文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

科学主義は科学ではない。科学がいかに無力なものであるか?

東日本巨大地震」の報道を見ながら、われわれが盲信している科学や科学主義とでも言うべきものについて、考えてみた。たとえば、僕が昨日、「震度8」と書いたところ、震度には「7」までしかないのだ、と「ある人」(笑)からお叱りを受けた。なるほど、日本の気象庁の震度という概念の中には、震度とは最高で「7」になるらしい。ということは、「7」以上の地震はないということになるわけだが、現実に「7」以上の震度数の地震が起きたら、日本の気象庁(地震学)は、「お手上げ」と言うことになる。実際、今回の大地震を「想定外」と言いながら茫然自失していたのが、地震学の専門家たちであった。日本の地震学者たちにとっては、震度7以上の大地震はあってはならない、皮肉な言い方をすれば、そんな大地震地震ではない、というわけだろう。しかし、現実に、「震度7」に収まりきれない地震が起き、震度計の針を振り切っているのである。繰り返しになるが、論理的に言えば、震度計が壊れるほどの大地震地震ではない、というのが日本の地震学ということになる。むろん、そんなことはない。というわけで、「想定外の大地震」「超大地震」「歴史上、未聞の大地震」…と地震学者たちが言わざるをえなくなっている。いずれにしろ、地震計の針が振り切れたということは、日本の地震学が無力であったということを示しているに過ぎない。「震度数」という概念が、そもそも間違っているか、現実の地震を測定するには不可能だということである。僕は、以前、『小林秀雄ベルグソン』を書いたとき、「科学は科学主義ではない」と書いたが、「科学主義というイデオロギー」に洗脳されている限り、科学を「科学主義」に合わせるように、たとえば靴のサイズに合わせて足を削り取るという「悲喜劇」が起きてもおかしくない。今回の大地震でも、地震学者やその手の専門家たちからの科学的な「予告」「予知」はまったくなかった。かつて、アマチュア地震学者(火山学者)が「富士山大爆発」を予告(予言)して、地震学や火山学関係の科学者たちから、「科学的論拠」に基づいて「袋叩き」されたことがあったが、その時、科学者たちは、どういう科学的論拠に基づいて、素人の地震学者の予言者を「袋叩き」にしたのだろうか。単に、素人が専門家たちの職場を荒らすな、と既得権益防衛の立場から、そう言っただけだったのか。もし、地震学者らが「科学的根拠」に基づいて「富士山大爆発はない」と断言できたのならば、たとえば、今回の大地震発生のような場合にも、科学的根拠に基づいて、何らかの予告なり警告なりは可能だったのではないだろうか。と言っても、僕は、大地震に対してまったく無力・無能であった地震学者や科学者たちを批判しているのではない。彼らの普段の研究や啓蒙活動を否定しているのでもない。ただ、彼らの研究や啓蒙的発言を盲信してはならないと言っているに過ぎない。しかし、地震学者に限らず、科学者と称する連中は、たとえば原子力発電所の建設などの場合、「120パーセント安全だ」と「科学的根拠」を基に自信満々に説明するものだが、今回のような大地震に会うと、突然、科学者たちは、予想だにしなかった事態、まったく想定外の事故…等と説明して、問題の深刻さを隠蔽する。科学というものと科学主義というものは異なるのだ。真の科学者は、科学の限界に自覚的であろうし、自然や存在に対してもっと謙虚に対するだろう。つまり自然を畏怖しているだろう。ここから、科学的思考と哲学的思考の差異とい言う問題が浮上してくる。田中美知太郎によると、ギリシャ時代の哲学者たちは「ダイモン」「狂気」「神霊」…という、近代科学が否定したものを認識能力として高く評価していた。つまりギリシャ時代の哲学者たちが「哲学」を確立・創立したということは、彼らが科学的思考に対して哲学的思考を提起したということだろう。では、そもそもギリシャ時代の哲学者たちにとって「哲学」とは何か。たとえばソクラテスは、「ダイモン」に取りつかれた人であった。田中美知太郎は、こう書いている。

われわれの日常生活といえども、ずいぶん不気味なものものであると言わなければならない。ギリシャ人が神々やダイモンと共に住んでいたのは、われわれがわれわれの言行や意識を、コンプレックスやリビドで説明したり、あるいは社会の構造や階級対立の関係によって、決定されると考えたりするのと、あまり違ってはいなかったのである。そしてわれわれの方が、どれだけ賢明であるかということも、少なからず疑問であるように思われる。(田中美知太郎『ソクラテス』P106)

ここで、田中美知太郎は何を言おうとしているのか。
(続く)
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