文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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「御船千鶴子事件」と「小保方晴子事件」の類似性と相違生。

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明治時代末に、熊本県の片田舎に住む透視脳力の保持者・御船千鶴子は、その優れた透視脳力、予知能力によって人気者になった。近代科学や近代医学を超える超能力の出現であった。しかも、京大総長の病気の治療にまで、御船千鶴子が登場するにいたって、世間は騒然となった。


そこで東大教授たちが登場する。それを聞きつけた東大教授たちに、何回も「透視脳力実験」を試みられ、成功したり失敗したりを繰り返す。しかし、最終的には山川健次郎・東大理学部教授(元東大総長)らの主張で、「嘘つき」「詐欺師」「インチキ」・・・というレッテルを貼られ、 マスコミや東大教授たちから激しいバッシングを受ける。国民大衆もそのバッシングに付和雷同、孤立し、意気消沈した御船千鶴子は、24歳で、服毒自殺する。


こうして、「透視脳力」や「千里眼」などというものは「インチキ」であり「非科学的」と見なす 、東大理学部を中心とする「近代科学主義的教育体制」が、めでたく確立して行くのである。御船千鶴子は、近代科学主義と大学制度の「スケープゴート」として利用されたのである。


御船千鶴子以後、おおくの 超能力者たちが出現するが、そのほとんどは「科学」の名において消されて行く。「千里眼事件」や「サダコ事件」「リング」として知られている事件である。明らかに「小保方晴子事件」と類似している。しかし、違いもある。


御船千鶴子が、平凡な主婦(離婚)、だったのに対し、小保方晴子は、ハーヴァード大学医学部に留学し、自ら先端科学の研究現場の第一線に立つ科学研究者であることだ。言い換えれば、小保方晴子博士には、マスコミと東大教授らを中心とする国民的「詐欺・捏造バッシング」にもかかわらず、科学者のなかに、未だに支援者や応援団が存在することだ。


我々は、科学に、超能力や透視脳力、千里眼、心霊術、あるいは宗教や信仰・・・などは無縁だと思いがちである。いや、むしろ、それらと厳しく対立するものだと思いがちである。しかし、そうだろうか。「科学」が対立し、排斥するのは「科学主義」であって、超能力や千里眼、信仰・・・などではない。小保方晴子さんを批判・罵倒し続けるマスコミや東大教授たちは、それが分かっていない。


小林秀雄に、「信ずることと知ること」という講演記録がある。そこで、小林秀雄は、ユリゲラーの「念力」の話から始めて、ベルグソンの「念力に関する文章」の話、そして柳田國男の「オバケ」の話に及んでいる。


特に、ベルグソンの「神霊術」に関する話が面白い。フランスの科学哲学者ともいうべきベルグソンは、「生きている人のまぼろしと心霊研究」という論文で、心霊現象を肯定的に論じている。むろん、小林秀雄が、心霊現象を擁護していることは言うまでもない。つまり、ベルグソンは、遠い戦場で死んだ夫の死の 場面を同時刻に見た、というある婦人の話を擁護する。おそらくどれは真実だろう、と。


夫が戦場で戦死した時、パリにいたその夫人は、同じ時刻に、夫が塹壕で斃れたところを夢にみたという話を例に、ベルグソンは、確かに、「念力」というまだはっきりとは知られない力によって、直接見たに違いないという。それを科学主義的に理路整然と否定した高名な医師の主張を、むしろ批判している。


小林秀雄によれば、ベルグソンはこう言っている。「一流の学者は、自分の方法というものを固く信じているから、その方法の虜になっているものだ。だから、現象の具体性というものに目をつぶってしまうものだ。」と。


そこで、小林秀雄は、こう言う。「近代科学の本質は計量を目指すが、精神の本質は軽量を許さぬところにある。そこで近代科学は、先ず精神現象を、これと同等で、計量できる現象に置き換えられないかと考えたのです。・・・」

(続く)
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ハーヴァード大学医学部留学時代の恩師、日本人研究者たち。


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下品? 意地が悪い? 大いに結構! 上品と綺麗事こそが論壇を劣化させたのだ! 辛口評論家・佐高信と、『保守論壇亡国論』の著者・山崎行太郎のスリリングな対談。 現代日本の論壇を右から左までメッタ斬り。 曽野綾子だろうが姜尚中だろうが容赦はしない。 論争なき論壇は滅ぶべし。
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