文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

「国境・領土問題」は国家論の根幹にかかわる問題であり、避けて通るわけにはいかない重大問題である。「国家意識は外国による侵略・占領の恐怖心と不安感とともに形成される」のだ。国民が国家に忠誠を誓うことと、国家が国民の生命財産を守るということは、交換関係にある。この交換関係が崩れる時、国家は解体するほかはない。

国家が国民の生命財産を外敵から守るという仕事こそ、安保・防衛の根幹である。しかし、未だに一部の文化人・外交評論家・軍事評論家のなかには、「損得勘定」を前面に出し、「大人の冷静な対応を・・・」などと言う人が少なくない。たとえば、尖閣は、今、現在、日本が実効支配しているのだから、騒がない方がいい、と言うが、北方領土竹島は、今、現在、外国勢力に実効支配されている。とすれば、今回のような「敵失」を利用して、あらゆる手法を駆使して「問題化」「明示化」する必要があるのではないか。尖閣にしても、毎回、「大人の冷静な対応」を繰り返していると、外国は、さらに踏み込んでくるはずである。「国境・領土問題」に最終的な解決・決着は不可能だとしても、この問題から逃げるわけにはいかない。戦後、一貫して、この「国境・領土問題」から逃げて、米国の保護国として、「保育器の中の平和」「奴隷の平和」に安住してきたのが、日本政府であり、日本国民であったように見える。しかし、米政府報道官が宣言したように、米政府は「中立」なのである。つまり、米国は、日本の領土を守る気はないのである。言うまでもないことだが、日本の「国境・領土問題」は、日本の力で守るしかないということである。「国境・領土問題」に「平和的解決」などありえない。「平和的解決」を期待することこそ、国家主権の放棄であり、国家弱体化、国家解体の危機そのものというしかない。「国境・領土問題」の解決は、戦争か軍事的侵略によるしかない。そもそも、国家は、どのようにして誕生したのか。国家は、一国で、つまりトーマス・ホップスクがいう所の「個人と個人の契約」によって、言い換えれば国民同士の話し合いのもとに成立したわけではない。
柄谷行人は『世界史の構造』の中で、こう書いている。

しかし、根本的には、国家は「獲得されたコモンウェルスである。たしかに、「設立されたコモンウェルス」と呼んでいいようなものも国家(都市国家)もある。しかし、それらが成立するのは、近傍に巨大な国家がある場合である。共同体の中で「ひとりの人間または合議体」に主権が与えられるのは、外の国家に対抗するためだ。その意味では、「設立されたコモンウェルス」もまた、根底において「恐怖に強要された契約」にもとづくといわねばならない。ホッブスがいうように、主権は、君主政、貴族政、民主政といった政体とは関係がない。つまり個人が主権を持つことがあるし、合議体が主権をもつことである。が、どの場合でも、主権は根本的に「恐怖に強要された契約」から生まれるのである。/「恐怖に強要された契約」は交換である。というのは、服従するものには「服従を条件にその生命を与える」からである。他方、支配者はそれを実行する義務がある。

「設立されたコモンウェルス」は、共同体の内部から、共同体の構成員同士の話し合いや契約によって設立された国家ということである。しかし、そういう国家の起源も、究極的には、外国という国家の存在なしにはありえない。外国からの侵略・略奪の恐怖が、国家形成の根本動機である。外国からの侵略や略奪の恐怖が存在しなければ、国家は成立しない。その必要がない。戦後の日本人が国家意識が薄弱なのは、戦後日本が、国家主権を有する真正の独立国家ではないからである。「国境・領土問題」の解決に、「大人の冷静な対応」や「平和的解決」を期待する物の考え方そのものが、戦後日本の国家意識の薄弱化を証明しているといわなければならない。




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★ 山岡淳一郎・孫崎享の併読をお勧めします。, 2012/8/28
By Cineman (静岡県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: それでも私は小沢一郎を断固支持する (単行本)



小沢一郎・・・これほど毀誉褒貶に富んだ政治家も珍しい。その政局運営ばかりがクローズアップされるが、田中角栄を師と仰ぐ人物でもある。田中はロッキード事件で失脚を強いられたが、昨今ではアメリカの謀略だったのではないかと囁かれている。田中は安全保障、エネルギー保障の根幹をアメリカに握られている状況が不安であった。独自の資源ルートを築こうとしたが、それがアメリカの逆鱗に触れ、嵌められたのである。小沢は田中の裁判を傍聴し、何を思っただろう。小沢の胸に去来するものは田中の志ではないだろうか。山岡の「田中角栄 封じられた資源戦略」、さらに最近刊行された孫崎の「戦後史の正体」を併読することで、マスコミで喧伝されている事象とは異なった実相が見えてくる。小沢には根強いファンが存在するが、反面蛇蝎の如く忌み嫌う勢力もある。小沢が中国に国会議員を多く引き連れて行ったことや、習近平天皇陛下に謁見させたことは政治的に短絡すぎると感じるが、あれはアメリカへの強いメッセージである。1993年自民党が政権にあるとき、宮沢とクリントンの間で年次改革要望書のやりとりが決定された。それは2009年の民主政権誕生まで続いた。小沢が政権奪取になり振り構わず猛進したのはアメリカの意思の中でしか主権を行使できない未熟な日本を成熟した国にしようとした意思の表れではないか。原発事故を通して、マスコミの虚構が暴かれた。そのマスコミがこぞって小沢をバッシングしている。たいへん明快な構造である。本書は現在進行形のアメリカの戦略の一端を見せてくれる。


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