文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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小林よしのりが、また「筆禍事件」か? −ー「金城兄弟」にとって「沖縄集団自決」とは何だったのか?


小林よしのり櫻井よしこが、「うらぞえ文藝」という沖縄の同人雑誌における沖縄在住のドキュメンタリー作家・上原正稔氏と、おなじく沖縄在住で、同誌編集長の星雅彦氏との対談を根拠に、ふたたび「沖縄集団自決」や、沖縄メディアの「言論封殺」に言及し始めたようであるが、なかでも小林よしのりは、そこで、すでによく知られていることだが、当時、少年だった「金城兄弟」が「集団自決」においてはたした役割と行為について詳しく触れ、二人があたかも凶悪な「殺人犯」であったかのように描いているが、「沖縄集団自決」の責任を問われている赤松嘉次、梅沢裕という二人の軍人の「名誉回復」のためにとはいえ、いささか、常軌を逸してるように思われる。確かに二人の少年は、「集団自決」の現場で、両親を初めとして、多数の人間を「撲殺」「殺害」し、自決を幇助しているようであるが、しかし彼等を、当時の人間関係や背景の状況を無視して、単なる「凶悪な殺人犯」と見做し、「集団自決」の責任を二人の少年に押し付けようとする小林よしのりの態度を、見過すわけにはいかない。「金城兄弟」が、NHKの「沖縄集団自決」特集に証言者として出演したことが、小林よしのりを刺激したようだが、小林よしのりは、結局、二人の少年の行為(「集団自決」)を、個人犯罪に矮小化し、当時の渡嘉敷島を実質的に管理支配していた「日本軍」と「守備隊長・赤松嘉次」の「集団自決」に対する責任を無化し、それどころか逆に「守備隊長・赤松嘉次」を、「軍命令」の首謀者として長い間、「悪の巨魁」扱いされ続けたところの、そして「集団自決」被害者家族への援護金のために黙って死んでいったところの「美しい犠牲者」として賛美し、擁護しようとしているが、まったくいい加減な論理展開であると言わなければならない。「金城兄弟」にとって「沖縄集団自決」とは何だったのか? 彼等は、単なる「犯罪少年」だったのか。そうではないだろう。彼等は、品行方正な優等生だったはずだ。品行方正な優等生だったからこそ、日本帝国陸海軍の軍人たちの発言や指示動向に敏感に反応し、それ故に、与えられた仕事を忠実に実行したのではないのか。それは、小林よしのりの政治漫画で描けるようなものではないだろう。ところで、「守備隊長・赤松嘉次」が、援護金のために黙って死んでいったどころか、実は、曽野綾子等と結託し、曽野綾子の『ある神話の背景』に情報を提供するとともに、沖縄現地住民に責任を転嫁する形で、生き延びた自分の「名誉回復」の策謀を仕掛けていった事は、写真証拠からも、明らかである。それにしても「日本軍」を美化し賛美するだけならまだしも、現地住民を「集団自決」に追い込み、生き残った挙句、その責任は自分にはないと言い訳までする不名誉な「恥ずべき日本軍人」までを美化し、賛美するに至っては、何をかいわんやである。「集団自決」の責任を負うべき「守備隊長・赤松嘉次」だったはずだが、逆に住民に責任を押し付け、家族とともにぬくぬくと生きた、その日本軍人として恥ずべき、無様な生き方とその欺瞞性が、マンガ右翼・小林よしのりの眼には見抜けないのだろう。そもそも、小林よしのり櫻井よしこが、懲りもせずに、飛びついて絶賛しつつ引用しているドキュメンタリー作家・上原正稔氏と、おなじく沖縄在住で、同誌編集長の星雅彦氏との対談そのものに問題がある。この対談には、「集団自決」に関する新しい発見も新しい資料もない。ただ、彼等が沖縄の新聞に、「軍命はなかった…」という趣旨の原稿の掲載を拒絶されたことがあるとか、あるいは連載を中断させられたことがあるとか、というだけの話である。これを、小林よしのり櫻井よしこは、「言論弾圧」だ、「言論封殺」だ、あるいは「沖縄には言論の自由がない」「沖縄は全体主義の島だ」と騒いでいるわけだが、新聞や雑誌が、依頼した原稿の掲載を、内容がよくないという理由で拒絶したり、あるいは社の方針と異なるという理由から連載を中断したりすることが、すぐに「言論弾圧」や「言論封殺」につながるという思考そのものが、新聞や雑誌の現場の編集状況に無知な、あまりにも幼稚な発想であると言わなければならない。そもそも、小林よしのり櫻井よしこは、日本の、あるいは東京の新聞や雑誌には、そういう例は皆無だとでも言うのか。曽野綾子も、「沖縄には言論の自由がない」と言っているが、曽野綾子は、「毎日新聞」のコラムを、東京都内の部落問題に関連して、新聞社側から、一方的に「掲載拒否」されたことはないというのか。当時の「毎日新聞」の担当記者の証言は嘘だとでも言うのか。(続く)







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