論」を展開している。



私はこれまで、このような中国人の思考を中華帝国主義と呼んできた。 他方、金谷譲(じょう)氏はそもそも、中国人は古代から現在まで「物の理(ことわり)」を理解出来ない人々だと説明する。「理」が通じないために、「理」によって外交問題を処理しようとする日本や欧米諸国と往々にして摩擦を起こしがちだというのだ。

ちなみに金谷氏は、シンクタンク「国家基本問題研究所」(国基研)の客員研究員である。英語、ロシア語、中国語に通じ、『中国人と日本人 ホンネの対話』、『チベットの核』など、多くの著訳書を世に問うてきた。その人物が『中国はなぜ「軍拡」「膨張」「恫喝」をやめないのか』(文藝春秋) の中で、中国人の思考の特徴について、興味深い分析を行った。

中国に科学的で民主的な思考が根付かないのは、彼らの思考の中で「倫理」と「物理」が基本的に未分化だからだというのだ。仮説をたてて推論し、それを実験によって検証するという自然科学的思考様式が彼らの中に存在しないというのである。

であれば、 中国人には科学的発想、つまり、宇宙の森羅万象を客観的、理性的に考えることが出来にくいということになる。中国共産党の掲げる国家目標は「科学的発展観」に基づいて、「人民を根本とする」「持続可能な均衡」ある国をつくることだ。では、彼らの言う「科学的発展」の科学とは何を 意味するのだろうか。

結果責任ではなく心情倫理

日本人も欧米人も、科学といえばほぼ自動的に自然科学、物理や数学、実証可能な思考を考えるだろう。だが、中国の「科学的発展」の科学は「社会科学」を指すと金谷氏はいう。さらに踏み込めば、それは「マルクス主義」だともいう。中国の問題は、社会の体制や規範としてのマルクス主義と、自然法則としての科学を同一視していることなのだ。

学問の遅れた前時代的なこの知的混濁がどのようにして現代中国にまで続くのか。以下、氏の分析である。

共産革命後の現代中国の思想はマルクス主義だが、革命前の伝統的な王朝中国の思想は「儒教」だった。儒教では、人間は倫理的行動によって自然法則を左右出来ると考える。そこから結果責任ではなく、心情倫理を重視する思考が生まれる。動機が善なら、結果に拘らずその行為は讃えられ、動機が悪なら結果如何に拘らず評価されないという類だ。

好例が2005年の反日デモで若者たちが唱えた「愛国無罪」だった。 正義は中国にあり、中国人は正しいのだから、何をしてもよい、反対に日本は 「本質的に」「野蛮な」「軍国主義」の民族だから、やることはすべて悪だという考え方だ。

(櫻井よしこ『日本の覚悟』)


これが、櫻井よしこの「中国蔑視論」と「中国脅威論」の中味である。私は、どちらかと言えば、中国や中国人が好きではない。また、中国や中国人の言い分を擁護しようとも思はない。しかし、櫻井よしこや、櫻井よしこのお友達らしい「金谷穣」の言い分(中国論)を読んでいると、日本人として恥ずかしくなる。むろん、櫻井よしこらの主張をそのまま認めようとも思わない。


櫻井よしこや金谷穣等の中国論は、「ヘイトスピーチ」レベルの中国論でしかない。中国嫌いの一部の日本人には受けるかもしれないが、この中国論は、日本人を貶めるものでしかないだろう。いつから、日本人は、こんなに下品で、無教養な日本人に堕落したのか?


中国が、日本を追い越して世界第二の経済大国になり、人工衛星を打ち上げ、オリンピックでは金メダルを米国と競うようなレベルにまで成長した現在、「中国バッシング」でしかない櫻井よしこや金谷某の「中国論」は、「負け惜しみ」や「妬み」「僻み」の類でしかない。嫉妬に狂っている日本人がここにいる。哀れである。


さて、安倍晋三首相は、この文庫本の「抜群の近現代史の教養・・・」とかなんとか、解説で書いている。安倍首相も、櫻井よしこ百田尚樹に共感するようでは、その思想レベルは、「ネット右翼」らしい。困ったものである。まさに、「ネット右翼亡国論」であろう。

(続く)


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◼️ノエル君情報。朝日新聞から。

規制なきドローン、逮捕踏み切る(5月22日)朝日新聞ニュース


 注意を顧みぬ迷惑行為への当然の措置か、法規制のない中での行き過ぎた逮捕か。東京・浅草の三社祭で小型無人飛行機(ドローン)を飛ばすと「予告」したとして横浜市の無職少年(15)が21日、警視庁に逮捕された。威力業務妨害という適用範囲の広い容疑に、専門家の意見も分かれた。

 「任意ですか、強制ですか。誰が迷惑を被ったんですか」

 15日午後、国会議事堂に近い東京都千代田区の公園。ドローンを飛ばそうとしたとして警察官が職務質問すると、少年は激しく反発。その様子を動画共有サイトで生中継した。

 少年は、9日に長野市善光寺で法要行列にドローンを落下させたとして長野県警に注意を受けた。警視庁少年事件課などによると、他にも兵庫県姫路城東京都心部で、ドローンを飛ばしたり、飛ばそうとしたりしていたほか、警察署で事情を聴かれた後に警察車両で自宅に送られる車内の様子なども動画共有サイトツイッターで流し続けた。

 少年の逮捕容疑は、14〜15日にかけ、東京・浅草の三社祭について「祭り行きますから。撮影禁止なんて書いてないからね。祭りは、無礼講ですよ」と言う様子を動画共有サイトに配信。主催者にドローンの持ち込みや飛行を禁止する貼り紙を作らせたり警備を強化させたりして、業務を妨害したというもの。少年事件課は、約150万人が集まる祭りでドローンが落下すれば大きな事故につながるため、主催者側が警備強化を余儀なくされたと判断した。

 少年は、自分のウェブサイトを通じて寄付やグッズの購入を呼びかけており、警視庁は、少年に資金を提供した人物がいる可能性があるとみて調べている。少年は「ドローンを飛ばすとは言ってません」と容疑を否認しているという。

 中学で少年と同級生だった女子高校生(15)によると、少年は3年生のとき常に白いマスクを着け、休み時間は自分の席で窓の外を見たり机に突っ伏したりしていた。次第に登校しなくなったという。

警視庁「難しい判断だった」

 ドローンは、家電量販店やインターネットで数万円前後で売られ、誰でも買うことができる。購入時の身分確認もなく、国内で約2千機が普及しているとされる。

 飛行を直接規制する法律も、現状ではない。自民党は、国の重要施設とその周囲約300メートルの上空で飛ばせないようにする「ドローン飛行禁止法案」を議員立法として今国会に提出する方針だ。

 ルール作りが追いつかない中、警視庁は今回、威力業務妨害容疑を適用した。業務妨害罪は、他人の業務活動を妨げる行為に適用される。人を欺く手口であれば「偽計業務妨害」、言葉や行動による脅迫であれば「威力業務妨害」となる。「威力」の場合、暴力を振るわなくても、大きな声を出したり、汚物をまき散らしたりすれば該当し、実害が出ていなくても有罪となる場合もある。有罪なら3年以下の懲役、または50万円以下の罰金となる。

 警視庁は、再三注意をしても少年がドローンを飛ばそうとすることをやめなかったことや、逃走の恐れがあることなどから「難しい判断だった」(捜査幹部)としながらもこの容疑での逮捕に踏み切った、と説明した。

 4月に首相官邸の屋上でドローンが見つかった事件でも、無職の男(40)は、警視庁に威力業務妨害容疑で逮捕され、その後、同罪で起訴された。ドローンが見つかったのは、落下してから約2週間後だったが、警視庁は、官邸職員らが通常の業務と異なる対応をせざるを得なくなった、と判断した。

 スーパーで菓子の容器につまようじを入れる場面を撮影し、動画投稿サイトに流していた事件では、警備を強化させたなどとして偽計業務妨害容疑で東京都内の少年が再逮捕され、中等少年院送致となった。

 警視庁刑事部の幹部は「業務妨害罪の適用は最後の手段。別の容疑がない場合、『広い意味で何らかの被害を受けた』として立件するケースがあり、カバー範囲は広い」と説明する。この幹部によると、ネットで犯行予告があった2008年の東京・秋葉原無差別殺傷事件の前後に、同じような犯行予告や脅迫が急増。業務妨害容疑での立件も増えたという。

■再三注意の末、問題ない

 元東京地検公安部長の若狭勝さんの話 少年が過去にドローンの落下事故を起こした事実を踏まえれば、三社祭の関係者は対応を取らざるを得なかった。警察は少年が危険な行為を繰り返すたび、指導、注意した末の逮捕で、手順に問題はない。警察には少年の行為がエスカレートしたり、模倣犯が相次いだりして負傷者が出る前に、危険な行為を封じ込めたいとの危機感があるのだろう。

■まだ15歳、やり過ぎでは

 甲南大法科大学院園田寿教授(刑法)の話 そもそもドローンを規制する法律がないなか、子どもの軽率な行為に、いかようにも当てはめられる業務妨害罪を適用するのは、少しやり過ぎだと感じる。逮捕されたのはまだ15歳の少年。教育的な指導を与えることは必要だが、逮捕して非行少年として扱うことは、彼のこの先の人生を考えれば避けるべきだったのではないか。