文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

『月刊日本』編集長・坪内隆彦氏の『アジア英雄伝』出版記念会で考えたことなど…。

dokuhebiniki2009-04-03



昨日、文京ジヴィックホールで、『月刊日本』新編集長の坪内隆彦氏が、『月刊日本』に連載していた「アジアの英雄たち」をまとめた『アジア英雄伝』が、展転社から出版され、その出版記念会が開かれたので、僕も行ってきたが、頭山興助氏や伊達宗義氏をはじめ、錚々たるメンバーが集合した、実に盛大な会だった。石平氏佐藤優氏、稲村公望氏等の話も面白かった。『アジア英雄伝』は、西欧列強の帝国主義と植民地支配に対して、アジア各国の独立を賭けて果敢に戦い、そして志半ばで斃れていった憂国の志士達、たとえば金玉均、康有為、孫文、李容九、ガンジー、アウン・サン、チャンドラ・ボーススカルノスハルト、マハティール……等、日本でもよく知られた人達や、それ以外にも日本ではあまり知られていないムハンマド・イクバール、ベニグノ・ラモス等、合計25名の列伝である。「アジア主義」「大亜細亜」「興亜」というような言葉は、戦後、日本ではあまり省みられることはなかったが、それ故に、この種の書物は、ありそうでない、なかなか貴重な労作であり、また本書は、「反中」「嫌韓」「反米」…というような偏狭な「一国ナショナリズム」思想だけで成り立っている現在の独りよがりの保守・右翼論壇の、解体と再構築に向けて、重要な一歩を推し進める書物である。さて、保守・右翼論壇の解体と再構築という観点から見れば、いわゆる「諸君!」の休刊事件なるものも、ある意味ではむしろ歓迎すべきことであって、『will』で対談している渡部昇一氏や西尾幹二氏等のように、創刊当時を回想しつつ、「『諸君!』休刊を嘆くこと…」は、彼ら自身が、つまり旧保守思想家自身が、もはや思想家として、あるいは言論人として通用しなくなりつつあることの証明であるように見える。『諸君!』や『正論』で、低次元の自画自賛的な愛国談義、ないしは自閉的な保守論議、マンガ右翼的な稚拙な反米自立ごっこ、等に耽っていた時代は、もうとっくに終わったのである。『諸君!』は、その保守論壇の「愚者の楽園化」を、現場で敏感に感じていたからこそ、思考停止状態のまま、いたずらに惰性で延命するのではなく、あっさり休刊を決定したのだろう。坪内氏は、こう書いている、「…しかも、対米追従の外交姿勢は、アメリカによる対日要望に拍車をかけ、小泉政権郵政民営化に象徴されるような、新自由主義の導入を許した。市場万能、弱肉強食の経済によって、社稷(国民生活)は失われ、日本の共同体はさらに破壊された。これは、日本の興亜論者とアジアの志士が試みた文明転換に逆行しているのである。ノンチックの言葉を用いるまでもなく、かつて日本人に向けられたアジア人からの尊敬の念は失われつつある。…」と。保守・右翼メディアを自称する『正論』や『諸君』というオピニオン雑誌が、あろうことか、アメリカニズムとしての新自由主義を受け入れるべく「小泉・竹中改革」や「郵政民営化」「地方切捨て」を賛美し、それに追随し、しかもそれに反対する者たちを排除、追放、罵倒したのだから、ここらあたりで、政治責任と思想責任をとって、保守論壇から退場していくのも仕方がないだろう。





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