文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

佐藤優氏の「小林よしのり論」を読んでから眠れ。


「コメント欄」に、小林よしのり氏の「パチンコ問題」について、当事者でもある佐藤優氏からの「書き込み」があったので、こちらの方にも転載しておこう思う。佐藤優氏は、先週末、吉野で、『国体の本義』の講義を長時間に渡って精力的に続けたばかりだが、むろん僕も、その勉強会に昨年に続いて参加したのだが、今日(6/5)は、沖縄大学での太田元知事との対談講演のために、沖縄へ向かわれるそうで、そこでも、この「おぼっちゃまくん」の「パチンコ化」騒動をめぐる「小林よしのり問題」を話す予定だそうである。佐藤優氏が、「思想の本質的意味について…」考えたいと言っていることからも明らかなように、佐藤優氏にしろ、僕にしろ、ただ単に「小林よしのり」氏を闇雲に批判しているのではなく、小林よしのり氏の「思想」やその「思想的的本質」を問うた上で、小林よしのり氏の言動を批判しているのである。小林よしのり氏は、思想や芸術というものを本質的に誤解している。思想や芸術の真髄までもが、金に換算できる、つまり貨幣で何でも買える…わけがないということが、まったく分かっていない。文学や芸術、あるいは学問を目指す人間には、世俗的価値であるゼニカネ、あるいは地位や名誉とはまったく無縁な、あるいはそれらを嫌悪し、拒絶する人間が無数にいるのだ。小林よしのり氏の好きな「特攻隊」の若者たちにしてからが、ゼニカネや名誉を目的に死んで行ったわけではなかろう。たとえば、芸術至上主義とか芸術至上主義者というものが存在するが、それは、ゼニカネ、地位や名誉というようなこの世の世俗的価値を拒絶し否定するということだろう。小林よしのり氏とは無縁かもしれないが、思想、芸術、学問を先導するのは、おそらくそういう人たちだろう。僕自身は「俗物」だから無理かもしれないが、僕が尊敬し、敬愛する思想家や芸術家というものは、しばしばそういう種類の思想家や芸術家である。


山崎行太郎先生


 小林よしのり問題は、まさに山崎先生の予測通りになりましたね。ここで思想の本質的意味についてもう一度考えてみる必要があると痛感しました。
 以下の寄稿をしました。御参考までに送付します。明日から沖縄に行くので、この問題について沖縄の有識者とも議論したいと思います。
 2009年6月4日 佐藤優

http://news.livedoor.com/article/detail/4185973/
ライブドアニュース
佐藤優の眼光紙背(第52回):小林よしのり氏とパチンコ問題」(仮題)


 政治漫画家の小林よしのり氏のキャラクター『おぼっちゃまくん』がパチンコになったことが問題になっている。6月3日発売の『SAPIO』(小学館)で、小林氏が以下の釈明をしている。この釈明を読んで、筆者ははじめて小林氏の台所事情がわかった。

作品は6人がかりで一日12〜13時間描き続けても、一日2枚しか上がらない。だが原稿料の作画にかかる経費のことは一切考えられていないので、ものすごく安い! 
毎月、累積する赤字を単行本の印税で補填するしかない! 単行本が年30万部以上売れなければ大赤字が出る。この出版不況でそれだけ売るのは、益々、困難になってきた。
 わしが30年以上やってこれたのは、子供を諦めて働き、貯蓄し、ヒットが出ない時は、貯金を切り崩してピンチをしのぐようにしてきたからだ。
 こんな不況の中で、一般誌に連載していない『卑怯者の島』を2〜3か月、原稿料なしで描ける余裕などない。だがパチンコがヒットすればそれも可能になる。これはありがたい!

 実に正直な告白だと思う。ちなみに小林氏はこの釈明の中で、筆者についてこう言及している。

佐藤優鈴木宗男とその腰ぎんちゃくや金魚のフンどもが奇妙なことを言った。小林よしのりは金儲けのために描いている!

 確かに私はそのような認識をもっている。しかし、筆者はそれを「悪い」とはひとことも言っていない。筆者を含む職業作家は、誰もが「金儲け」のために仕事をしているからだ。問題は、どのような言説で金儲けをするかである。筆者は、小林氏のいくつかの言説に強い異論をもっている。そのことで筆者と小林氏の間に諍いが生じた。この点については他の媒体で詳しく論じているので、ここでは繰り返さない。この諍いの過程で、筆者は小林氏が、北方領土が千島列島に含まれるか否かという、領土問題の基本認識ができていないのではないかという疑念をもつようになった。これは些細な問題ではない。1951年のサンフランシスコ平和条約2条c項で日本は千島列島を放棄している。
北方四島は千島列島ではない」ということは、領土問題の基本中の基本だ。筆者は、現役外交官時代を含め、北方領土問題には真剣に取り組んできたつもりだ。沖縄問題、アイヌ問題についても小林氏の言説には違和感があったが、北方領土問題をめぐる小林氏の態度を見て、この人の思想に対する基本姿勢が筆者とは根本的に異なるという認識が決定的になった。
 小林氏が、子供を諦めて働き、貯蓄し、ヒットが出ない時は、貯金を切り崩してピンチをしのぎ、パチンコであてて何を表現したいのだろうか? 筆者にはそれがまったく見えない。
 小林氏は、<身を持ち崩すような毒もパチンコにはあるかもしれないが、それこそ自己責任だ>と自己責任論を展開する。また、小林氏は批判に対して、<ネット右翼は、商売を汚いことだと見なす社会主義的な体質がある。>、<パチンコひとつでガタガタ言っているような匿名のカスなど眼中にない!>と言い切る。ほんとうに小林氏はそう思っているのだろうか?
 ネットで本件について書き込みをしている人々の多くは、小林氏の愛読者で、小林氏のことを心配しているのだと思う。小林氏の釈明を読んで、何とも形容しがたい悲しみを覚えた。
(2009年6月3日脱稿)



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