『保守論壇亡国論』(近日発売!!!)・・・自民党圧勝=安倍独裁政権は、日本を何処へ導こうとしているのか? 安倍政権の今後を占う上で重要なのは、安倍首相が心服するらしい「保守論壇」の動向である。最近の保守論壇はどうなっているのか?
昨年(2012)の衆議院選挙に続いて、今年の参議院選挙でも、自民党の圧勝に終わった。その前に、政権交代や民主党政権の時代があったとはいえ、「一億総保守化」の流れはとまりそうもない。私は、左翼思想家たちのように、単純に「保守化」や「右翼化」を批判するつもりはない。日本が、敗戦以後、今日まで続いている「戦後体制」を脱するためには、あるいは江藤淳のいう「閉ざされた言語空間」から脱するためには、「保守化」も「右傾化」も必然の流れかもしれない。しかし、問題は、その「保守化」と「右傾化」を支えている思想的背景である。つまり、私が、批判したいのは、「保守化」や「右翼化」を背後で支えていると思われる保守論壇の「思想的劣化」と「思想的退廃」である。
したがって、私が取り上げるのは、現代日本の保守論壇や保守系ジャーナリズムで活躍する保守思想家、あるいは保守系ジャーナリストたちである。
具体的に言えば、西部邁、櫻井よしこ、小林よしのり、中西輝政、渡部昇一、西尾幹二、孫崎享・・・等である。彼らは、それぞれ思想的な主張や政治的立場は、微妙に異なるとはいえ、孫崎享を例外として、現在の保守論壇、あるいは保守系ジャーナリズムを代表する人たちである。
現代日本のジャーナリズムや政界などでは、「保守」という言葉が氾濫している。かつては、「保守」という言葉は、「保守反動」という言葉とともに使われ、否定的なイメージしかなかったが、現在は違う。評論家たちも政治家たちも、先を争うように「保守」を語り、「保守である」ことに固執している。論壇やジャーナリズムには「保守思想家」や「保守政治家」が溢れ、「真正保守」を名乗る保守思想家や保守政治家まで登場する始末である。さらには、小林よしのりを筆頭に、「マンガ保守」や「ネット右翼」の若者たちまで、大量に出現している。保守や保守主義を名乗る集会やデモも盛んである。
敗戦後の戦後民主主義の時代には、つい最近まで、長い間、「左翼」や「革新」勢力側が、論壇やジャーナリズム、アカデミズムに関する限り、明らかに多数派を形成し、集会やデモを繰り返し、光り輝いていたものだが、今や立場を変えてしまった観がある。「一億総保守化」と言われる所以である。
つまり、今や、保守や右翼の側が多数派を形成している。
私は、かつて、左翼的言論や革新的言説に批判的だった。必然的に、小林秀雄や福田恒存、江藤淳、三島由紀夫・・・・・・など、保守論壇や保守思想家たちを支持し、彼等の書物を読むことが好きだった。
では、何故、今、保守論壇や保守思想家たちを取り上げて、わざわざ批判しようとするのか。
私が、ここで、保守思想家や保守系ジャーナリストを取り上げて、批判的に論じようとするのは、昨今の保守思想の堕落、保守思想の通俗化、保守思想の概念化、つまり保守思想家たちの思考停止・・・を批判・告発するためである。(続く)
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