文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

三田誠広と高橋三千綱。数日前、三田誠広さんから新刊『菅原道真ー見果てぬ夢』(河出書房)が送られてきた。そろそろ読もうかと思っていたら、今度は、共同通信文化部のSさんから電話があり、「高橋三千綱さんの小説『猫はときどき旅に出る』(集英社)の書評を御願いできませんか」と言う。

不思議な偶然だ。三田誠広高橋三千綱はともに、僕と同世代の芥川賞作家だ。現在、二人とも、作家としての活動はそれほど活発ではないが、かつては、一斉を風靡した作家である。その二人が、60を過ぎて新作長編小説を書いたのだ。今夜、これから、読むことにしよう。高橋三千綱は、1974年、26歳の時、『退屈しのぎ』で群像新人賞を受賞し、さらに78年、『九月の空』で芥川賞を受賞、文壇に、新世代の、注目すべき新人作家として、文字通り「颯爽」とデビューする。順風満帆の作家人生が待ち受けているはずだった。しかし、そこまでだった。その後、高橋三千綱の名前は消える。高橋三千綱は何故、文壇の中心から消えて行ったのか。その後、映画を撮ったとか、漫画原作者になったとか、いろいろ噂は流れた。自ら選んだ道なのか。何者かに排除されたのか。謎である。しかし僕は、三田誠広高橋三千綱も、文壇のヘゲモニー争いに負けたのだと思う。高橋三千綱の小説『猫はときどき旅に出る』(集英社)には、高橋三千綱が、「文壇」の主流から外れ、やがて「文壇」から排除されて行く様子が描かれている。さて、この頃、文壇のヘゲモニーをにぎったのは誰か。中上健次である。もしくは中上健次柄谷行人である。三田誠広高橋三千綱も、文壇のヘゲモニーを握りつつあったが故に、それほど強力な、若い新人作家たちであったが故に、ライバルであった中上や柄谷等によって形成されつつあった文壇の主流派から次第に排除されたていく。以後、文壇は中上健次を中心に動きはじめる。(続く)




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猫はときどき旅に出る

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菅原道真 見果てぬ夢

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