文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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櫻井よしことマッカーサーと昭和天皇。

dokuhebiniki2015-04-29


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櫻井よしこは、『異形の大国 中国』で、昭和天皇マッカーサーとの最初の会見におけるマッカーサー回顧録重光葵回顧録が記す「昭和天皇の言葉」を、そのまま鵜呑みにし、全面的に信用しているようだ。


マッカーサー回顧録や証言が、かなり脚色に満ちたもので、そのまま鵜呑みにするのは危険である、という疑いはゼロのようだ。もし、マッカーサーの証言や、マッカーサーから又聞きした重光葵回顧録が 、信用できない、怪しいものだったとすれば、櫻井よしこの論理(「昭和天皇イメージ」)は、一挙に崩れるわけだが・・・。


2006/8/3という日付のある文章(『異形の大国 中国』)で、櫻井よしこは、こう書いている。

日本が占領されたとき、昭和天皇マッカーサーに、全責任は自分にあり、と言って、日本国と国民を守ろうとした。マッカーサーが感動して重光葵外相に伝えた天皇のお言葉は次のようなものだった。


こう記した後、次のような文章を引用している。

「私は日本の戦争遂行に伴ういかなることにもまた事件にも全責任をとります。また私は、日本の名においてなされたすべての軍事指揮官、軍人および政治家の行為に対しても直接に責任を負います。自分自身の運命について貴下の判断が如何様のものであろうとも、それは自分には問題でない。構わず総ての事を進めていただきたい。私は、全責任を負います。」

櫻井よしこは、よく知られている昭和天皇の、この「お言葉」を全面的に信頼、確信した上で、次のように論を進めている。

決して他人に責任転嫁されない姿勢に感動するのはひとりマッカーサーだけではないだろう。このような天皇を守り通したのが、「A級戦犯」とされる人々、就中、東條だった。
(櫻井よしこ『異形の大国 中国』)


今の時点で(2015/4)、櫻井よしこの解釈の論理は、ほぼ間違いだったということが、多くの資料や分析などから明らかになっている。と言っても、櫻井よしこが免罪されるわけではない。櫻井よしこが、『異形の大国 中国』を出版したのは2006年である。


マッカーサーとの会見時における天皇発言の信憑性問題は、豊下樽彦等の論文で、すでに充分に論じられており、櫻井よしこが、まったく知らなかったはずはない。それとも、櫻井春秋よしこは、マッカーサーの自慢話を素朴に信じたのだろうか。1964年「文藝春秋」に掲載された「マッカーサー戦記・虚構と現実」と題する特集記事も知らなかったのか?


豊下樽彦の資料分析や文藝春秋の解説によると、マッカーサーの証言は、勘違いか自慢話の類であって、事実とは異なるということが、ほぼ明である。


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