文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

シャートフとシガリョフの「反革命論」ーードストエフスキー『悪霊』と革命の政治学。

例外状況に本質は露呈するーというのが政治学者・カール・シュミットの哲学だが、国家論という問題に関していえば、例外状況とは「戦争」に他ならない。つまり、戦争を論じることは国家の本質を論じることになる。同じことが「革命」についても言える。さしずめ、ドストエフスキーの『悪霊』という小説は、革命という例外状況を描くことによって、「国家とは何か」「観念(思想)とは何か」「政治とは何か」・・・を問う小説だと言える。戦争や革命は、国家にとって、例外状況であるがゆえに、問題の本質が露呈する。社会主義革命を目指す五人組からなる秘密結社の挫折と自滅を描くドストエフスキーの『悪霊』は、革命小説であると同時に、革命批判の小説でもある。革命批判派の代表は、スパイの嫌疑をかけられて銃殺されるシャートフであり、シャートフ殺しに反対し、立ち去るシガリョフであろう。言い換えれば、シャートフとシガリョフの中に、革命批判としての「保守主義の哲学」の可能性と限界を読み取ることが出来る。革命思想から保守思想へ、言い換えれば西欧主義からスラブメシアニズムへの転向宣言をし、秘密革命組織からの脱会を宣言するシャートフの思想的根拠は、西欧主義、革命派の連中には、「ロシア民衆。ロシアの神が見えていない」という「ロシアの民衆」無視の観念主義批判である。(続く)
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★来る8月31日に松柏の会を行います。

松柏の会は秀明大学専任講師で、日本保守主義研究会代表の岩田温を講師とする、哲学、歴史、政治について幅広い観点から探求する勉強会です。意欲のある方でしたら、どなたでも参加できます。

今回の松柏の会は、ドストエフスキーの『悪霊』をテーマに行います。今回は特別ゲストとして、文芸評論家の山崎行太郎先生をお迎えし、ドストエフスキーの『悪霊』をテーマに、「政治と文学」の関係について考えたいと思います。


日時:8月31日(金)19時より
※いつもは第4金曜ですが、8月のみ第5金曜になります)
場所:アルカディア市ヶ谷
テーマ「政治と文学〜ドストエフスキー『悪霊』をめぐって〜」
会費:3000円
(今回は最初に30分ずつそれぞれが話をして、その後にパネルディスカッションを行います)
 なお、テキストのドストエフスキー『悪霊』は新潮文庫で上下巻、光文社古典新訳文庫で1〜3巻+別巻で刊行されています。講義前にお読み頂ければ、より理解が深まるかと思います。

参加ご希望の方は、恐れ入りますが下記のフォームよりお申し込み下さい。

https://docs.google.com/spreadsheet/viewform?formkey=dFJDWjV6cGg2YXJSeFQzVHc4dS10aEE6MQ

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