文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

郷原氏には「国家論的思考」がない。郷原氏の役割は終わった? 


郷原信郎という元検察官僚で、現在弁護士、名城大教授が、今回の「小沢事件」において果たした役割は、元検察官僚という立場からの「検察捜査批判」を初めとして、いくら評価しても評価しきれないほど大きなものだったと思うが、しかし、僕は、郷原氏の発言や主張には、法律論や捜査技術論はあるが、一貫して「国家論」という視点が欠如していると思っていたが、今回の郷原氏自身の民主党からの「参議院選出馬依頼」と「不出馬」騒動、それに付随する郷原氏の「小沢は信用できない」という「小沢批判」報道に接して、あらためてその思いを新たにしたところである。たとえば、郷原氏と同様に、「小沢事件」における「検察批判」で重要な役割を果たした佐藤優氏とは、その「国家論」的思考があるかないかという点で、同じように「小沢一郎的政治」に対しては批判的であるという共通点があるにもかかわらず、大きく異なる。今回の「検察の暴走」問題をあくまでも国家論という観点から分析し、批判しつづけた佐藤優氏とは異なり、郷原氏は、終始、「検察の暴走」問題を、捜査の方法論や技術論的な問題としてしか理解していなかったように見える。小沢一郎が、「不起訴」という検察側の結論に対して、「検察の公正な捜査の結果…」という感想を述べたことを、郷原氏は批判し、石川代議士逮捕に関して「検察との全面対決」宣言した発言とは異なるではないかと言って小沢批判を展開し、民主党からの参議院選挙立候補を辞退したというわけだが、僕は、郷原氏は、今回の「小沢事件」の政治的本質が何もわかっていないと思う。今回の「小沢事件」の政治的本質は、政権交代に際して露出してきた「国家権力」の問題、あるいは「国家の主人は誰か」「国家の実権は誰が握っているのか」というような問題である。つまり、普段は、我々は、警察権力や検察権力を、国家の暴力装置とは考えないが、あるいは考えることは出来ないが、国家権力を否定する革命に類するような特殊な事態に直面すると、たとえば今回の政権交代のような場面に直面すると、警察権力や検察権力が、「国家の暴力装置」というその本質を露にする。したがって、僕は、あるいは「国策捜査」や「青年将校化した検察官僚」という言葉を使って「検察の暴走」を批判した佐藤優氏もそうだったと思うが、小沢事件に関しては、「四億円」の問題にはほとんど言及しなかったが、それは、郷原氏等が執拗にこだわり、追及した不動産取得資金の「四億円」が「違法献金」かどうかという問題、あるいは「記載漏れ」があったかどうかという問題は、「小沢事件」の本質ではないと考えていたからである。言い換えれば、郷原氏には、「小沢事件」において、検察や警察という「国家の暴力装置」が始動したという問題は、眼中になかったと言うべきだろう。その結果、小沢不起訴が、「公平公正な検察の捜査の結果…」という小沢幹事長の婉曲的な政治的発言の「政治性」が理解できないのである。つまり郷原氏には、法律的思考はあるが、物事を根底から問い直す哲学的思考が、そして今回の場合ならば国家論的思考が欠如している。東京地検特捜部は、まだ「小沢捜査」を断念していないと言われているが、いずれにしろ郷原氏の役割は終わった、と言うべきだろう。
 


郷原氏、民主の出馬要請を拒否=「小沢氏全く信用できぬ」

民主の出馬要請を拒否=「小沢氏全く信用できぬ」−郷原



 元検事の郷原信郎名城大教授は1日、自身が委員長を務める総務省の「日本郵政ガバナンス検証委員会」の会合後の記者会見で、民主党から夏の参院選への出馬を要請されたものの、断ったことを明らかにした。
 理由について郷原氏は、同党の小沢一郎幹事長が資金管理団体政治資金規正法違反事件で不起訴となった後、「公平公正な検察の捜査の結果」と語ったことに言及。「(小沢氏を)全く信用できない。石川知裕衆院議員らの逮捕を批判しながら、なぜ自分が不起訴になったからといって検察を持ち上げるのか」と述べた。
 郷原氏は、小沢氏の公設秘書が逮捕・起訴された西松建設の違法献金事件を含め、検察の捜査に一貫して批判的で、民主党有志の勉強会などにしばしば講師として招かれていた。(2010/03/01-21:21)


小沢一郎氏:「公正な捜査の結果」

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100205k0000m010083000c.html
小沢一郎氏:「公正な捜査の結果」



 民主党小沢一郎幹事長が4日夜、党本部で記者団に語った要旨は次の通り。
 小沢氏 このたびの私の政治団体に関連することで国民の皆様にご迷惑とご心配をおかけしたことを心からおわび申し上げる。不起訴は公平公正な検察当局の捜査の結果として受け止めている。皆様にご理解とご認識をしていただきたいことは、石川(知裕衆院議員)が国会議員としての職責を問われているのではなく、国会議員になる前の私の事務所におった時のことであり、起訴内容も収支報告書の形式的な点についての責任を問われているということだ。

 −−党として石川被告の処分を考えるか。

 小沢氏 今後、考える問題だろう。

 −−道義的責任を含め自身の進退は。

 小沢氏 代表者ですから、最終的責任は私にある。ただ、報道等でずっと言われてきたような不正なお金は一切もらってないということを最後まで主張していたと思う。幹事長の職責を返上しなければならないとは考えていない。

 −−信頼回復へどう行動するか。

 小沢氏 全国民に可能な限りいろんな機会を通じて話していきたい。(西松建設事件で秘書が逮捕された)去年も3、4月という選挙前の時期だった。今度も7月の参院選ということで、国民の支持を得る、過半数目指して最善を尽くす任務に一生懸命全力で努力しながら国民の信を取り戻すべく頑張りたい。

 −−検察との全面対決を宣言したが、勝利したと思うか。

 小沢氏 水谷建設から不正なカネをもらって土地購入の資金に充てたとか、他のゼネコンからも不正なカネをもらったとかいう報道が続いたから、そうしたことは一切ない、断固承服できないという意味で強く主張してきた。検察当局が公平公正な捜査をやった結果だということはそのまま受け止めたい。


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